【佐藤達弥】国に情報を隠させるな――。国会で審議中の特定秘密保護法案の廃案を訴えるデモが12日、大阪市であった。主催した大阪弁護士会によると、想定数の1・5倍にあたる約600人が参加。法案への不安と懸念が市民の間で深まる現状が浮かんだ。

 デモは大阪弁護士会館を出発し、約40分かけて市役所まで練り歩いた。同会所属の弁護士やインターネットなどでデモの開催を知った市民のほか、「私たちの『知る権利』守ろう」などと書かれた旗を見て沿道から飛び入り参加した人もいた。

 自民党が1980年代に制定をめざした国家秘密法(スパイ防止法)にも反対した大江洋一弁護士(66)は「常に情報を隠したがる国に対し、今こそ国民に声を上げてほしい」。中務(なかつかさ)未樹弁護士(35)は「市民には縁遠い問題と見られがちだが、関心を持ってもらいたい」と話した。

 日本弁護士連合会は各弁護士会に対し、地元選出議員に問題点を訴えるよう要請。大阪弁護士会の弁護士が今月、法案を審議する衆院国家安全保障特別委員会のメンバーらと面談したところ、「支持者から懸念の声が出ている」と言う議員もいたという。日弁連秘密保全法制対策本部の太田健義(たけよし)弁護士は「問題点が明らかになるにつれ、社会の空気が変わりつつあるのではないか」と話している。