そこが聞きたい:特定秘密保護法案 三木由希子氏
毎日新聞 2013年11月13日 東京朝刊
防衛秘密は防衛相の同意がなくても廃棄でき、国立公文書館などに指定文書を秘密指定したまま移管するような制度になっていません。その他の省庁では、政府が省秘や要機密に指定した行政文書は、公文書管理法に基づき廃棄には首相の同意が必要です。実際には内閣府の公文書管理課が首相に代わり廃棄の是非を判断しています。11年度末で公文書のファイルは中央官庁全体で約1400万件あり、年間200万件ほど廃棄されました。現場では、担当者はファイルのタイトルを見るだけで保存すべきか廃棄かを判断しているそうです。そのタイトルに秘密指定だったかどうかの情報はありません。国民に秘密にしていた重要な情報かどうかも分からず、公文書が捨てられるのが現状です。
−−情報公開の現状は。
情報公開法に基づき情報公開請求しても防衛、外交、治安維持に関する情報が表に出てくることはほとんど期待できません。情報公開と情報統制は紙一重です。情報は持っている側のイニシアチブで公開される。政府がどの情報を公開するか、選別しています。政府が信頼できる存在であれば情報公開が機能しているように見えますが、信頼できなくなれば市民がコントロールされているような状態になってしまう。
秘密の中で何が起きているか分からないでいると、原発事故のような事態が起きた時に、手痛い形で降りかかってくるかもしれない。私たちにどう影響するか、確かめようがありません。もともと日本の官僚には情報統制体質があります。法案が成立して秘密の範囲が広がるということは、市民の間に意見の対立があるテーマについて、政府の情報統制が強まっていく可能性があるということでもあります。
−−政府の秘密管理はどうあるべきでしょう。
一定期間の秘密は認めても、指定の解除と公開を明確にルール化し、責任者の匿名化を許さず、後から市民が情報にアクセスできる仕組みを作るべきです。公文書管理の仕組みと秘密指定をうまく組み合わせて記録を残す必要があります。