東日本大震災:福島第1原発事故 避難所のカフェ休止 双葉町民「他に作って」−−加須 /埼玉
毎日新聞 2013年11月01日 地方版
福島県双葉町の避難所がある加須市の旧騎西高校内に設置された休憩所「Fカフェ珠寿」が31日、運営を休止した。避難所の住民や加須市周辺の町民らが情報交換したり、悩みを相談し合ったりする「サロン」だったため、利用者らは「寂しい」「他に作ってほしい」と惜しむ。町民有志で作る運営グループは移転先を探すなど、再開を模索している。
Fカフェは昨年10月にオープン。社団法人「情報環境コミュニケーションズ」(さいたま市、愛甲裕代表)の支援を受け、町民有志が運営してきた。しかし、避難所が近く閉鎖される方針のため、町がカフェに対して施設使用の終了を通知した。
運営スタッフの菅本章二さん(57)は11月中旬に同校から近くのアパートに移り住む予定で「ここに通えばみんなに会えると思っていたのに」と残念がる。同校を出た後も毎日カフェに通っていた町民の女性(68)は「家にいたらテレビが友達。ここで相づちを打ってくれる仲間がいるだけで、ストレス発散になった」と寂しそうだ。
カフェの運営グループ代表の鵜沼友恵さん(38)は「最後の1人が出て行くまで続けたかった。私にとっても居場所だった」。避難所には1人暮らしや夫婦で暮らす高齢者が多く、「避難所を出ると孤立して、最初の半年は精神的につらいはず。定期的にでも交流できる場を作りたい」と話す。
愛甲代表は「単独ではなく、町や社協などと連携して町民をケアしていけるよう支援を続けたい」と強調。町は「県に借りている施設なので、お返ししないといけない。町民の支援は続けていく」としている。【大平明日香】