産経新聞 11月3日(日)11時10分配信
ここ数年で超人気者になった「くまモン」をはじめ「ふなっしー」や「バリィさん」など、全国各地で“増殖”を続ける「ゆるキャラ」。ブームの火付け役「ひこにゃん」のおひざ元の滋賀県彦根市では10月19、20の両日、全国のキャラクターが一堂に集まる恒例のイベントが開かれた。その数236体。お目当てのゆるキャラやマスコットたちを一目見ようと2日間で7万3千人が詰めかける相変わらずの人気ぶりだったが、マンネリが嫌われてか“癒し系”だけでなく“過激系”キャラが増えるなど、最近の傾向も垣間見えた。
【フォト】 人気のふなっしー
■ご当地キャラ博に名称変更
“恒例”のイベントとはいえ、今回は過去5回続いた「ゆるキャラまつりin彦根」から、「ご当地キャラ博in彦根」に名称を変更しての開催となった。
主催の実行委員会によると、ゆるキャラの「ゆる〜い」イメージがひとり歩きしてしまい、当初の目的だった「ご当地のPR」という目的と乖離(かいり)してきた−というのが、名称変更の理由だとか。参加条件を自治体や公的団体、地域おこしグループなどの管理するキャラクターに絞り込んだという。
このため、事務局では参加キャラクター数の激減を心配したが、ふたを開けてみるとほぼ例年並み(昨年は244体)の規模を維持することができた。参加するキャラクター側も、訪れるファンたちにとっても、そうした詳細なコンセプトは二の次なのかもしれない。
■「ふなっしー」が人気
国宝彦根城の南側に延びるメーン会場の「夢京橋キャッスルロード」。小雨がぱらつく19日朝、その一角に設けられたステージのひとつで開幕式が行われ、ホスト役を務める地元・彦根のキャラクターたちが勢ぞろいした。ひこにゃんを筆頭に、「しまさこにゃん」「いしだみつにゃん」「やちにゃん」ら計13体が、各地から駆け付けたマスコットやファンらをゆる〜く、温か〜く迎えた。
このあと、会場一帯に設けられた各ステージで自己紹介や特技披露などのパフォーマンスが始まり、訪れた人たちはステージのスケジュール表とにらめっこしながら、お目当てのキャラクターを求めて会場を奔走した。
中でも、人気を集めたのは、ゆるキャラらしくないゆるキャラとして注目を集める千葉県船橋市“非公認”キャラクターの「ふなっしー」。今年の「ご当地キャラ総選挙」で見事1位に輝いた“実力”の持ち主だ。雄たけびや過激な動き、不気味さといった、およそ従来のゆるキャラの概念とは縁遠いキャラやパフォーマンスが受けているのか、ふなっしーのブースやステージは圧倒的な集客力を誇っていた。
■従来の定義から外れたキャラも
「郷土愛に満ちあふれた強いメッセージ性」「立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること」「愛すべきゆるさ」
ゆるキャラの名付け親とされる漫画家のみうらじゅんさんは、ゆるキャラの定義としてこの3条件を挙げている。だが会場には、ゆる〜い「癒し系」キャラクターだけでなく、ふなっしーのようなタイプも多かった。
凶暴な顔つきや噛みつくパフォーマンスもみせる北海道夕張市の「メロン熊」、“戒め妖怪”をモチーフにした滋賀県東近江市の「東近江のガオさん」のようなバイオレンス系、恐怖系のキャラクターも人気を集めた。
「ゆるキャラまつり」から「ご当地キャラ博」に看板が掛け替えられたのも、そうした風潮と無関係ではないのかも…。
彦根商工会議所によると、2日間のイベントの経済波及効果は4億2千万円。宿泊客は1人当たり2万2271円、日帰り客は1人当たり4697円を消費した計算になるという。
どんなキャラクターが受けるかは別として、地方都市にしてみれば依然として経済活性化の切り札であることは間違いない。関係者らはキャラクター人気が続くことを祈るばかりだろう。
最終更新:11月3日(日)15時1分
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