県と県警、各市町村は15日~12月1日、県内の交通死亡事故の現場258カ所に「黄色い風車[かざぐるま]」を1本ずつ供える。犠牲者に哀悼の意を示すとともに、県民に交通安全の意識を高めてもらう。15日には60代の女性がはねられて亡くなった熊本市東区の現場で、風車の設置完了のセレモニーを行う。
県や県警などが交通死亡事故現場に供える黄色い風車=県庁
県警によると、黄色い風車の設置は大阪府の交通事故の遺族会が5年ほど前に始めた。黄色はドライバーへの注意喚起、風車には「交通事故死ゼロの風を吹かせる」との願いが込められているという。
県と県警などは、2005年の国連総会で定められた「世界道路交通犠牲者の日」(11月の第3日曜日)と「犯罪被害者週間」(25日~12月1日)に合わせ、初めて企画。10年から12年までの3年間に県内で起きた死亡事故279件のうち、遺族が同意した258カ所に風車を設置する。19人の遺族から寄せられた「二度と笑顔がうばわれませんように」「淋[さび]しいです、もう一度会いたい」などのメッセージ入りのリボンも風車に結び付ける。
県内の今年の交通事故死者数は5日現在で69人と前年同期より5人増加。10月下旬から死亡事故が相次いだことを受け、県交通安全推進連盟(会長・蒲島郁夫知事)は6日から「交通死亡事故多発警報」を発令している。
県と県警は「多くの遺族は『事故を風化させたくない』『同じ苦しみを味わってほしくない』という思いを持っている。遺族の思いを風車に乗せて届けたい」と話している。(久保田尚之)
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