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'13/11/2

消滅集落跡に「大師堂」




 広島県神石高原町父木野で、過疎化が進み9年前に住む人がいなくなった重入(しげいり)集落の元住民でつくる「重入ふるさと会」が、集落跡に大師堂を建てた。古里の証しにしようと、地域にあった弘法大師像約50体を集めた。4日に元住民約30人が集まり完成を祝う。

 集落跡は町役場の南約4キロ、標高約500メートルの山あいにある。家は朽ちかけ、棚田や畑は草木が覆う。周辺では江戸時代から、父木野八十八カ所巡りが盛んだったという。

 会は、つながりを保とうと約40年前から数年に一度、会合を開いてきた。堂作りの話は「残してきたお大師さんが土に埋まるのは忍びない」と2007年ごろ浮上。道の草刈りなどに通っている福島繁登さん(67)=福山市駅家町=を中心に進めてきた。

 今年6月からは、会員10人で老朽化した辻堂3カ所にあった高さ60〜20センチの大師像を集めて洗うなどした。堂(幅2・5メートル、奥行き1メートル、高さ90センチ)は長持ちするよう石材業者に頼んだ。側面に「住民は絶えたが加護を願う」などと彫った。

 会などによると、1955年ごろ約30世帯150人余りいた住民は、81年に27人に減少。04年、最後に残った寺の前住職(90)が体調を崩して離れ、ゼロになった。

 4日は堂の前で、赤飯を食べて旧交を温める。

【写真説明】完成した大師堂を幕で飾る福島さん(中)たち




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