11月13日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが下落、イエレン氏が緩和維持の必要性を指摘
ニューヨーク外国為替市場ではドル売りが優勢。ドル指数は3週間ぶりの大幅低下となった。米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されているジャネット・イエレン氏が金融緩和の縮小前には景気改善が必要だとの見解を明らかにしたことが背景にある。
ポンドは上昇。イングランド銀行(英中央銀行)が四半期物価報告で失業率の改善時期を前倒ししたことが背景にある。ユーロは下落後に戻す展開となった。欧州中央銀行(ECB)が早期に量的緩和に踏み切ることはないとの思惑から、午前中の下げは行き過ぎとの見方が広がった。米株式相場は最高値を更新した。
プラクシス・トレーディングのチーフ・トレーダー兼アナリスト、イラ・ハリス氏(シカゴ在勤)は「株式市場が緩和縮小を懸念していないのに、為替市場が心配する必要はない」と話した。
ニューヨーク時間午後4時49分現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は前日比0.4%下げて1018.48と、10月22日以来の大幅低下。前日は9月13日以来の高値となる1025.01に上昇した。
ユーロは対ドルで0.3%上昇して1ユーロ=1.3482ドル。一時は0.3%下げる場面もあった。円は対ドルで0.4%高の1ドル=99円24銭。前日には一時99円80銭と、9月13日以来の安値を付けた。対ユーロでは1ユーロ=133円83銭。
イエレン氏イエレンFRB副議長は米失業率について「依然として高過ぎ、これは労働市場と経済動向が潜在力を大きく下回っていることを反映している」と指摘。インフレ率はFRBの目標である2%を引き続き下回って推移するとの見通しを示した。14日の米上院銀行委員会での証言テキストが事前に配布された。
ブルームバーグが8日に32人のエコノミストを対象に行った調査では、来年3月18、19日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で債券購入規模が現在の850億ドルから700億ドルに縮小されるとの見方(予想中央値)が示された。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が発表した9月のユーロ圏の鉱工業生産指数が0.5%低下したこともユーロ売りの材料となった。8月は1%上昇だった。
プラートECB理事プラート欧州中央銀行(ECB)理事は米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューで、中銀預金金利をマイナス圏に引き下げるか、銀行から資産を買い取ることが可能だと発言した。
コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジのチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏(ワシントン在住)は「ECB当局者がユーロ圏での量的緩和の可能性を示唆するのは近年では初めてだ」と指摘した上で、「わたしは話半分に聞いている。そのようなシナリオの可能性はまだ非常に低い」と語った。
原題:Dollar Falls as Yellen Says Economy Still Needs Fed’sStimulus(抜粋)
◎米国株:上昇、S&P500種は最高値-好決算でメーシーズ高い
米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は過去最高値を付けた。百貨店のメーシーズをはじめ小売り銘柄が大きく上げた。また次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されているジャネット・イエレン氏が刺激策を継続するとの観測も広がった。
メーシーズは9.4%高。決算で利益が予想を上回り、年末商戦に対する楽観的な見方が強まった。テスラ ・モーターズも上昇。共同創業者のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は事故による出火が相次ぐ主力車種のセダン「モデルS」について、リコール(無料の回収・修理)の予定はないと言明した。一方、シスコシステムズは通常取引終了後の時間外取引で下落。決算で売上高が市場予想を下回ったことが嫌気された。
S&P500種 株価指数は前日比0.8%高の1782.00。10月29日に付けたこれまでの最高値を更新した。一時0.4%安まで下げる場面もあった。ダウ工業株30種平均は70.96ドル(0.5%)上げて15821.63ドル。
ソラリス・グループ(ニューヨーク州ベドフォードヒルズ)のティム・グリスキー最高投資責任者(CIO)は「メーシーズをはじめ小売り銘柄が相場全体を押し上げた」と指摘。「年末商戦に対する市場の期待はかなり低かったが、これで若干上向いたかもしれない。株式市場をめぐる状況は依然として好ましい。市場は経済情勢の改善を見込んでいる。景気が改善すれば、企業の売上高と利益は拡大する」と続けた。
「大きく下回る」イエレンFRB副議長は米経済と労働市場の動向が「潜在力を大きく下回っている」として、金融刺激策の縮小前に改善が必要だとの見解を明らかにした。14日の米上院銀行委員会での証言テキストが事前に配布された。
同氏は「力強い景気回復でFRBは最終的に、金融緩和策を縮小し、資産購入などの非伝統的な政策手法への依存を低下させることが可能になろう」と指摘。「現在の景気回復を支援することが金融政策をより正常なアプローチに戻す最も確実な方法だと確信している」と強調した。
