【主と】ハーレムな小説を書くスレ【共に】30P

240 :ダメ社員のはーれむ@:2012/05/30(水) 06:07:01.25 ID:eh2/FoSk
「―ああもう、何度教えたら覚えるのよ貴方は!」
「す、すいません…!」
僕の名前は滝川 治(たきがわおさむ)。
去年大学を卒業した、社会人の卵だ。趣味はゲームとか…いわゆる、ややオタク気味な男である。
出た大学はまあ、ほどほどといったレベルで、自慢もできないが恥ずかしくもない、そんなレベルのところ。

「タイピングもまだまだ遅い!まったく…サラ、貴女代わりにこれやっておいてくれる?」
「オーケーでスヨーシャチョサーン。…オサムもFightヨー?…ハグすれバ、元気なるヨ?(がばっ)」
「うう…すいません、いつもありがとうございます先輩。あとハグはなしで(さっ)」
今勤めているのは、とある新鋭企業。
規模こそ小さく僕を含めて5人しか社員がいないが、ゲームソフトやモバイルコンテンツの受諾開発で利益をあげており、
創業して間もないのにかなり業界ではその名が知れ渡っている…と、聞いている。
なんでも発想がかなり独創的なわりにはずれが少ない…んだとか何とか。
…え、なんで自分が勤めている会社なのにそんな自信なさげなんだって?

「って、ああまた違う!一年もいてどうしてこんな簡単なプログラムも組めないの!貴方大学で何してきたのよ!?」
(だから自分の専攻は歴史学だったんですって…)
答えは簡単。全くの専門外だからである。というかプログラム言語なんて入社して初めて触れたんですが。
プログラムなんて組めません。精々雑用とか書類整理くらいしかできません。…それも他の方がやったほうがよほど早いし…

そんな僕をしかりつけているのが社長の『如月 麗美』(きさらぎれいみ)さん。
天下に名高い如月財閥の一族で、30になったばかりだとは思えないくらいの若々しさと、すさまじいカリスマをもった方だ。
頭脳のほうも素晴らしく、アメリカのなんかすごい大学を飛び級のうえ首席で卒業したらしい。
容姿も文句のつけようがなく、コーカソイドの母譲りらしい彫りの深い顔立ちに加え、スタイルも出るところ出ている割にすらりと引き締まっているので下手をするとモデルと間違えそうである。
でも普段はかなり厳しい。おもに僕に対してのみ。よく社長以外全員帰宅した後とか休みの日も突然呼び出されてライバル社の視察とかに連れて行かれる。僕だけが。
…というか僕、就職活動中いきなりこの人直々にスカウトされたんだけど。面接とかも全部この人だったんだけど。
「きき君ちょっとぱぱパソコンとか興味ある!?ある!そう!それならぜひわが社に!だだ大丈夫、仕事内容は私が!優しく教えるわ!」
とかすごい興奮しながら言われたんだけど。それで入れといて使えないとか言われても…
(ちなみにパソコンに興味あるというのは娯楽目的。ちゃんとそう答えたのに…)


で、向こうでさっきまで僕のやっていたプログラムをやってくれている長身金髪碧眼の女性がアメリカ人のサラ・グリーンさん。
社長が出たのと同じくらいのレベルの大学を出たプログラムの天才である。社長自ら海外まで出向いてスカウトしてきたんだとか。
日本語のほうは発音がたまに怪しいが、むしろ僕としては英語やプログラムを教えてもらうときに日本語とか日本の文化を教えることで恩返しできている分ありがたい気もする。
…でも、教えてくれるときにやたらと密着したり耳元で息を吹きかけたりするのはやめてほしい。いろいろとアメリカンサイズな感触は、いまだ彼女いない歴=年齢な僕には少々きついのである。
…さっきも危うくハグされそうになったし(かわしたけど。…僕も回避能力上がったなあ、嬉しくないなあ)
前に一度「いや本当に勘弁してください。大体僕じゃなければ襲われてますよ。もっと自分を大事にしないと」と貞操観念の違いについて注意したのだが、
「…Oh…You`re a blockhead…ハァァァ」とかなんかよく分からないこと言われた上に肩をすくめてため息までつかれた。
…blockheadってなんだろうかと思って調べたら「うすのろ・でくのぼう」だとさ…泣いていいかなこれ。  (a blockhead=朴念仁、らしいです)

