アングル:台風支援金が少額な中国、フィリピンとの関係修復逃す
[北京 12日 ロイター] -フィリピン中部を襲った台風30号が甚大な被害をもたらしたことを受け、米国や日本などが積極的に支援に乗り出す中、中国は比較的少額な義援金の提供にとどまり、東南アジア各国との友好関係を築くチャンスを逸したかもしれない。
世界第2位の経済大国となった中国は、東南アジアでの投資を増やし、日米と競いながら影響力を強めようとしている。ただ、中国は南シナ海での領有権を強く主張しており、周辺各国と緊張関係にある。それが最も顕著なのがフィリピンだ。
中国政府は義援金10万ドル(約990万円)の提供を約束し、中国赤十字社も10万ドルを提供すると発表。これは他の経済大国と比べると極めて少ない。
日本は1000万ドルの資金協力とともに、国際緊急援助隊を派遣。オーストラリアは960万ドルを寄付した。
「中国指導部は寛大さをアピールする機会を逃した」。こう語る香港城市大学のジョセフ・チェン教授は、「中国は台風被災者に支援を申し出たが、その規模は(フィリピン政府との)険悪な関係を反映している」と指摘した。
中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」でさえ、今回の対応をめぐり、政府の国際的立場に与える影響に懸念を表明。解説記事で「中国は責任ある大国として、当該国との関係にかかわらず、被災した隣国を支援するため、救援活動に参加すべきだ」と主張。さらに「中国の国際的イメージは、国益にも極めて重要。今回フィリピン政府に冷たい態度を取るなら、中国は大きな損失を被ることになる」と強調した。
<国民感情>
8日にフィリピン中部を襲った台風30号で、レイテ州タクロバンは壊滅状態になり、当局者らは同市だけでも死者数は1万人を超える可能性があるとしている。 続く...