●県立医大が発表

 【野瀬輝彦】東京電力福島第一原発事故による子どもの甲状腺検査について、県立医大は12日、カルテ情報など詳細な検査結果を開示する際の手続きを簡素化すると発表した。開示費用を無料にし、手続きを1回で済ませる。一方で、詳細情報の提供は開示を請求した受検者と保護者に限るという。

 同日、福島市内であった、健康影響を専門家が検討する県民健康管理調査検討委員会で明らかにした。簡素化は即日、実施する。

 検査結果は、甲状腺内のしこりの大きさなどによって「A1」「A2」「B」「C」と分類され郵送で通知される。だが、しこりの具体的な大きさが分かる画像や資料などがなく、情報が足りないとして不安に感じる人が少なくなかった。

 その結果、これまでに約200人が県個人情報保護条例上の公開請求を使って詳細情報の開示を請求。だが、1回の請求ごとに最低2回は申請が必要なことや、コピー代として開示資料1枚につき10円かかることに批判があった。

 県立医大は今後、カルテに記載されるような、しこりの具体的な大きさや場所などがわかる書類を開示する。また、甲状腺の超音波検査結果の画像や動画も提供できるという。

 ただ、そもそも受検者が自身の情報を知るのに、情報公開請求が必要なことも問題視されている。これについて県と県立医大は、条例に基づく請求が必要な個人情報にあたる、という姿勢を崩していない。また、これまでに情報公開請求した200人に費用の返却はしないという。

 また、この日の委員会では、前回に設置が決まった「甲状腺検査専門部会」を今月27日に開催することも報告された。一方、1年半にわたり甲状腺検査の結果を誤って集計していた問題について、阿部正文・県民健康管理センター長は、外部機関に委託しダブルチェックを実施していく考えを示した。