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2013年10月21日【大自在】

(10/21 07:45)

 国内の全弁護士で組織する日本弁護士連合会で、会長を補佐し、事務一切を取り仕切るのが事務総長。その要職に東京以外の弁護士会から初めて就いたのが浜松市の故大石隆久さんだ

▼一見こわもての風貌。日弁連の職員が路上で「総長」と呼んだら、周囲の通行人が凍り付いたという。素顔は笑顔が優しい人情家で、多くの人に慕われた。刑事弁護を中心に活躍し、県の選挙管理委員長なども歴任した

▼大石さんが全国に名前を知られたきっかけは国家秘密法の反対運動である。スパイ防止法とも呼ばれた。昭和の終わりごろ、議員立法で成立を目指す動きが具体化する。政治色の強い問題を敬遠する空気もあった日弁連をまとめ、反対を決議する流れをつくった

▼法律実務家の視点から法案の問題点を指摘し、思想や政治的立場を超えて賛同の輪を広げた。「基本的人権を侵害する懸念がある」「国民への情報公開の充実こそ先決」。粘り強い訴えは与党議員や経済界の一部にも共感を呼び、法案は廃案となる

▼「先生は愛国心がおありですか」。大石さんの説得力ある説明に言葉を返せなくなった法制定論者から、こんな質問が出たことがある。大石さんは穏やかな笑みを浮かべて答えたという。「少年時代に海軍で特攻隊を志願していました」

▼四半世紀の時を隔て、特定秘密保護法案が今国会に提出される見通しとなった。罰則など違いはあるものの、ほとんど国家秘密法案の焼き直しに見える。日弁連は反対の姿勢を示す。大石さんが弁護士の信念を懸けた「闘い」はまだ続いている。

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