241 :ダメ社員のはーれむA:2012/05/30(水) 06:08:56.83 ID:eh2/FoSk
「ま、まあまあ仕方ないですよ。滝川君はよくがんばってくれてますっ」
「湧井さん…」
今止めに入ってくださったのが『湧井 久美』(わくいくみ)さん。
僕より二つ上とは思えないミニマムサイズ(身長も体つきも)でくりくりおめめの可愛い彼女は、どうガンバってもかわいい中学生以上には見えないがこれでも彼女もれっきとしたプログラマーである。
彼女の場合はプログラミングの技術自体もさることながら、その人柄が武器となっている。
社長だけではちょっと難しい交渉ごとのときなどにも、彼女が付いていけばそれだけでだいぶ場がほんわかなごむ。
その他、社の衛生管理なんかも彼女がしている。あと、料理も上手い。皆さんが残業する時なんかはたいてい食事を作ってくださる。
かく言う僕も―
「と、ところで滝川くん!きょ、今日のお弁当、ど、どうでしたかっ!?」
「あ、はい。もちろんすごく美味しかったですよ。お弁当箱お返しします、ありがとうございました」
「い、いえいえいえいえ!こ、こここれはその、ああああ新しいおかずのじじじっけんでしゅかりゃ!!…ぁぅ」
こんな風に、毎日昼食にお弁当を作ってもらっているのだ。「新しいおかずの実験」だそうで、弁当にしては手が込んでいるから飽きがこないし栄養も考えられている。
それにしてもこんな毎日とは、勉強熱心と感心するとともにこちらとしてはありがたい限りである。
(きょ、今日も美味しいって言ってもらえましたぁ…えへへへへ…)
「え、何か言いました湧井さん」
「え、な、なんでもっ」
「しかしこんなおいしいもの食べられる方は幸せですよねえ…気になる方がいるなら応援しますが―」
「―ほら!貴方はいつまでも話してないで仕事!…久美さんも、あまり彼を甘やかさないでね?」
「はい!すみませんでした」
「は、はぃい〜!…ぁぅぅ、くすん」


そんなこんなで、また仕事机(なぜか社長の席のすぐ前、正直プレッシャーがすごいんですが)に向かおうとすると。
「―たっだいま〜!しゃーちょー、例の企画、いい感じのデザイン思いついたんですけど〜!」
「あら、じゃあ早速やってもらえるかしら」
「まっかさーれたー!」
今帰ってきた眼鏡の方がデザイン等担当の『中島 春奈』(なかじまはるな)さん。
芸術とかへの造詣の浅い僕ではとても考え付かないようなデザインを次から次へと考え付くお方だ。
普段はちょっと…いやかなりぐうたらしていることが多いが、ちゃんとやることやって成果を出している分僕なんぞよりよほど素晴らしい方である。
…あと、わりとオタ趣味をお持ちで、僕とはその方面で結構話があったりする。某夏の祭典にも一緒に行ったし、彼女のコスプレ姿を拝んだりもした。
普段野暮ったい服着てるから分からなかったけど結構着やせするタイプだった…いかんいかん思い出してしまった。
かなり印象に残ってるんだよなあ…偶然僕が好きなキャラのコスプレだったからかな?「どうよどうよ、萌える?」とか言っていたあたりあっちも狙っていただろうし。
全く、サービス精神旺盛なことで…ありがたいけど。
ちなみにそのコスプレ、僕に見せた後すぐ着替えてしまった。せっかく綺麗だったのに勿体ない、なぜイベント会場に来ていかなかったんだろう。

