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山の線量「意外に高い」…東京・多摩

測定結果を読み上げる浦添さん(左)と書き留める高橋さん(2日、東京都・奥多摩町の川苔山で)

 地域や職場の山岳クラブなどで構成する「日本勤労者山岳連盟」(労山(ろうさん)、東京都新宿区)は、登山道などで、放射線量の調査を行っている。東京電力福島第一原発事故後、登山客から不安の声があがっていることを受けた取り組みだ。

 「あれ、意外と高いな」。2日、奥多摩町の川苔(かわのり)山(1363メートル)登山口。労山の自然保護委員長・浦添嘉徳(よしのり)さん(66)と副理事長の高橋友也さん(61)が顔を見合わせた。環境省によると、全国の大地からの自然放射線量の平均が毎時0・04マイクロ・シーベルトほど。一方、手元の放射線測定器の値は毎時0・118マイクロ・シーベルト(地上1メートル)だった。

 約2万300人の会員を抱える労山は2011年10月から、福島県を中心に東北から関東地方の山で、放射線測定を続けている。

 福島第一原発の事故後、「幼い子供と山に行っても大丈夫か」「登山をした夫が泥の付いた靴のまま戻ってきたが、放射能汚染の心配はないか」――など、登山について心配する声が寄せられたことがきっかけだ。

 「日本百名山」など国内の主要な山々はほとんどが国立公園で、環境省が管轄する。11年7月頃、浦添さんが同省東北地方環境事務所に、山の放射線量について問い合わせたところ、「測定器を購入する予算がないため、調べていない」との答えだった。そこで、山道や山頂など登山者が歩いたり休んだりする場所で、自分たちで測定することにしたという。

 福島県では11年に、携帯用放射線測定器の上限値である毎時10マイクロ・シーベルトの目盛りが振り切れた山があった。測定地点は放射性物質が滞留しやすいヤブの中だったが、登山道でも、毎時5マイクロ・シーベルトを超えた地点があった。

 こうした事情から、同県内では山開きが中止になる例もみられた。労山の会員が測定した山は現在、延べ265に上っている。

 この日の川苔山の調査では、7月15日に測定した時と地点によって目立った変化があった。特に、登山口で比較的高い値を示した。浦添さんは、「放射性物質がなくなったのではなく、移動しただけ。標高の高い場所から、登山口に放射性物質が下りてきた可能性がある」とみている。近くの尾根にある針葉樹の大木の下では毎時0・342マイクロ・シーベルトと、都内で調査を行った延べ14の山では最も高い値を示した。

 「登山道は心配ないが、大木の下やヤブの中などで長い時間を過ごすことは避けたほうが無難」と浦添さん。12月にはエベレスト登山隊への参加経験もある野口邦和・日本大学歯学部准教授(環境放射線学)と連名で、日本登山医学会の学術誌に調査結果を分析した論文を発表する。(宮沢輝夫)

2013年11月13日 読売新聞)

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