名古屋グランパスの来季の新監督として西野朗氏(58)が就任することが決定的となった。今季限りで退任するドラガン・ストイコビッチ監督(48)の後任として複数の候補者の中から一本化。トヨタ自動車の豊田章男社長(57)らが出席して名古屋市内で開かれた12日の取締役会で、正式オファーに進むことを確認した。水面下での調査で就任に障害はなく、今後は条件面の詳細を詰めた上で、シーズン終了後の発表を目指す。
Jリーグ歴代最多となる244勝を挙げ、日本人指揮官として初めてACLを制覇した希代の名将に、ポスト・ピクシー時代が託されることとなった。クラブはストイコビッチ現監督の退任検討と同時に、新監督の選定に着手。複数の日本人監督の中から西野氏に一本化した。近日中に正式オファーを出す予定で、福島副社長は「年内にはきちっと契約を済ませられれば」と見通しを語った。
この日の取締役会ではまず、ストイコビッチ監督の退任を正式に承認。続いて新監督選考の考え方が役員に報告された。福島副社長は「目指す組織的で攻撃的なサッカーを継承してくれる方で、できるだけキャリアのある方がふさわしい」と説明。また、新監督の条件として、若手育成にたけていること、クラブのレジェンドであるストイコビッチ監督に劣らないカリスマ性を持つことも重視した。
西野氏は早大時代から日本代表に名を連ねたスター選手で、G大阪を率いた10年間で現日本代表MF遠藤らを育て、魅力的なパスサッカーを完成させるなど、すべての要素を満たした。
西野氏は昨年5月に就任した神戸の監督をわずか6カ月で解任され、現在はフリー。就任に障害はなく、7月の東アジア杯など国内外での視察を活発に行っている。4月にグランパスの久米GMに請われてゲスト出演したトークショーの後には「下の世代の日本人監督が出てきているが、われわれの世代もまだまだ負けられないという気持ちはある」と、現場復帰への意欲を明かしていた。地に落ちた名門の再生を、名将が担う。
<西野朗(にしの・あきら)> 1955年5月7日、さいたま市出身の58歳。現役時代は攻撃的MF。日本代表12試合1得点。引退翌年の91年からU−20日本代表監督に就任。U−23日本代表では28年ぶりとなるアトランタ五輪出場に導き、本大会グループリーグでのブラジル撃破はマイアミの奇跡と呼ばれた。98年から柏の監督に就任し、99年にはナビスコ杯を制覇。2002年から率いたG大阪では05年J1リーグ、07年ナビスコ杯、08年ACL、08、09年天皇杯などタイトルを多数獲得。00、05年Jリーグ最優秀監督。08年AFC最優秀監督。Jリーグ歴代最多の通算244勝。
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