11月12日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルは対円で2カ月ぶり高値、米経済指標の好調で
ニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で上昇。2カ月ぶり高値を付けた。米国の景気拡大に勢いが付き始めた兆候を受け、ドルの魅力が高まった。
ドルは主要16通貨の大半に対して上昇した。シカゴ連銀が発表した9月の全米活動指数が上昇。前週に発表された雇用者数は予想を上回った。日本の国内総生産(GDP)統計の発表を前に円は安い。米10年債利回りは9月18日以来の高水準となった。
ゲイン・キャピタル・グループのシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は電話インタビューで、「これは相場の安定化で、ドルはかなり買い支えられているようだ。対円でのドルはレンジを上抜け、米国債利回りとの関係が強まっているみたいだ」と指摘した。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対円で0.5%高の1ドル=99円64銭。一時は99円80銭と、9月13日以来の高値を付けた。前回100円を付けたのは9月11日。対ユーロでは0.2%下落して1ユーロ=1.3436ドル。円は対ユーロで0.7%安の1ユーロ=133円87銭。
主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数は0.1%上げて1022.05。一時は9月13日以来の高値となる1025.01に上げた。
米10年債利回りは3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.77%。日本の10年債利回りは0.59%。
ポンドポンドは対ドルと対ユーロで3日続落。英政府統計局(ONS)が12日発表した10月の消費者物価指数は前年同月比2.2%上昇と、9月の2.7%上昇から減速。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト34人の調査中央値2.5%上昇も下回った。イングランド銀行(英中央銀行)は13日に四半期物価報告を公表する。
ポンドは対ドルで0.5%安の1ポンド=1.5905ドル。一時は1.5855ドルと、9月13日以来の安値を付けた。対ユーロでは0.8%下落。
全米活動指数は0.14に上昇した。前月は0.13に修正された。前週に発表された10月の非農業部門雇用者数は20万4000人増と、ブルームバーグがまとめた調査の全予想を上回った。
みずほフィナンシャルグループの米為替セールス責任者、ファビアン・エリアソン氏は電話インタビューで、「先週の統計を受け、ドルは他の通貨よりも堅調で、今週もその流れが続いているようだ。ドルの全面的な強さが続いている」と語った。
短期金利や国債利回り、社債利回り、株式相場のボラティリティなどを加味したブルームバーグ米金融状況指数は0.4%上昇の1.825と、終値ベースでは1994年1月の指数導入以降で最高となった。
円安円は主要通貨の大部分に対して下落した。内閣府が13日発表するGDPは0.4%増と、前四半期の0.9%増から減速が見込まれている。
クレディ・アグリコルの外国為替戦略の欧州責任者、アダム・マイヤーズ氏は「数日以内にドルが100円に達する可能性は高い。米国の金融緩和の縮小が早まるとの思惑からドルは対円で上昇するだろう」と述べた。
同氏はドルが6カ月以内に103円、1年以内に105円に上昇するとのクレディ・アグリコルの見通しを示した。ドルは2008年10月以来、105円に達していない。
ブルームバーグが8日に32人のエコノミストを対象に行った調査では、来年3月18、19日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で債券購入規模が現在の850億ドル(約8兆4200億円)から700億ドルに縮小されるとの見方(予想中央値)が示された。10月17、18日に40人のエコノミストを対象に行った調査と同様の結果だった。
先進10カ国・地域通貨で構成するブルームバーグ相関加重指数によれば、ドルは年初から4.3%上昇。円は11%安、ユーロは6.5%上げている。
原題:Dollar Rises to 2-Month High Versus Yen on Fed Bets; KiwiDrops(抜粋)
◎米国株:反落、企業決算や景気改善の兆候受け緩和縮小の見方強まる
米株式相場は反落。ダウ工業株30種平均は過去最高値から下げた。企業決算や景気改善の兆候を受けて、金融当局が12月に刺激策を縮小するとの観測が強まった。
電力のNRGエナジーが安い。同社は2013年の調整後ベースでの利益目標を引き下げた。メディアのニューズ・コープも下落。減収決算が嫌気された。一方、衛星テレビのディッシュ・ネットワークは上昇。決算で利益が予想を上回った。
S&P500種 株価指数は前日比0.2%安の1767.69。ダウ工業株30種平均は32.43ドル(0.2%)下げて15750.67ドル。
米ウェルズ・キャピタル・マネジメントの最高投資ストラテジスト、ジェームズ・ポールセン氏は「8日発表の雇用統計。これを受け、市場では12月に縮小があるかもしれないとの見方に変化した。またその後も金融当局者から12月縮小の可能性が排除されていないことを示唆する発言が増えている」とし、「昨夜にはフィッシャー総裁、きょうはロックハート総裁からそうした発言があった。ロックハート総裁のきょうの発言はひどく驚くような内容ではないが、12月縮小に向けたモメンタムを強めるものだ」と続けた。
緩和縮小議論アトランタ連銀のロックハート総裁はブルームバーグラジオのインタビューで、「12月の会合で、ある程度の購入縮小議論が行われる可能性は十分にある」と述べた。またダラス連銀のフィッシャー総裁はメルボルンでの講演で、現行の米金融緩和策のリスクは日ごとに高まっているとの認識を示した。
