熱血!与良政談:もっとテレビも報道を=与良正男

毎日新聞 2013年11月13日 15時25分

 何でもかんでも「秘密」に指定し、それを未来永劫(えいごう)、保護する法案。国会で審議が続く特定秘密保護法案を私は最近、テレビやラジオでこう呼んでいる。それが決して大げさな言い方でないことは、みなさんにも理解をいただき始めていると思う。

 私たち報道に携わる者にとって深刻だというだけではない。一般市民も巻き込まれる恐れが十分ある。

 よく挙げられる例を一つ。居酒屋で官僚ら特定秘密の取扱者が特定秘密に関わる会話をしているのをたまたま聞いてしまったとする。その事実が判明すれば漏らした官僚は恐らく逮捕。聞いてしまった市民は逮捕されないかもしれないが、警察に事情聴取され、家宅捜索を受けて携帯電話やパソコンを押収される可能性がある。

 一方、万一起訴され裁判になった場合でも特定秘密は明らかにされない。自分がどの情報を聞いたのが罪になるのかさえ分からないのだ。

 秘密の分野が防衛や外交だけでなく「特定有害活動(スパイ活動など)の防止」に拡大したことで、警察当局が日ごろ、私たち市民に対して、どんな情報収集活動をしているのか、ますますチェックしにくくなるという問題もある。

 政府・与党は「日本は情報がダダ漏れで、これでは米国から防衛(=軍事)情報をもらえない」と説明する。最近は米国の方がダダ漏れだと突っ込みたい気もするが、百歩譲って日本側に問題があるというなら、まずコンピューターなどのセキュリティーシステムの強化にお金をかけるのが先ではないか。「米国の要請」を錦の御旗(みはた)にして警察当局などが便乗し、秘密の範囲拡大を図ろうとしているとしか私には思えない。

 私も出演したので少し手前みそになるが、TBS系「朝ズバッ!」では週初めの11日、自民党の中谷元氏、民主党の渡辺周氏らを交えてこの法案を特集した。十分とはいえないが、少なくとも数々の問題点は浮き彫りになったと思っている。

 それにしても他の放送局はなぜ、とりわけ朝の番組であまり取り上げないのだろう。重要性はないと考えているのか。難しそうな話だから視聴率が上がらないと考えているのか。新聞はもちろん、難しそうな話を分かりやすく解説するのがテレビの役割じゃないのか。(論説委員)

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