<第2のアニータ事件か>

 長野県建設業厚生年金基金の元事務長、坂本芳信容疑者(55)がタイ・バンコクで入管法違反容疑で逮捕された事件。同基金では05〜10年に23億8700万円が使途不明金になり、坂本はそのうち6000万円を着服した業務上横領容疑で国際手配されていた。

「長野県警は計約24億円を坂本が着服したとみています。逃亡前の坂本は次々と高級外車を乗り換え、200万円のスーツを着て月に1度上京。高級ホテルに宿泊して銀座で豪遊し、ホステス3、4人を連れて食事するなど、カネを湯水のように使いまくっていた。タイ人女性を含む複数の女性と親密な交際をしていたが、使い込みがバレそうになったため、10年9月に逃亡しました。坂本は長野市内に自宅があり、妻と4人家族。家族とは音信不通で、地元では“どこかで死んでるんじゃないか”という声も上がっていました」(捜査事情通)

 2001年に発覚したアニータ事件の被害額14億円を大幅に上回る使い込み事件だが、逮捕されたときの坂本は現金1万円しか持っていなかった。着服したカネでタイの女性に200万バーツ(628万円)を貢ぎ、別の女性に現金60万バーツ(188万円)と10万バーツ(31万円)のロレックスの腕時計を与えるなど散財した揚げ句、最後は家賃8000円のアパートに転落したのだ。

「その家賃も払えなくなり、交際していた女性に払ってもらっていたが、その女性に密告されて逮捕されました。長野県警は昨年12月、金融機関をだました疑いで東京・港区のファンド運営会社を家宅捜索。坂本は逃亡前に“視察旅行”と称してこの会社の社長と頻繁に海外に出かけていた。24億円は女に貢いだほかに、このファンドを経由してどこかに消えたのかもしれません」(地元関係者)

 普通の勤め人が女にハマり、銀座通いと海外旅行にうつつを抜かして大金を着服とはアキれた話。どんな人が危ないのか。明大講師の関修氏(心理学)に聞いた。

「女性との遊び方を知らないマジメなタイプです。お金はあるけど、米国やフランスの女性が相手だと物おじし、発展途上国の女性と深い関係になろうとします。視野が狭くて思い込みが激しく、他人の意見を聞かない人がこうした暴走を起こしがちです」

 坂本は早ければ今週帰国する予定。大金の行方をどう説明するのか。