エコノミストらは、連邦公開市場委員会(FOMC)が資産購入の縮小決定を3月18-19日の会合まで遅らせると予想している。ブルームバーグが8日、エコノミスト32人を対象に実施した調査の中央値によれば、同会合でFOMCは購入規模を700億ドルに減らす見通しだ。次回のFOMC会合は12月17-18日。
米上院銀行委員会は14日にイエレン次期連邦準備制度理事会(FRB)議長の指名承認公聴会を開く。ここで金融当局の考え方が市場に示される可能性がある。
当局の緩和策を受け、S&P500種は2009年3月の安値から160%余り上昇している。今年に入ってからは24%上げ、このままいけば年間上昇率はここ10年で最大となる。またブルームバーグのデータによれば、同指数の株価収益率(PER、予想ベース)は16倍と、5年間の平均(14倍)を上回っている。
好調な決算シーズンS&P500種の構成銘柄では13社程度がこの日決算を発表した。同指数の構成銘柄でこれまでに四半期決算を発表した450社のうち74%で利益がアナリスト予想を上回った。
フィラデルフィア・トラストの最高投資責任者(CIO)、リチャード・シーシェル氏は「好調な決算シーズンだった。株式相場にプラスとなったのは間違いない」と述べた。
S&P500種の業種別10指数ではこの日6指数が下落。公益や金融の下げが特に目立った。
NRGは3.5%安の27.06ドルと、2カ月ぶり安値。同社は13年通期の調整後利益のレンジの上限を引き下げたほか、14年の目標を下方修正した。
ニューズ・コープは1.6%下げて17.15ドル。同社の7-9月(第1四半期)決算は2.8%の減収となった。印刷媒体広告の需要縮小が響いた。
ディッシュは6%高の50.35ドルと、2000年5月以来の高値となった。
原題:U.S. Stocks Drop as Improving Economy, Earnings Fuel TaperBets(抜粋)
◎米国債:10年債利回りが一時8週ぶり高水準、緩和縮小観測で
12日の米国債市場では10年債利回りが8週ぶりの高水準に上昇 した。米国経済に明るい兆しがみられ、米金融当局が資産購入を縮小するとの見方は強まっている。
アトランタ連銀のロックハート総裁は「12月の会合で、ある程度の購入縮小議論が行われる可能性は十分にある」と述べた。ブルームバーグとEFFASがまとめたデータによると、償還期限が10年かそれ以上の国債は年初から11%下落し、ソブリン債144指数の中で最悪のパフォーマンスとなってる。米財務省による3年債入札(300億ドル)実施後も米国債は軟調に推移した。
BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は、「今回の入札で、買い手は現れるが問題は適正価格であることをあらためて思い知らされた」と述べ、「すべては金融当局次第だ」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時1分現在、10年債利回りは前営業日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.77%。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は1/4下げて97 22/32。利回りは一時、2.79%と9月18日以来の高い水準をつけた。
RSI指数ブルームバーグのデータによれば、10年債利回りの相対力指数(RSI、期間14日)は63。11月7日は48.5だった。同指数は翌8日に61.3に急伸した。8日に発表された10月の米雇用統計で市場予想を上回る雇用増が示されたことが影響した。RSIは30を下回るか70を上回ると、方向感の変化を示唆するといわれる。
既発3年債利回りは4bp上昇して0.62%。前月の3年債入札時の最高落札利回りは0.71%だった。
この日の3年債入札の結果によると、最高落札利回りは0.644%。入札直前の市場予想は0.651%だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率は3.46倍、過去10回の平均値は3.32倍だった。
コーリ氏は「応札倍率は米国債にとって非常に良好な結果だった」と述べた。
ブルームバーグがまとめた財務省のデータによると、年初から実施された入札の規模はこれまでに計1兆8150億ドルで応札倍率は平均で2.88倍。2012年は2兆1530億ドルの入札規模に対して、応札倍率が3.15倍と過去最高だった。
間接入札者の比率海外の中央銀行を含む間接入札者の落札全体に占める比率は33.3%だった。過去10回の入札の平均は29.4%。プライマリーディーラー以外の直接入札者の落札全体に占める比率は19.4%。過去10回の平均は18.3%となっている。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、3年債のリターンは年初からプラス0.2%。米国債全体では2.7%のマイナスとなっている。昨年の3年債リターンは0.6%のプラス、米国債全体では2.2%のプラスだった。
米国債は13日に10年債(240億ドル)、14日に30年債(160億ドル)の入札を実施する。
ミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁は、少なくとも失業率が5.5%を下回り、1-2年先のインフレ期待値が2.5%を下回るまでは低金利を支持すると述べた。
ブルームバーグがまとめたフェデラルファンド(FF)金利先物動向によると、当局が2014年12月までFF金利を据え置く確率は82%と、1カ月前の74%から上昇した。
原題:Treasury Yields Climb to Eight-Week High Amid Fed TaperingViews(抜粋)
