白鵬(左)が押し出しで隠岐の海を下す=福岡国際センターで(岡部拓也撮影)
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◇九州場所<初日>
横綱白鵬(28)=宮城野=が小結隠岐の海を下し、ことし70勝目を挙げて7年連続7度目の年間最多勝が確定した。勝利数2位の横綱日馬富士(29)=伊勢ケ浜=らが今場所で全勝しても70勝にとどまり、白鵬を上回れないため。左足首を痛めている幕内2場所目の遠藤(23)=追手風=は黒星発進となった。
白鵬は鋭く踏み込むとすぐ、右前まわしをつかむ。上手にはこだわらず前へ前へ。最後は押し出してことしの70勝目だ。後続の日馬富士と稀勢の里は56勝。まだ始まったばかりの九州場所で、史上最多タイとなる7度目の年間最多勝を、7年連続で決めてみせた。
「前に出て勝ったのはよかった。満員じゃなかった? (年間最多勝を決めるのは)満員の土俵でって計算がありましたけど、ことしの目標はひとつ達成した」と横綱は余裕の笑み。「今場所の土俵は軟らかいね。デコボコだもん。普通に下がってるだけで赤土が出てくる。土俵入りのせり上がりもいかない、引っかかって」という中で、きっちり決めるところはさすがだった。
白鵬がこれまで打ち立ててきた数ある記録の中で、自身が最も評価している1つが2009年からの2年連続年間86勝。今場所は全勝しても84勝だが、「その一年一年、まったく違う流れがある。しっかりした体調管理をしないと年間最多勝は、しかも7年連続というのは難しいんじゃないかと思う」と自画自賛した。また今場所で11勝すれば、北の湖と貴乃花を抜いて単独最多の3度目の年間80勝到達となる。
秋巡業から体を動かし続け、場所前には「80%か90%」の仕上がりにもってきていた。白鵬が別次元なのは、そこから下げたこと。「きのう(9日)は稽古を休みましたし、70%になった。30%は場所で積み重ねていこうと思う」。このまま5連覇で九州場所の7連覇を決めるのか。北の湖理事長(元横綱)は「足がピタッと決まって安定している。ほかの横綱に負けられないという気持ちで取っているのが(記録に)つながっている」とスキはないとみる。あえて余力を残して挑む白鵬が100%になるころには、賜杯の行方は決まっているのだろう。 (岸本隆)
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