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【大阪から世界を読む】軍拡の韓国、仮想敵国は「日本」か 中韓「反日」タッグも想定すべき状態

11.12
 韓国の朴槿恵大統領がまたもや慰安婦問題などの歴史認識問題で対日批判を繰り返している。11月2日から9日までの欧州歴訪前に海外メディアのインタビューに答えて、「日本の一部政治家が歴史問題で盛んに過去に逆戻りをする発言をしており遺憾だ」と述べ、日韓首脳会談の必要性をあっさりと否定してみせた。いつも通り、「悪いのは日本だ」という論法だが、その韓国がいつの間にか日本列島のほぼ全域を攻撃できる能力を手中に収めている事実がつい最近、明らかになった。韓国はその気になれば、大阪だって簡単にミサイルで攻撃できるのだ。(笠原健)

■相変わらずの対日批判

 朴大統領は英BBC放送とのインタビューで、日韓関係について慰安婦問題を挙げながら、「『過ちはない』として謝罪する考えもなく、苦痛を受けた人を冒涜(ぼうとく)し続ける状況では(会談をしても)得るものはない」と述べ、首脳会談の開催を否定。また、フランス紙フィガロとの会見でも「欧州統合はドイツが過去の過ちに対し建設的態度を見せたため可能だった」と述べ、関係改善にはまず日本が行動すべきだとの考えを示した。

 朴大統領は2月の就任後、米中などへの外遊時にも首脳会談などで対日批判を行っている。朴大統領が歴史認識問題で国際的な対日包囲網を構築しようとしているのはもはや明白だろう。

■日本列島全域が射程に

 韓国の首都ソウルで今年10月1日に行われた韓国軍創設65周年を記念する閲兵式で、日本の軍事関係者を驚かせる出来事があった。韓国ご自慢の最新鋭兵器の一つ巡航ミサイル「玄武3」が初公開されたのだ。このミサイルは韓国が独自に開発したもので、最大射程は1500キロに達する。式典では、このほか射程300キロのミサイル「玄武2」やイスラエル製の精密誘導ミサイル「スパイク」なども披露された。

 これら韓国ご自慢の最新鋭兵器はもちろん、対北朝鮮用とされている。朴大統領も式典で「北朝鮮が核を放棄して朝鮮半島の平和のために正しい選択をするまで強力な抑止力を構築しなければならない」と強調した。

 だが、韓国が対北朝鮮用の兵器を保有するなら、最大射程1500キロにも及ぶ巡航ミサイルは必要ないはずだ。対北朝鮮用ならば、射程は500キロもあれば十分だろう。だが、ソウルから「玄武3」を発射すると日本列島のほぼ全域が攻撃可能となる。韓国国防省によると、「玄武3」は数百キロ離れた建物の窓を攻撃できるという。巡航ミサイルは地表や海面から数十メートルのところを飛ぶため、レーダーでの探知がしにくく迎撃は困難だ。

■急速に軍備を増強する韓国

 平和ボケした日本では、自衛隊による火力演習などは観光気分で見物する人も多いようだ。もちろん、それが悪いというわけではないが、もともと軍事パレードは「われわれはこれだけものすごい最新鋭兵器を持っている。だから、われわれと事を構えようとすると大変な目に遭うぞ」と近隣諸国を威圧する意味合いも持っている。

 このため、ソウルの閲兵式で「玄武3」が公開されたことを受けて、日本国内の軍事関係者の一部からは「韓国の巡航ミサイルは、実は日本を標的としているとしているのではないか」との声が挙がった。

 核兵器と弾道ミサイルの開発に躍起となっている北朝鮮や中華帝国再興の夢を追って軍拡に血眼になっている中国の陰に隠れて気がつかなかったが、韓国軍はここ数年、急速に軍備を増強しており、日本の安全保障にとって大きな懸念材料となっているといっていい。