ブルームバーグが8日、エコノミスト32人を対象に実施した調査の中央値によれば、FOMCは3月18-19日の会合で資産購入の縮小を決定する見通しだ。アトランタ連銀のロックハート総裁は12日、債券購入の縮小について、12月17-18日の会合も含めて今後の連邦公開市場委員会(FOMC)で議題にすべきだと発言した。
企業決算この日はメーシーズやネットアップ、シスコシステムズが決算を発表。ブルームバーグのデータによれば、S&P500種構成銘柄でこれまでに四半期決算を発表した455社のうち75%で利益がアナリスト予想を上回った。
S&P500種の業種別10指数 では9指数が上昇。選択的消費関連が1.6%高と最も上げた。
メーシーズは9.4%高の50.68ドルと最高値。同社の8-10月(第3四半期)決算は、利益がアナリスト予想を上回った。ギャップは1.2%高の41.36ドル。
テスラは0.7%上げて138.70ドル。「モデルS」のバッテリーに関連した出火の報道が相次ぐ中、同社株は9月30日から前日までに29%下落していた。
シスコはニューヨーク時間午後5時1分時点で7%安の22.32ドル。通常取引終了後に発表された同社の8-10月(第1四半期)決算では、売上高がアナリスト予想に届かなかった。政府支出の鈍化や、低価格ネットワーク機器の販売の競争激化が響いた。
原題:S&P 500 Climbs to Record as Macy’s Jumps Amid FedSpeculation(抜粋)
◎米国債:10年債上昇、高利回りに投資妙味-イエレン氏発言に注目
13日の米国債相場は上昇 。約8週間ぶりの高利回りが10年債の投資妙味を高めた。次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されているイエレン副議長が金融刺激策の縮小前に経済の改善が必要だとの見解を明らかにした。
利回りは3日ぶりに低下。午後に実施された10年債入札(240億ドル)の需要は拡大した。イエレン氏は14日の上院銀行委員会で指名承認公聴会に臨むが、同委員会での証言テキストが事前に配布された。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「証言原稿の内容から同氏のスタンスが示唆された」と述べ、「政策金利はより長期にわたって低水準で据え置かれ、償還期限の短い国債を支えるだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.70%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は5/8上げて98 9/32。利回りは前日に一時、2.79%と、9月18日以来の最高に達した。
イエレン氏の発言イエレン氏は「力強い景気回復でFRBは最終的に、金融緩和策を縮小し、資産購入などの非伝統的な政策手法への依存を低下させることが可能になろう」と指摘。「現在の景気回復を支援することが金融政策をより正常なアプローチに戻す最も確実な方法だと確信している」と強調した。
10年債の入札の結果によると、最高落札利回りは2.75%。入札直前の市場予想は2.756%だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.7倍、9月は2.58倍だった。
海外の中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める比率は47.7%だった。過去10回の入札の平均は38.7%。プライマリーディーラー以外の直接入札者の落札全体に占める比率は18.6%。過去10回の平均は20.9%となっている。
財務省は前日に3年債(300億ドル)の入札を実施。14日に30年債(160億ドル)を予定している。
利回り格差3年債と10年債の利回り格差は3bp縮小して2.12ポイント。前日は一時2.18ポイントと、2011年8月以来で最大の幅に拡大した。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値によると、10年債利回りは年末までに2.77%に上昇する。
ブルームバーグ・ニュースが11月8日にまとめた調査の中央値によると、月間850億ドルの資産購入ペースは来年3月18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で同700億ドルに縮小されるとみられている。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏は「市場はカジノに似てきた」とツイッターに投稿し、「投資家はギャンブルをしていると言えよう。割の良いゲームもあれば、そうでないのもある。償還期限の短い債券がベストだ」と続けた。
原題:Treasuries Rise as Yields at 2-Month Highs Lure Buyers onFed(抜粋)
◎NY金:5日続落、株式市場の持ち直しで-イエレン氏公聴会に注目
ニューヨーク金先物相場は過去3カ月で最長の5営業日続落。株式市場の持ち直しを背景に、金買いが後退した。
アーチャー・フィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、アダム・クロフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、「株価が持ち直したのに伴い、金は上げを消した」と指摘。「市場はあすの公聴会でのイエレン氏の発言を注視するだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.2%安の1オンス=1268.40ドルで終了した。5日続落は8月6日以来の最長。
