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汚染土 安全に現地埋設 元政府事故調委員長畑村さんら確認

住民と共同で屋敷林除染の実験を行った畑村さん(右から2人目)ら=福島県飯舘村比曽

 東京電力福島第1原発事故で政府事故調査委員会の委員長を務めた東大名誉教授畑村洋太郎さん(72)のグループが、福島県飯舘村比曽地区で、住民有志が昨年行った屋敷林の除染実験の効果を検証した。はぎ取った土を現地に安全に埋設できることが確認され、グループと住民は増え続ける汚染土の処分問題の解決につながる、と期待している。

 検証のための実験は今月3日から2日間、比曽の農業菅野義人さん(61)宅で実施。昨年9月に仲間の菅野啓一さん(58)らが地元で行った屋敷林の除染実験と同じ方法を採った。
 杉木立の下の15メートル四方の林床を対象に、セシウムによって汚染された土の深さを測定。岩盤まで深さ約1.8メートルの穴を3カ所掘り、セシウムが付いた杉の葉の腐葉土(深さ12センチ)をはぎ取って埋めた上に、穴を掘削した際に出た汚染されていない粘土で、厚さ約50センチの覆いをした。
 その結果、実験前に毎時約8マイクロシーベルトあった林床の空間線量が、腐葉土のはぎ取り、埋設の後、最も低い地点で毎時1.6マイクロシーベルトに下がった。昨年の実験と同様の結果が確かめられた。未除染の木立に近い地点は毎時2.4マイクロシーベルトあり、周囲の放射線の影響とみられる。
 粘土分はセシウムを吸着、固定させる性質がある。畑村さんらは、地下水に溶け出さないことを実証するため、汚染土を埋めた穴の一つの底に、水を通すパイプを埋め、定期的に地下水をくみ上げて分析、公表する。
 畑村さんは、さまざまな事故の原因を組織、社会、人間の関わりから解明し、危険回避の方法を共有する「危険学プロジェクト」に6年前から取り組み、その視点から原発事故調査に携わった。
 畑村さんは「汚染土のはぎ取りで生じる膨大な量の廃土が、仮置き場の確保を含め、大きな問題になりつつある。現地に安全に埋設できれば解決策になる」と提案。前提として「放射性物質は粘土分に吸着され水に溶け出さず、地下水を汚染することはないと多くの人に知ってほしい。そのための実験だ」と話している。


2013年11月14日木曜日

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