「おろろ〜?おさむーはまーだちんたらお仕事やっとるのかね〜?」
「ええ、そうなのよ…まったく、彼も早いところ仕事を覚えてくれないと。もう一年にも―あ」
「な、なんならこのあたしがちゃちゃっと手伝ったげても…?ん、どったのしゃちょー」
「うう……。…?どうかしましたか、社長?」
何やら急に固まってしまったんだけれど。あの、このプログラム次はどうすれば―

「Oh!スッカリ忘れてタヨ!ソウいえば明日だったネ!」
「…あ!そ、そうでしたっ!あぶないあぶないです!」
「ん〜、明日?…お?…おおー!そーいやそうだったけか!」
え、なになに何の話ですか?何かの記念日でしたっけ?

「…何のことかわからないという顔ね。当事者がこれとは…。いい?明日は、貴方の、入社してから、ちょうど、一周年なのよ?」
「…ああ、そういえば」
そうだったっけ。しかしなあ…
「別に、騒ぐほどのことでも―」

242 :ダメ社員のはーれむB:2012/05/30(水) 06:09:52.12 ID:eh2/FoSk
「騒ぐほどのことよ?大事な社員の記念日ですもの、ちゃんとお祝いしてあげなくちゃ」
「A full year。おめでタイデスネー。明日はパーティデス!」
「あわわ、明日のお料理とか準備しなきゃっ」
「おーっしお祭りだー!お仕事お休みだ―!わーい」
「え、ちょっといいんですかそんな!?」
急に仕事休みなんかにしちゃったら、スケジュールとかめちゃめちゃなんじゃ!?

「ああ、気にすることはないわ。今受注してる仕事の残りも少ないし―全員。明日までに終わらせるわよ?」
え、いやあの
「OK!」「はいっ」「あいよー」
ええええー…

「ああ、貴方は帰っていいわ。正直、いても邪魔なだけだから」
ええええええええええー…orz



―滝川帰宅後。
「―彼は、もう?」
麗美は、滝川がいなくなったオフィスを見回して、確認した。
「―OK、もうダイジョブ」
「―で、では…」
「―ん、明日の計画だね〜」

「ええ…でも、その前に




 ………ぁああああああぁわたしの馬鹿あああぁぁぁ…なんであんなきつい教え方しかできないのよおおぉぉぉ彼もがんばってるのにぃぃぃ…はああぁぁぁぁ…」

突然、麗美がそれまで纏っていた凛とした雰囲気を崩し、あまつさえ涙目になってふにゃふにゃと椅子に崩れ落ち、聞いているこっちが参るような陰鬱な溜息をつき始めた。

それを皮切りとして、


「―Fuck…!今日もオサムにボディタッチできなカッタヨ…!最近マスマス隙がナイ…!」
サラが心の底から悔しそうな声を絞り出し、

「ぅうう、今日も噛んじゃったよお…先輩なんだからかっこいいとこ見せないといけないのにぃ…あと彼氏なんていないのにぃぃぃ…」
久美が真っ赤になってソファの上を転がりだし、

「皆はいいじゃん…あたしなんかアイデア出すのに時間食って、今日彼と会話できたの最後のあれだけよ?ぅはぁ、明日まで会えないとかマジ鬱だわー…」
春奈はこの世の終わりでも来たかのような枯れ果てた表情で机に突っ伏した。

243 :ダメ社員のはーれむC:2012/05/30(水) 06:11:34.85 ID:eh2/FoSk
…まあ、すでにお分かりとは思うが。
彼らは4人とも、治にべたぼれなのである。

麗美は合同企業説明会のとき、傘もなしに大雨に降られた所、見かねた彼に会場まで傘を貸してもらった。
彼自身は濡れ鼠になり会場で顰蹙を買っていたのに、会場で再び会った時に「パソコン大丈夫でしたか!いや、濡れた甲斐がありました」これで一目ぼれ。