 平成25年版の防衛白書をみてみると、韓国は陸軍が約52万人で戦車約2400両を保有している。また海兵隊が2・7万人で、海軍艦艇が約190隻、空軍の作戦機は約600機となっている。対する自衛隊は陸自が約14万人で戦車約740両を保有。海自の艦艇が141隻で、海自と空自を合わせた作戦機は410機となっている。装備が最新鋭のものかどうかや兵員の練度などで単純には比較できないが、日本にとって韓国軍は決して侮ることができない存在だ。

 特に日本にとって気がかりなのは海軍力と空軍力の増強だ。従来、韓国海軍は朝鮮半島周辺海域などをパトロールする沿岸海軍の域にとどまっていたが、近年になって強襲揚陸艦、イージス艦、潜水艦を次々と建造している。

■14年連続増加の国防費

 韓国海軍近代化の象徴がアメリカ製イージスシステムを搭載した韓国初のイージス艦「セジョンデワン」だ。2隻がすでに就役し、もう1隻は試験運用中だ。また、潜水艦部隊も増強されている。韓国の聯合ニュースによると、韓国海軍は長期の作戦行動や長距離攻撃が可能な3000トンの潜水艦9隻を2030年までに戦力化する計画だという。

 韓国は対馬海峡をにらむ済州島に大規模な海軍基地の建設を計画。また日本固有の領土でありながら、韓国が不法に占拠している竹島(島根県隠岐の島町)の北西にある鬱陵島でもイージス艦が停泊可能な海軍基地の建設計画を進めている。

 一方、韓国空軍はF4E戦闘機や旧式のF5E戦闘機が主力だったのが、1990年代に入るとF16戦闘機が導入され、最近ではF15E戦闘機爆撃機を改良したF15K「スラムイーグル」が配備されている。こうした最新鋭兵器導入を裏付ける韓国の国防費は2000年以降、14年連続で増加している。

■中国サイドで行動するのでは?

 唐突かもしれないが、ここで一つのシナリオを考えてみよう。

 《尖閣諸島への侵攻を虎視眈々と狙ってきた中国がついに海軍艦艇を派遣。艦艇や航空機の支援を受けた武装した中国軍特殊部隊が尖閣諸島に上陸する構えをみせた。日本側はすぐさま沖縄や九州から自衛隊を派遣し、中国軍の侵入を阻止しようとした。しかし、そこに驚くべき情報が首相官邸に入った。韓国軍が竹島周辺の日本海で大規模な軍事演習を実施すると突如、発表したのだ。しかも韓国の海軍艦艇や航空機は竹島だけでなく隠岐諸島の周辺海域にまで接近し始めた。単なる軍事演習なのか、それとも別の意図があるのか。2正面作戦を強いられることになるかもしれないという恐れから、困惑が深まった日本側の尖閣諸島への初動対応は大きく遅れた…》

 もちろんこれは架空のシナリオである。日米同盟と米韓同盟があり、日韓両国が武力衝突に至る可能性はかなり低いだろう。だが、ひと昔前なら「荒唐無稽(むけい)だ」と一笑に付すことができたものが今はそれができないような状況だ。

 尖閣諸島などの問題をめぐって日中関係が緊張状態に陥ったときに、韓国が日本側に好意的な立場を取ってくれればいい。しかし、韓国が中国サイドに立つような振る舞いをし始めたら、日本の対応は根本から覆る。こうしたことを念頭に置かねばならないほど、今の韓国の動向は日本にとって深刻だ。

■地域バランスを欠く「現状」

 日本の防衛費は過去10年連続で減額され、安倍政権になってようやく増額に転じた。東アジアの軍事バランスが大きく変わる恐れがあるにもかかわらず一方的に防衛費を減額するのは日本自らの安全保障のためによくないだけではない。身勝手な軍縮は、かえってこの地域の安定を崩しかねない行為といってもいい。国際社会で無責任といった批判を浴びてもおかしくはない。

 安倍政権は、日本の防衛力のあり方や具体的な整備目標の基本方針となる新防衛大綱を年末までにまとめる予定だが、日本の防衛力増強は東アジアの安定のためにも責務とさえいえる。
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