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14 Nov 2013 12:30

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優勝セールの“不当表示”疑惑に焦る楽天

東洋経済オンライン 2013/11/8 06:00 長谷川 愛

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決算説明会後、高橋理人常務が記者の取材に対応した

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東北楽天ゴールデンイーグルスの日本シリーズ優勝の余韻に浸る間もなく、楽天 <4755> が“不当表示”問題の対応に追われている。「楽天市場」の優勝記念セールで、少なくともおよそ20店舗が通常価格を実際より大幅に引き上げて表示し、大安売りに見せかけていたことが判明したのだ。■ 事件の場は「楽天日本一セール」

 優勝記念の「楽天日本一セール」は、楽天が運営するインターネット仮想商店街「楽天市場」で11月3日夜から7日未明まで行われた。楽天の星野仙一監督の背番号にちなんだ「77%引き」の目玉商品を用意するなどし、大きな注目を集めていた。

 ところが、優勝記念セールが始まって間もなく、一部店舗の“通常価格”の異常さに気づいたネット利用者たちがツイッターなどで騒ぎ始めた。

 たとえば、ある店舗では抹茶シュークリーム10個の通常価格を1万2000円と表示したうえで、割引価格の2600円で販売。別の店舗では、米アップルのアイフォーン4sの通常価格を43万3915円と表示し、あたかも割引販売のように誤認させていた。このような不当表示の疑いが持たれる店舗は、7日までに判明した分だけでおよそ20店舗、商品数は1000点に達しており、今後も増える可能性がある。

 優勝記念セール用の商品は、「77%引き」などの表示をするにあたり、あらかじめ楽天の審査を受けているものだけのはずだった。セールに出品されていた506万点の商品は、全て楽天が公式に認めたセール対象商品だったのだ。

 しかし、「正式な申請がないまま、勝手にセールをしている店舗があった」(楽天市場を統括する高橋理人常務執行役員)。楽天も事態を問題視しており、指摘された店舗ページを閉鎖した上で、不当表示の疑いがある業者を訪問するなどして事実関係の調査を始めているという。半月後をメドに、その調査結果を公表するとした。

■ 英語ではなく日本語で説明

 7日に品川区の楽天本社で行われた2013年度第3四半期(7~9月期)決算説明会。集まった記者の関心は”不当表示”の問題にほぼ一点集中。ほとんどの説明や質疑応答が社内公用語の英語で行われる中、この問題の回答には日本語が使われた。

 高橋常務は「店舗には楽天市場のガイドラインを遵守するよう、(店舗運営のアドバイスをする)コンサルタントなどを通して注意喚起をしている。安心して買ってもらえるように、体制を強化したい。本当に申し訳ない」と顔をしかめた。三木谷浩史社長は「正式な結果が出たらコメントを出したい」と述べるにとどめた。

 日本最大のネット商店街に育った楽天市場。安心して買い物をしてもらうためには、こうした問題も見逃さないようなチェック体制の強化が必要といえる。今回の問題発覚で揺らぐ信頼を取り戻せるか。楽天の本気が問われている。

週刊東洋経済

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