サラは彼の入社後、言葉や文化についてまだ理解の足りない自分にのために、分かりやすいように仕事時間外で自作のテキストまで作って日本のことを教えてくれる彼の優しさに打たれて。

久美は容姿も性格も子供っぽい自分を馬鹿にしたりせず先輩として尊敬してもらって、そのうえで数少ない自慢である料理の腕をほめてもらって、「今時いませんよこんないいお嫁さん候補」といわれて。

春奈は自分の怠け癖を「僕も怠けるほうなんですよー」などとフォローしながら、自分が散らかしたゴミから適当に書いた書類の不備から全てこっそり朝早くに来て点検してくれていた彼の心配りに。

それぞれ、ノックダウンされていたのである。


「ふぅぅ。…い、いつまでもこうしていても仕方がないわね。明日の話をしましょう。まずは、夕食ね」
「はいはーい!私私!もちろんみんなにもちゃんと手伝ってもらいますけどっ!」
久美が元気よく手を上げる。
「ん、夕食は久美メイン、あと事前に聞いておいたそれぞれの得意料理…買出しには久美と…サラ、お願いできる?」
「OK、マカセて!」
むん、と力瘤を作って見せるサラ。

「よし。そうすると、飾りつけは私と春奈ね」
「おっけー、精々きらびやか〜んにしてやろうじゃないですか!…あー、でも彼どっちかっていうと落ち着いたのが好きだったっけ…」
「それはあなたに一任するわ。明日の午前中までには間に合うようにね」
「うぃー。…すると、和風ベースのほうが。いや、さっき見た献立はどっちかというと洋風だから。…うーん、彼の場合変に凝るよりも分かりやすいお祝いムードのが…」
春奈が仕事でもめったに見せないほど集中して飾り付けを考え始める。

「…さて。そして春奈」
「むむう…お?何?…コスプレ作戦だったらやめておいた方が」
「違うわよ!…『あれ』…手に入ったわ」


春奈の手から、握っていたボールペンが滑り落ち、床に落ちてかつんと音を立てた。
「…え、ちょ。しゃ、しゃちょー。ま、マジで?」
「ええ、マジよ」
「…うっひょ―…しゃちょー、あたし一生ついてくわ。あんた最高。…そっかあ、『あれ』手に入ったかあ。…ぅえへ、うへへへへへへ…(じゅる)」
「『アレ』…?ナンデスか、アレ?」
「わ、私も聞きたいですっ!」
買出しのメモを確認していた二人も春奈のただならぬ様子に興味を惹かれて『あれ』について聞いてくる。

244 :ダメ社員のはーれむD:2012/05/30(水) 06:12:23.99 ID:eh2/FoSk
「いいわよ。春奈にしか話していなかったのだけれど、『あれ』…
…天然素材100%副作用後遺症一切なし、大さじ一杯だけでどんな草食系男子だろうと肉欲を抑えきれなくなるうえ
どんなもやしっ子でも連続十回戦を可能とするという幻の秘薬…それがようやく、昨日届いたのよ。わたしのコネとかフル活用してね」

「て、10ラウンド…(ゴクリ)」
「に、肉欲…(ゴクリ)」

「ふふ…それが、500ml…これを、―――――明日、彼に、全て飲ませる…ッ!」

―ざわっ。

「…Oh…It`s so crazy…!」(意訳:おいおい、ちょうヤベェじゃん)
「あ、あわわわわわわわわわ…!!(真っ赤)」
「ぅ…(たらー)…あ、やっべ想像したらはなぢでた」

「ジュースに混ぜる?そんな野暮ったい真似はしないわ。むしろこの薬、色も味も果物ジュースに近いのよ。天然素材万歳ね」
「…OKOK。ツマリ」
「そ、それを、じゅじゅ、じゅーすだといってのませちゃえば、おおおおおさむくんは」
「野獣(ビースト)にランクアップするってわけだね…ぅふ、なにされちゃうんだろー…ぁ、濡れてきちゃった」
「ふふ、なにされるかって?…ナニされるに決まってるでしょう!」
「「「おおおおおー!!!」」」

