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【大相撲】

舛ノ山が連勝 フィリピンの母に届け

2013年11月12日 紙面から

舛ノ山−富士東 すくい投げで富士東(左)を下す舛ノ山=福岡国際センターで(三笘真理子撮影)

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◇九州場所<2日目>

(11日・福岡国際センター)

 舛ノ山(23)=千賀ノ浦=が、台風で甚大な被害を受けたフィリピンに帰郷している母に届けとばかりに連勝を飾った。自らも中学時代を過ごした地へ、土俵からエールを送り続ける覚悟だ。横綱白鵬(28)=宮城野=は史上最速で横綱在位500勝をマーク。大関琴奨菊(29)=佐渡ケ嶽=は小結松鳳山を押し出して1勝1敗としたものの土俵下に転落、右胸を痛めて病院で「筋断裂の疑い」と診断され、休場の危機に追い込まれた。

 丸い体をさらに丸め、低く頭から富士東にぶつかっていく舛ノ山。得意の左を深く差し込むと一目散に前へ。土俵際まで追い詰め、最後は豪快に184キロの巨漢を投げ飛ばした。3場所ぶりとなる初日からの2連勝。それでも「突っ張れと親方からは言われていた。駄目です。自分の持ち味は突き押しなんですから」といつものこぼれんばかりの笑顔は封印した。

 奮起しなくちゃいけない理由がある。母・マリヤさんの母国で、舛ノ山も中学生時代をすごしたフィリピンが台風30号に襲われた。最も被害が出たレイテ島は死者が1万人超ともいわれている。不運なことにマリヤさんは故郷のイロイロ市(中部ヴィサヤ諸島のパナイ島)に帰省中。最大の被災地とは距離が300キロほど離れているとはいえ、居ても立ってもいられなかった。

 「連絡がとれたのは、先週の土曜日(9日)。メールも通じました。ひどい雨で停電したけど、大丈夫、大丈夫と。逆に『あすから九州場所なんだから頑張りなさい!』と励まされました」

 両親の離婚で母子家庭で育った舛ノ山。日本で介護士をしているマリヤさんに「お母さんには食費などでだいぶ負担をかけた。だからもう仕事をせず、フィリピンでゆっくり暮らしてほしい」と現在、イロイロ市に来年2月に完成予定の家を建築中。そんな中で起きた災難だった。

 「フィリピンはコンクリートの家が少ない。だからすごい被害が出たんでしょう。たぶんお母さんは自分に心配をかけないように大丈夫、と伝えたんだと思う。だから自分は少しでも安心させられるような相撲を取る。元気づけたい」

 九州場所は4年連続で負け越し中。しかし泣き言はこぼせない。「目の前の一番をしっかりとって絶対勝ち越すこと。自己最高位(西4枚目)を更新する足掛かりにしたい」。親孝行のために、そして自らが育ったフィリピンを勇気づけるために舛ノ山は奮闘する。 (竹尾和久)

 

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