まずは本日付のロイター電。
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仏電力公社が米原発市場から撤退、シェールガス革命で
米国では、シェールガスによる発電コスト低下を受け、複数の原発が閉鎖、もしくは閉鎖予定となっている。
同社のアンリ・プログリオ最高経営責任者(CEO)は「米国の目覚しいガス価格低下は、数年前まで想像できなかった。これにより、他のすべてのエネルギー源に対する競争力が大幅に高まった」と述べた。
同社は、米国内で原発5基を運営する合弁会社コンステレーション・エナジー・ニュークリア・グループ(CENG)から撤退することで、提携先の米エクセロンと合意。2016年1月─2022年6月に適正価格でCENG株をエクセロンに売却する権利を確保した。
同CEOは「米国の原子力開発を取り巻く環境は現在好ましくない」と指摘。今後、米国では再生エネルギー事業に注力する方針を示した。
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上記の記事からお分かりのように、フランスの原発事業者が、「シェールガス」の出現で商売にならなくなったという理由で、“原発大国”のアメリカから、撤退するというニュースだ。
流して読むと、ふつうのニュースように聞こえるが、よく読んでほしい。
これはフランスがテーマではなくて、アメリカの話だということが大事な点だ。
CO2削減を掲げ、原発推進を掲げてきたアメリカ、つまりオバマ大統領は、日本人が知らないうちに、その政策を大きく転換し、国内の原発を廃炉にしていく方針に変えたというのだ。
思い出してほしい。福島の事故以後も、日本国内では、アメリカなどの主要原発保有国は、流れを変えずに、原発を推進しているかのように報道されてきた。
アメリカの原発はどうなっているのか?
さかのぼれば、2008年の大統領選での、バラク・オバマ大統領の言葉。
「今後10年で1500億ドルをかけて、全米に十分いきわたるエネルギーを確保する。そのひとつが原子力で、核エネルギーを安全に利用していく」と原発推進を強調。
2010年1月の一般教書演説でもオバマ大統領は「グリーンエネルギーの生産性と効率を向上させる。その一環として、安全なクリーンな新世代の原発を建設していく」と力説していた。
しかし、その後のシェールガスの登場で、事態は一変する。わずかここ数年のことだ!
そして、天然ガスや石炭の価格が下落する。さらに福島事故が後押しすることになり、一挙に議会をとともに「原発はペイしない」との結論に傾く。
今では104基あった原発は100基をきることになり、今後も40基を超える原発が20年以内に廃炉になることが決まっている。
つまり、アメリカ国民は、一度事故を起こせば、膨大な費用を要するうえ、安全対策にコストのかかる原発と、シェールガスを天秤にかけたところ、明らかに原発推進を放棄したのだ。
日本は原発離脱の流れから「置いてけぼり」をくらっただけではない。
さらにアメリカ人はずるがしこい。
原発を推進してきたゼネラル・エレクトリック(GE)を日本の日立に事業統合させたのだ。戦後、原発事業の核をなしてきた、GE社を本来ならばそう簡単に、日本に手渡すはずはない。
用済みとなった「原発企業」を日本に売り渡し、今後の責任をとらせようという魂胆だ。
そうした動きと呼応するかのように、アメリカ・カリフォルニア州では、運転停止中の原発の廃炉をめぐり、電力会社側が原発の建設にかかわった三菱重工に対して、138億円を上回る損害賠償請求を起こすというニュースが飛び込んできた。
放射性物質が漏れ出したために、この原発を停止していたのだが、原因となった機器
つまり、停止した責任は日本の企業にあり、廃炉に関わる費用も一挙に日本の企業に押し付けようという腹積もりだ。いまや世界に原発を輸出しようとしている日本にとってはこれはケーススタディになる。
日本は一日も早く、代替エネルギーを見つけ出し、原発事業から抜け出さなければ、重い足かせを世界中の国々からはめられる結果となり、いずれアリ地獄のように逃れることができずに、国力を衰えさせてしまうことになる。
世界の原発の後退を突いた時期を得た投稿だと思います。
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