…一応彼女たちの名誉のために言っておくと、最初は彼女たちだってもう少しまっとうに行こうとしたのだ。

だが、麗美は彼を前にするとどうにも素直になれず、さらに少しでも早く自信をつけてほしいが故にスパルタに接してしまい、敵情視察にかこつけたデートもデートと認識されておらず(ご、ごめんなさい愚図でごめんなさい)
サラはアメリカ生まれの開放的な精神をもってしても結構恥ずかしいことまでやってみたが、説教されるだけなうえ最近はことごとく回避されており、(だからそういったことを誰彼かまわずやってはいけないと―)
久美はお弁当を喜んでもらってはいるが完全に気持ちを勘違いされた上に最近は彼氏のための練習台と思いこまれている節があり、(本命を食べられる方がうらやましいですねえ。…えっちょ、なんで泣くんですあああどうしよう)
春奈はオタ趣味つながりで猥談をふっても素で返されてこちらが沈黙させられる始末。(この前お借りしたエロゲの感想?そうですね、―――がもっとこう…え、もういい?…顔赤いですけど大丈夫です?)

つまりもう、こんな感じの手段に頼るしか選択肢がなくなってきていたのである。
「とに、かく!勝負はすべて明日にかかっているわ!一度既成事実さえ作ってしまえば責任感の強く押しの弱い彼は逃げられない!
対して、私ならやろうと思えば四重婚くらいもみ消せる!この会社に勤めているから彼に引っ越してもらえばいつでも一緒!経済力はいわずもがな、子供がいくらデキようがが問題なし!」
「「「うおおおおおおおおー!!!」」」

「さあみんな!全力で取り組むわよ!」
―おっしゃあああー!


―そのころ、治の住んでいるアパート。
「(ゾクゥウウウッ!)―!?な、なんだ急に寒気が…か、風邪引いたかなあ。でも明日はわざわざ僕なんかのためにパーティーなんか開いてくださるんだから休めないよなあ…早めに寝よ」

決戦は、明日。


293 :ダメ社員のはーれむE:2012/06/21(木) 23:51:01.49 ID:NuUMCjZe
―あ、先ほどはどうも。まさか社長さんだったとは…お若いのにすごいですねえ。
パソコンのほうは濡れてデータ飛んだりとか…
そうですか、よかった!いやあ、私も濡れた甲斐があったというものです。
説明会のほうも盛況だったご様子で…来てほしかった?す、すみません。途中でわけあって退場していたものでして。

え?さっき企業の方に怒られていたけれど?あー…
「ずぶぬれで来るのは常識からして相手方に失礼だ、君は社会人になる自覚がない」だそうで。
そう言われてしまうと全くその通りなので、ちょっと皆さんより早めに会場のほうから出ていまして…。
…いえいえいえいえ!そんな、そちらが謝ることではありませんよ!
むしろ私が使うよりよっぽど有意義だったでしょうし!
まあ確かに今日回った企業の方には顔覚えられてしまいましたかね…悪い意味で。ははは…。
…ちょっと、お、お詫びだなんてそんな。
―って、受け取れませんよお金なんか!
だ、大体ですね、貴方も社長なんですから私のような馬の骨に甘い顔ばかりしてはいけないでしょう!?
そのお金だって会社のために必要になるかもしれないじゃないですか!
本当にこんなタダの学生に募金みたいにあげていいものなんですか!?
って、私はなにえらそうなことを…ほ、本当にすみません突然!
…とにかくこちらはあげるなら社員の方にあげてください、いいですね?
…あ、バスがきますね。では私はこれで。また機会があればお会いするかもしれませんね。
…え、その時はぜひ説明を?私文系なんですけど…パソコン?はあ、まあ少しは…それでかまわない?は、はぁ。
でしたら今度はおうかがいさせていただきますね。今日はありがとうございました。

