国際エネルギー機関(IEA)は12日、2013年の「世界エネルギー見通し」を発表し、「シェール革命」で米国の素材産業の輸出競争力が高まり、そのあおりで35年には日本と欧州の輸出品の世界シェアが3分の1減ると予測した。米国は日欧の半分以下の天然ガス価格を強みに原材料・電力価格で優位に立つ。日欧は調達価格の低減や省エネの一段の取り組みが必要と指摘した。
今年の見通しでは、エネルギー価格の地域間格差が中期的な産業競争力に及ぼす影響を主なテーマに設定。北米で生産が増える「シェールガス・オイル」の波及効果と、各地のエネルギー供給体制などの改革の必要性を分析した。
IEAは、米国で天然ガスの国内需給が緩み、調達価格が欧州の3分の1、日本の5分の1にとどまる現状を指摘。日欧は恩恵が受けられず、産業用の平均電力価格では米国の2倍以上も割高だと分析した。
現状の価格差が続けばエネルギーを多く消費する化学や鉄鋼、アルミ、製紙、石油精製などの産業の格差が広がり、これらの輸出品の世界市場に占めるシェアが大きく変動する。欧州連合(EU)が現状の36%から35年時点で26%まで低下し、日本は同じく3ポイント下がって4%になると予測。米国は旺盛な内需を満たしながら世界シェアを1ポイント増の11%とし、中国や中東、インドも存在感を増すとみる。
日本などが格差を縮めるには、原油価格に連動して決まる液化天然ガス(LNG)の価格体系の見直しや、北米産LNGの新規調達に加え、硬直的な国内ガス市場の改革も必要と強調。消費段階でのエネルギー効率の向上も必要とした。
一方、米国の原油生産量は15年にサウジアラビアを抜き世界最大になるとし、前年の見通しから2年前倒しした。
35年時点の世界の原油需要は日量1億100万バレルと予測。現状から同1400万バレル増え、輸送用燃料や化学品原料の用途が押し上げる。在来型の油田の生産減をシェールオイルなど新型資源の増加分で補い供給を満たすが、原油価格は緩やかに上昇し35年に1バレル128ドルになると見通す。
(ロンドン=加藤貴行)
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