私たち日本人が見慣れている世界地図は、だいたい真ん中あたりの位置に日本列島がある。日本の左側、つまり西側には朝鮮半島と中国大陸があり、左下(日本の南西)にインドシナ半島が伸びている。日本の南にはフィリピンやマレーシアなど諸島部の東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々が散らばっている。
ふだん「日本の周りの国々」とか「東アジア地域」を考えるとき、多くの日本人の頭に浮かぶのは、この程度の範囲の地域ではないだろうか。インドはちょっと遠いし、オーストラリアを「アジア」と呼ぶには違和感がある。
■日本人が忘れがちな近隣諸国
ところが日本には、普段は意識に上がってこないアジアの近隣諸国がたくさんある。フィリピン諸島の東側に広がるのが「ミクロネシア」と呼ばれる地域。パプアニューギニアから東方の海域と群島は「メラネシア」と呼ばれ、さらに東側には広大な「ポリネシア」が広がっている。
地図はたいてい陸地を中心に描かれるから、これらの小さな島国は割愛されてしまう場合もある。とりわけ中国大陸やインドシナ半島が大きい「東アジア」の地図となると、ミクロネシアやポリネシアは、はるか右の方に押しやられてしまう。
ここに日本人が忘れがちな大きな盲点がある。ミクロネシアの島々は、日本列島の南端である沖ノ鳥島の目と鼻の先。まぎれもない日本の近隣国なのだ。
青い水とサンゴ礁が広がる海。熱帯魚やイルカとたわむれる静かで平和な群島の生活――。今回「未来世紀ジパング」の取材班が焦点を当てたパラオ共和国は、ミクロネシア地域の西端に位置する海上の楽園である。
しかし、一見争いごとと縁がなさそうな、このパラオを一皮むくと、世界の大国が激しい覇権争いを繰り広げる“戦場”の素顔が浮かび上がる。取材班が迫ったのは、札束が飛び交う経済外交の攻防戦。そして目的不明の怪しい船がパラオ近海を行き交うという、生々しい現実だった。のどかなイメージとは裏腹に、この地域はまさに「沸騰の現場」である。
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