兄さんの雑記 4(老後嫌い)
テーマ:ブログ
さてこれは、兄さんの職場に隣接する特別養護老人ホームの写真
である。
この建物の中には数十人のお年寄りが入居しており、高い入居金と
引き換えに終生介護を確約されている訳だが、やはり斯様な箱の中
にて一生を終えるのはあまりに不憫という配慮からか、月に二・三回
の頻度で、外部から歌や踊りといった各種慰問を迎え入れているのだ。
ちなみに、その弊害として、行事に伴う下膳時間の繰り上げがあり、
兄さん達は貴重な休憩時間を削り以て、お年寄り達に娯楽の場を
確保している訳だが、昨今の年金問題を鑑みるに、多くの年配者を
少ない若者達が支える、逆ピラミッドの図式成り立つのが、少子化に
悩むこの国の常だからして、その件に関しては黙って享受するより
他は無いのである。
さて先週、そんなお年寄り達の元に、ピアノの弾き語りがやってきた。
兄さん達は夕食配膳のトラックを待つ傍ら、壁三枚通してなお耳に届く
豊か且つ艶やかな声量に一同感服していた訳だが、よくよく歌詞を
聴いてみると、あろうことか、先短いお年寄り達に対して・・・
「わたしの~♪お墓のま~えで~♪泣かないでください~~♪」
などと、TPOを全く弁えぬばかりか、大切なお客様を愚弄すると断じ
られても已む無き選曲に、呆れを通り越して思わずほくそ笑んで
しまった次第。
なお、不謹慎だが、その一連の流れが的確に笑いのツボを直撃した
故に、日頃から天地ほどの格差開きし夫婦仲を取り持つ一助として、
なるべく愉快に、また、面白おかしく愛妻へと語り継いだものの、残念
ながらアテが外れてしまったようで、腹を抱えて笑うどころか、とてつも
なく淡々冷涼とした口調にて、風呂掃除を命じてきた事から察するに、
どうやら彼女は、兄さんと共に老後を過ごすなど以ての他、もしかすると
夫の即死すら切に願っているかと疑いたくなる程、兄さんの事が大嫌い
なようである。
同じテーマの記事
- 旅立つ拙者 10月02日
- 拙者の回想 10月02日
- 反省した拙者 10月02日
- 最新の記事一覧 >>