会場とのやりとりの中から ○ Q | 横井さんでも失敗した事例があると思うのですが… | ●横井 | いろんなアイディア、企画を進めていくうえで、どうしても失敗は起こります。開発というのは、いきなり完成までの予算を使って、完成までもっていくということはやりません。最初はものを探るようなことから、始めます。たとえばある商品企画をした場合に、ある問題点があるなら、そこだけを追究するというような仕事をやります。そこがうまくいかなければ、その企画は頭から止めてしまいます。そのときの費用は、ごくわずかです。任天堂時代でも、高くても数十万円で終わっています。 それがクリアできて、また数十万円かけてもう一つの山をクリアする。それがうまくいけば、すべて他はうまくいくだろうということで、ドーンとスタートするわけですね。完全に試作品ができあがると、ここでもう1回、これが売れるのかどうかを再確認する。売れないと判断した場合、例えば先ほど言ったようにこれは500億円ぐらいの商品規模だからと止めた場合、ここまでの試作にかかったのはおそらく300万円ぐらいだろう。止めたということは、失敗ということになるわけですが、非常にリスクが少ない。300万円でだめだったというような仕事のやり方をしました。 | |