◎NY金:続落、4週間ぶり安値-米景気回復の兆しで緩和縮小観測
ニューヨーク金先物相場は続落。4週間ぶりの安値となった。米景気回復の兆しを背景に、金融当局が緩和縮小に踏み切るとの観測が強まった。
インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズ(シカゴ)のヘッドディーラー、フランク・マギー氏は電話インタビューで、「緩和縮小が再び最重要テーマになっている」と指摘。「現在の市場環境において、金が上昇する理由はない」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.8%安の1オンス=1271.20ドルで終了。引け後には一時1262.30ドルと、中心限月としては先月15日以来の安値をつけた。
原題:Gold, Sliver Drop to Four-Week Lows on Outlook for U.S.Stimulus(抜粋)
◎NY原油:5カ月ぶり安値、在庫増観測と緩和縮小の思惑で
ニューヨーク原油市場のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物相場は5カ月ぶり安値。米在庫増観測に圧迫されて反落し、北海ブレント原油に対するディスカウント(価格差)は拡大した。米金融当局が緩和措置を縮小するとの見方から株式が下げると、WTI先物の下げは加速した。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「生産水準が非常に高いため、在庫は一段と積み上がったとみられる」と指摘。「金融政策による支援が削られるとの不安が原油価格を圧迫している」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物12月限は前日比2.10ドル(2.21%)安の1バレル=93.04ドルで終了。終値としては5月31日以来の安値。
原題:WTI Crude Widens Discount to Brent as It Falls to Five-Month Low(抜粋)
◎欧州株:下落、決算要因で売り-株式売却でノルスク・ハイドロ安い
12日の欧州株式 相場は下落。企業決算が注目された。一方、中国は経済成長における市場の役割を高めると表明した。
ノルウェーのアルミメーカー、ノルスク・ハイドロは2001年以来の大幅下落。同社株をブラジルのヴァーレが売却したことが嫌気された。ドイツの半導体メーカーのインフィニオン ・テクノロジーズは5.6%安。第1四半期の収益率が低下するとの同社見通しが売り材料。一方、新しい最高経営責任者(CEO)を指名したスイス生命は5年ぶり高値を付けた。
ストックス欧州600指数 は前日比0.6%安の321.68で終了。同指数は前週まで5週続伸していた。欧州中央銀行(ECB)が利下げを実施したほか、米金融当局が債券購入の継続を決定したことが背景にある。
クロスブリッジ・キャピタルの投資責任者、マニシュ・シン氏(ロンドン在勤)は「次の成長の波を起こすためには、中国などの新興国全体が構造改革を実施する必要があるだろう」と発言。「欧州市場はまだ、先週のECBのニュースを消化している段階だ。これをきっかけにに、欧州にとって転換点となり得るデフレの兆しについての不透明感が浮上し始めている」
12日の西欧市場では、18カ国中16カ国で主要株価指数が下落。仏CAC40指数は0.6%、独DAX指数は0.3%それぞれ下げた。
中国指導部は12日の第18期中央委員会第3回総会(3中総会)の閉幕後の声明で、同国経済のリソース配分において市場に「決定的な」役割を果たさせると表明した。国営の新華社通信が報じた。
原題:European Stocks Decline; Norsk Hydro Shares Tumble onStake Sale(抜粋)
◎欧州債:ドイツ国債が下落、米緩和縮小の観測で-英国債は上昇
12日の欧州債市場では、ドイツ国債が下落。米景気拡大の兆候から米金融当局が債券購入ペースを縮小する可能性が高まり、国債需要が減退した。
ドイツ10年債利回りは約3週間ぶり高水準に達した。同国はインフレ連動債を7億5500万ユーロ発行した。独10年債は先週も下落。同週は米雇用統計でエコノミスト予想を上回る雇用者数増加が示された。この日の取引でイタリアとスペインの国債も値下がり。イタリアの1年物証券入札で、平均落札利回りは過去最低となった。
ダンスケ銀行(コペンハーゲン)のチーフアナリスト、アラン・フォンメイレン氏は「ドイツ国債に重しとなっているのは米国だ」とし、「緩和縮小が再び注目材料だ。先週の米雇用統計が流れを完全に変えた。独国債利回りは1.7-1.9%の間でしばらく推移すると思う」と語った。
ロンドン時間午後4時28分現在、ドイツ10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.79%。これは先月23日以来の高水準。同国債(表面利率2%、2023年8月償還)価格は0.315下げ101.87。
同年限のスペイン国債利回りは1bp上昇し4.11%、イタリア国債の利回りは2bp上げ4.15%となった。
英国債相場は上昇し、10年債利回りは前日比1bp低下の2.80%。一時は先月16日以来の高水準となる2.83%まで上昇した。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格はこの日、0.055上げ95.315。
原題:German 10-Year Bonds Decline With Italy’s Amid FedTapering Bets(抜粋)Pound Weakens to Two-Month Low as Inflation Slows; Gilts Advance(抜粋)
更新日時: 2013/11/13 07:56 JST