トップページ社会ニュース一覧両陛下の陵は寄り添うように
ニュース詳細

両陛下の陵は寄り添うように
11月14日 19時9分

両陛下の陵は寄り添うように
K10030657711_1311141937_1311141944.mp4

天皇皇后両陛下が逝去された際に埋葬される「陵」の在り方などについて、両陛下の意向を受けて検討を進めてきた宮内庁は、お二人の「陵」をこれまでより小さくしたうえで、同じ敷地内に寄り添うように造ることを決めました。

宮内庁は、象徴としての立場にふさわしい「陵」と「喪儀」の在り方について、国民生活への影響を少なくしたいという両陛下の意向を受けて、去年4月から具体的に検討を続けてきました。
その結果、両陛下が埋葬される2つの陵は、東京・八王子市の武蔵陵墓地にある大正天皇陵の西側に造られることになりました。
墓地の地形や面積の制約から、ふさわしい場所が少なくなっている現状を考慮して、お二人を含めた今後の陵の用地を確保するため、これまでよりやや小さくすることになり、▽天皇陛下と皇后さまで合わせて3500平方メートルとし、▽昭和天皇と香淳皇后の80%程度の大きさになります。
墳丘の形は、明治天皇以降の陵と同じ上円下方となりますが、総工費は減ることになります。
また、お二人の陵を同じ敷地内に設け、墳丘などがある「兆域」と呼ばれる部分を、接する形にして寄り添うように造ることで一体感のあるものとすることも決まりました。
天皇と皇后の陵が全体として横並びに接するように造られるのは初めてです。
宮内庁は、お二人を一緒に埋葬する合葬も視野に検討を始めましたが、皇后さまが強く遠慮され、見送られたということです。
一方、埋葬方法についても、350年余り前の江戸時代初期から続いていた、ひつぎごと埋葬する土葬から火葬に変えることが正式に決まりました。
火葬は、武蔵陵墓地の敷地内に設ける専用の施設で行われます。
また、国内外から多くの要人が参列する、一般の葬儀に当たる「葬場殿の儀」については、国民生活への影響が少なく、集中豪雨や竜巻などの際にも安全を確保できる場所という観点で検討が進められるということです。
これら一連の方針については、皇太子さまと秋篠宮さまも了承されているということです。

「兆域」とは

「兆域」とは、墳丘や、天皇皇后の拝礼場所がある区域のことです。
皇室では、天皇と皇后や子らを同じ陵に埋葬する「合葬」が行われたり、京都の寺にある石造りの塔を陵として天皇や皇后ら25人が同じ兆域に埋葬されたりしたことがあります。
しかし、歴史的に見ると、天皇と皇后の陵はほとんどが兆域を離して別々に造られ、兆域が接しているのは奈良時代の聖武天皇と光明子の陵の一つだけです。

火葬に伴う「喪儀」の流れも

火葬に伴う大まかな「喪儀」の流れも決まりました。
火葬までの間、一般のお通夜に当たる行事などが行われたあと、火葬の当日には、小規模なお別れの儀式が営まれます。
火葬が終わると遺骨が安置された「奉安宮」と呼ばれる宮殿の部屋で、拝礼などの行事が行われます。
そして、一般の葬儀にあたる「葬場殿の儀」の当日に埋葬も行われ、昭和天皇と同様に一周年祭まで儀式が続きます。

宮内庁「両陛下のお心伝わることを願う」

宮内庁は、両陛下の意向を踏まえ、去年4月以来1年半余りをかけて、両陛下の埋葬を土葬から火葬に変える方向で、「象徴」としての立場にふさわしい「陵」と「喪儀」の在り方について、具体的な検討を行ってきました。
皇室の喪儀の伝統を基本に、社会や人々の意識の変化を踏まえ、国民の日常生活への影響が極力少なくなるようにしたということです。
宮内庁は、今回の検討について、「象徴とその配偶者という特別な立場にある方の喪儀について、将来にわたって基準となり得るもので、あらゆる角度からの慎重な検討が求められた」としています。
そのうえで、「趣旨と内容が国民に広く伝わることを願うとともに、将来の国民に平成という時代が、そしてその時代を国民と共に歩まれていらっしゃる両陛下のお心、お姿が正しく伝わっていくことを願っている」としています。

官房長官「重く受け止める」

菅官房長官は、午後の記者会見で、「宮内庁の検討結果は、杉田官房副長官を通じて報告を受けており、御陵および御喪儀の在り方に関する天皇・皇后両陛下のお気持ちについては重く受け止めている。事柄の性質上、内閣としては、これ以上申し上げることはない」と述べました。

「家族の在り方の理想像示す」

皇室の歴史に詳しい京都産業大学名誉教授の所功さんは、天皇皇后両陛下の陵が同じ敷地内に造られることについて、「天皇は国家国民統合の象徴ですが、別の言い方をすれば人間とか家族の在り方の理想像を示し続けてきた。あの世でも仲良く二人でという思いをお持ちでしょうし、こういう形で実現されるなら、国民にとっても『そうでありたい』とか『あらねばならない』というお手本を示されることになったと思う」と述べました。
また、陵がこれまでより小さく造られることについては、「なるべく簡素にというか、国民に大きな負担がかからないようにというお気持ちを示されていることは、私ども国民にとってある意味でありがたく、ある意味では申し訳ないことだと思います」と話しました。
そして、今回の検討内容について「両陛下のご意向に沿った一つの結論として、誠に結構だと思う」と述べました。

[関連ニュース]
k10013065771000.html

[関連ニュース]

  自動検索

陵と喪儀 両陛下のお気持ち (11月14日 19時31分)

このページの先頭へ