●安藤美姫に残された可能性
もうひとり、注目の安藤美姫ですが、11月3、4日に行われた東日本選手権の映像を見ました。初日のSPでは、まるで自信なさげにジャンプを跳んでいて、相当厳しい感がありました。ただ、彼女自身「日本での最後の大会になるかもしれない」と言うように、翌日のフリーにはかなりの覚悟でのぞんだのでしょう。冒頭のルッツこそ、まだ不安そうな様子で跳んでいたのだけど、SPでのジャンプと較べたら良い兆しが見られました。
安藤本人もそれを感じ取ったのか。そのあとのジャンプは、すべてピタッ、ピタッと決めてみせたんです。絶好調時と較べたら、まだ見劣りしますけど、それこそ後のない状況に追い込まれて、良いほうに開き直れたんじゃないでしょうか。今後は海外の試合に出場するそうですが、今ならむしろ海外のほうが落ち着いて練習に取り組めるかもしれません。次に帰国したときに、どれだけ変身しているのか。楽しみになってきました。
髙橋と安藤とでは、置かれた状況が違いますけど、今回ふたりの演技を見ていて、これほどまでにフィギュアスケートというスポーツは、選手の内面、メンタルによって左右される競技なのかと、あらためて思い知らされました。