原題:Gold Caps Longest Slump Since August as U.S. EquitiesRebound(抜粋)
◎NY原油:反発、クラックスプレッド上昇で-ガソリンが主導
ニューヨーク原油先物は反発。精製後の燃料と原油との価格差である製油マージンを示すクラックスプレッドが、8月以来の水準に上昇したことを受け、原油需要が拡大するとの見方が広がった。在庫減少観測でガソリンは大きく上昇した。
IAFアドバイザーズ(ヒューストン)の商品調査ディレクター、カイル・クーパー氏は「ガソリン主導の展開だ」と指摘。「クラックスプレッドの上昇がウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)を押し上げている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前日比84セント(0.90%)高の1バレル=93.88ドルで終了した。
原題:Crude Rises as Fuel-Price Gain Spurs Demand for Oil byRefiners(抜粋)
◎欧州株:下落、米緩和縮小めぐる観測で-スタダとポポラーレが安い
13日の欧州株式 相場は下落。指標のストックス欧州600指数はここ1カ月で最もきつい続落となった。企業決算が注目されたほか、力強い経済データが出れば米金融当局が緩和策を縮小するとの観測が広がった。
ドイツの医薬品メーカー、スタダ ・アルツナイミッテルと、イタリアの銀行バンコ・ポポラーレの下げが目立った。予想を下回った利益が嫌気された。独テレビ放送局プロジーベンSAT1メディアは5週間ぶり安値。筆頭株主が約16%相当の同社株を売却した。一方、銀行間取引の仲介業最大手、ICAPは4.1%上昇。
ストックス欧州600指数 は前日比0.6%安の319.82で終了。同指数は前週まで5週続伸していた。欧州中央銀行(ECB)の利下げや米金融当局による債券購入の継続が支えとなった。
クリーゲル・アンド・ハフナー(ベルリン)のシニア市場ストラテジスト、アンドレアス・リプコウ氏は電話インタビューで、「決算シーズンは終わりに近い。半分が明るく、もう半分は暗かった」と発言。また、「今後数日に米国で発表される新規失業保険申請件数と製造業景況指数で、米当局の方針に絡む情報が増えるだろう。緩和縮小はいつ始まるかと誰もが考えており、神経質な展開となっている」と述べた。
この日の西欧市場では18カ国中15カ国で主要株価指数が下落。英FTSE100指数は1.4%安と、ほぼ3カ月ぶりの大幅安となった。
原題:European Stocks Decline as Investors Weigh Outlook forStimulus(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債が上昇、鉱工業生産の減少で-英国債ほぼ変わらず
13日の欧州債市場ではドイツ10年債相場が上昇。利回りは前日付けた約3週間ぶり高水準から低下した。ユーロ圏の9月の鉱工業生産が予想以上に減少し、緩和拡大の観測が広がった。
イタリア2年債利回り は6カ月ぶり低水準に下がった。欧州中央銀行(ECB)のプラート理事は資産購入の検討が可能だと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで語った。イタリアはこの日の入札で2016-44年に満期を迎える国債計55億ユーロを発行したが、流通市場で10年債は値上がり。米上院銀行委員会は14日、イエレン次期連邦準備制度理事会(FRB)議長の指名承認公聴会を開く。
RIAキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ニック・スタメンコビッチ氏(エディンバラ在勤)は「ユーロ圏鉱工業生産のデータには失望させられた。成長の強さに疑問を投げ掛けるものであり、ドイツ国債を若干支える要因になった」と説明。「基本的に明日のイエレン氏の公聴会が待たれる。それまで相場は狭いレンジにとどまるだろう」と語った。
ロンドン時間午後4時39分現在、ドイツ10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.74%。前日は1.79%と、先月23日以来の高水準を付けた。同国債(表面利率2%、2023年8月償還)価格はこの日、0.485上げ102.35。2年債利回りは2bp下げて0.082%。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)がこの日発表した9月のユーロ圏鉱工業生産 指数は前月比0.5%低下。ブルームーグがまとめたエコノミスト32人の調査中央値では0.3%低下が見込まれていた。
イタリア2年債利回りは5bp低下し1.21%。5月3日以来の低水準となる1.19%まで下げる場面もあった。
英国債相場は前日からほぼ変わらず。10年債利回りは10月16日以来の高水準となる2.85%まで上げた後、2.80%となった。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は95.325。
原題:German Bonds Advance After Industrial Production, PraetComments(抜粋)Pound Jumps as Carney Signals Rates May Rise Sooner Than Planned(抜粋)
更新日時: 2013/11/14 08:03 JST