ファンダメンタルズがどう変わるのか、誰にもわからない
原因があるから、結果がある---。長い間、投資の世界もそのような一般的な因果関係で動いていました。そして、それが理論として確立していました。
しかし、実際には、「原因が結果からも影響を受ける時代」になっているのです。特に最近では、それが顕著になっています。
従来は、経済成長や企業収益といった経済ファンダメンタルズによって、市場での価格が決まり、それが投資家の行動を決定していました。このとき、投資家の運用規模は市場に対して小さく、投資家の行動は価格に影響を及ぼしませんでした。ところが今では、同質性の高い投資家の行動が、価格に影響を及ぼすようになり、それが経済ファンダメンタルズにも影響していきます。
その現れのひとつとして、ヨーロッパの債務危機がどのように波及していったかを見てみます。
最初に起こったのは、いくつかの国の国債価格の下落でした。それが、国債を保有する金融機関のバランスシートを悪化させました。
すると、金融機関のうち、自己資本が不足する懸念のあるところに公的資金が注入されます。結果として、債務に問題のある国の財政が悪化し、その国の国債は格下げされ、投資家は国債を売却します。
それを受けて、その国債の価格はさらに下落する---。こういった負のスパイラルが起きているのです。
一方で、逆のスパイラルもあります。たとえば、ファンダメンタルに比して割高な市場評価をされたネット系のベンチャーが、ファンダメンタルに比して割安な企業を、自社株を使って合併するとします。その結果、その企業のファンダメンタルな価値が上がっていく、というものです。
このようなスパイラルがどこで止まるのか、実は誰にもわかりません。まったく予想がつかないのです。
ファンダメンタルから株価が一方的に決まるだけではなく、逆に株価からファンダメンタルが影響を受ける。原因と結果が双方向に行き来する。
最初の分析が正しくても、その後の株価の推移からファンダメンタルは良くなることもあるし、悪くなることもある。それがこの時代の現実です。
- 視聴率ヒトケタ目前木村拓哉『安堂ロイド』に死す!なぜ大人の男はキムタクが苦手なのか (2013.11.14)
- 偏差値72、天皇家で一番の頭脳 愛子さま東大入学そして雅子妃の復讐が始まる (2013.11.12)
- 『北斗の拳』原作者 武論尊×木村清 『すしざんまい』社長「二度と戻りたくない『我らの自衛隊時代』」 (2013.11.04)
- 池上彰×津田大介 【第4回】「情報を見抜く目を養うには試行錯誤しかありません」 (2013.10.31)
- 池上彰×津田大介 【第3回】SNS時代のメディアの役割と「ポリタス」が変える政治の未来 (2013.10.30)
- 現代の投資と企業経営に通じるもの【前編】 谷家衛「小さな銃弾をたくさん撃ってから、大砲を発射しよう」 (2013.05.15)
- 田原総一朗 × 谷淳也さん(クレディ・スイス プライベート・バンキング本部長) Vol.2 「デモグラフィーとかマルチポーラーなどをふまえて、どこに投資機会があるのかを考える」 (2013.02.20)
- 『国債市場危機説』の本質はどこにあるのか (2013.06.05)
- EUの新規制に見る「格付け会社問題」のいま (2013.05.22)
- 内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 スーザン・ケイン(著),古草 秀子(翻訳) (2013.06.25)
-
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」佐藤優のインテリジェンスレポート「ウイグル情勢をめぐる2つの可能性」 (2013.11.14)
-
-
-
賢者の知恵視聴率ヒトケタ目前木村拓哉『安堂ロイド』に死す!なぜ大人の男はキムタクが苦手なのか (2013.11.14)
-
ITトレンド・セレクト大学の入学審査で、ソーシャル・メディア上の個人情報を参考にするのは妥当か? (2013.11.14)