久保は先発としての評価も高く、流出の可能性が高まった【拡大】
考え抜いた末、ついに決めた。代理人を通じて球団にFA宣言の書類を提出。久保が申請提出締め切り日よりも1日早く最終決断した。通算68勝の右腕が市場に出れば、人気を集めることは必至。タテジマの戦闘服を脱ぐ可能性が一気に高まった。
「『他球団の話を聞きたい』ということでしたので、FA宣言の書類を頂きました」
甲子園が闇に包まれた午後6時前。交渉役を務めていた高野球団本部長が球団事務所で発表した。事情を説明する中で「残ってくれれば、という気持ちでしたから…」という率直な言葉が、久保の心を抑えられなかったという落胆の色をうかがわせた。
2005年ドラフト自由枠でロッテに入団した右腕は、新人王を獲得。09年にトレードで阪神入りすると、翌10年には14勝5敗、防御率3・25をマークし、自身初の200投球回を達成した。
その後も虎の先発ローテを守ってきたが、今季は大リーグ・カブスヘ移籍した藤川の代役として守護神に配置転換された。しかし、44試合で3勝4敗6S、防御率2・85。不調や右太もも裏の故障で5月末から2カ月も離脱していた。
今年4月22日に国内FA権を取得した際には、当時は「シーズン中なので」と明言を避けていたが、関係者の話を総合すると、久保は自らのポテンシャルを最も高めてくれる球団を求めているという。阪神側は複数年契約を提示したとみられるが、金銭面がネックになったわけではない。