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社説

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 政府は特定秘密保護法案について、臨時国会への提出を目指していた9月の段階で、国民の意見を公募するパブリックコメントを実施した。法案は本来、パブコメの対象外だが、自民党プロジェクトチーム(PT)の決定を受けて行われた。

 「あるグループが特定の人たちに働き掛けをして、反対がたくさん出てきた」。8割近くを反対意見が占めた結果に、党PT座長の町村信孝元官房長官は「組織票」との見方を示し、不満をあらわにした。

 パブコメの方法などに課題があることは確かだろう。とはいえ、国や地域の在り方などを決める上で、最も重んじなければならないのは、言うまでもなく民意である。

 その民意を測るため、選挙や住民投票、アンケート、報道機関による世論調査など、さまざまな手段が用いられている。その一つがここ十数年来、広く活用されるようになってきたパブコメだ。

 内容を吟味するのは当然だが、結果は重く受け止めねばならない。

 パブコメは、国や地方自治体などが政令などを定めたりする際、事前に案を公表し、国民や地域住民から意見を募る手続きだ。行政手続法改正で2006年に制度化された。

 寄せられた意見は、政策や事業決定などの過程で反映させることができる。電子メールなどインターネットを使うことで幅広く、効率的に民意を測れるのがメリットだ。

 単に意見を聞くだけでなく、国民や地域住民に国や自治体の考え方を伝え、情報公開を進める上でも、有効なツールになり得る。

 ただ、意見の取り扱いについて同法は「十分に考慮しなければならない」と定めるにとどまる。形式的、セレモニー化しているとの指摘も少なくないのが現状だ。

 行政機関側の都合で意見が恣意(しい)的に扱われる懸念もぬぐえない。

 兵庫県は02年4月、全庁統一のルールを要綱で定めた。昨年度は20の案件でパブコメを行い、2千件超の意見が寄せられた。重複分を除き、反映の有無を含めて意見をどう扱ったか、結果を全て公表している。

 「重要なのは意見の数ではなく、内容」と県の担当者は話す。一つ一つに目を凝らし、政策などの質の向上につなげることが重要だ。問題点をあげつらうのでなく、民意を聞く制度を最大限に生かすべきだ。

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