休みはメニュー開発などに活用するという国東食彩ZECCO=国東市国東町
自己研さんやリフレッシュに使える休日を増やし、仕事の質を高めよう―。国東市安岐町の設計・製造販売、アキ工作社(松岡勇樹社長)が実践する週休3日の変形労働時間制「国東時間」。趣旨に賛同し、市内の社会福祉法人と飲食業の2事業所が9月1日から、休日を増やす試験的な勤務制を導入する。「より良い働き方」を模索する動きが、市内で少しずつ広がりを見せている。
新たに導入するのは、安岐町の特別養護老人ホーム「鈴鳴荘」(高橋とし子施設長)と、国東町の創作ダイニング「国東食彩ZECCO」(中園彰三オーナーシェフ)。いずれも業態に合わせてアレンジを加えた上で、従業員らの一部を対象に数カ月間の効果を検証する。
鈴鳴荘はローテーションで日勤、夜勤の両方に入る介護職員30人が対象。現行は1回8時間勤務の月休9日制だが、9時間45分勤務の13日制へ。週休3日ペースをほぼ実現する。1週間当たりの労働時間がわずかに減り、給料は変わらない。
高橋施設長(58)は「夜勤明けの休日は疲労回復に充てられがちで、活動的に動ける休みは実質少なかった。利用者に明るい笑顔を見せるため、もっと気分転換をさせたかった」。
一方、ZECCOは営業日のディナータイムを1時間延長する代わり、原則、週1日の定休日を週2日に増やす。中園シェフ(39)は「休息ではなく、料理人として進化するための時間」と説明。休みは生産現場の視察や、メニューの研究開発などに活用する。
大分大学で労働経済論を専門とする阿部誠教授は「従業員に兼業農家がいるなど、地域の特性を踏まえた実践であれば興味深い。一方で、一日の勤務時間の延長が育児などの面で働き手に不利益を生むようなことがあれば、対策が必要になる」と指摘した。
<ポイント> 国東時間
アキ工作社が、自由に過ごす時間の中からデザイナーの新たな創造性を呼び起こそうと提唱。6月から試行、7月から正式導入している。
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