…いや、今ここで願書渡されても、まだ説明聞いてませんけど。
次の説明会のときに持ってきてくれって、それでいいんですか…?
あの…だから今から面接の日程とか言われましても困るんですけど…。





―サラさん、とりあえず日本に興味持つところからと思いまして、いろいろ調べてきましたよー。
まずこちらが各地の方言なんかの違いをまとめたもの。東北のほうとか見てみるとかなり面白いですよ。
あいさつまでこんなに違うんですから。
で、こちらが各都道府県の名産品やとくに有名な料理の写真付きリスト、こちらが風光明媚な土地のリスト、同じく写真つきです。
それと京都をはじめとした日本観光と言ったら定番と思われる地域の観光地などのデータも調べてみました。
交通機関の時刻表とかも用意できるだけは用意してありますよ。
あとアメリカ人の方が特に好むらしい日本の観光地や料理なんかもここに…。

…はい、確かにこれらは全部私の手作りですが。ネットなんかにあったのを私なりにまとめたんですが、
もしかして分かりづらかったです?だったらすいません。
え、あの、ええとですね。…はい、ごめんなさい。今日仕事中にへまが多かったのは昨日徹夜してこれ仕上げたからです…。
スケジュール管理がなってないと社長にも…え、なんでそこまでって、
そりゃあ…サラさんにも早く日本になじんでほしいですし。
確かサラさんこの会社に入ったと同時にこちらに来たんですよね?女性おひとりだとやっぱりまだ色々大変なんだろうなと思うんですよ。
どうせこの国で生活するなら、故郷と同じとまではいかなくとも日々を楽しく安全に過ごしてもらいたいなあと。そのために私にできることがあればいくらでも協力するつもりですよ。
私じゃあ頼りがいがないかもしれませんが、よければ存分に頼ってやって下さい。こんな私でも女性のために何かできるっていうのはうれしいものですから。

…え、なんですかちょっといきなり抱きつかないで下さっ―!?む、むねあたって?!こここういうのはにに日本では好きな人だけにですね!
…うわああああななななんで力強めるんですかはははは離れてええええぇ!?



294 :ダメ社員のはーれむF:2012/06/21(木) 23:52:10.55 ID:NuUMCjZe
―湧井さーん?…って、どうしたんですか!そんな泣いて…いまふくもの持ってきますから!
…ええと、落ち着きました?…何か悩みがあるなら私でよければ相談に乗りますよ?

…なるほど、他の方に比べて子供っぽい自分がいやだ、と?なにをおっしゃるやら。
学生のころからずっと馬鹿にされていた?…そんなの気にすることありませんって。
私から見れば湧井さんは素晴らしい方ですよ。いつも私が社長に怒鳴られていると助け船を出してくださいますし。いつもお夜食作ってくださいますし。
本当にいつも助けていただいて…感謝の言葉もないくらいなんですから。

今時こんな気がきく人はあまりいないと思いますよ、本当にいいお嫁さん候補というか…あれ、何か顔赤いですけど?…大丈夫?ならいいんですが。
え、でも仕事ができるわけじゃない?…いやそれを言ったら私はどうなるんですか…。
というか他のお二方と違って湧井さんは掃除とか備品管理とかまでやってらっしゃるんですから、どうしてもプログラミングのほうが遅いのは仕方ないですよ。
他の方は多分そういったことやってくださいませんし、湧井さんしかやれないことだと思いますが。
だからもっと自信持ってください。その、私は湧井さんのことすごく尊敬してますし、ね。

…ちょ、ちょっと本当に顔が真っ赤ですよ!?やっぱり具合悪いんじゃないですか!と、とりあえずソファに…よっと、これでよし。
目がうるんでるし熱がありますかね。ええと体温計体温計…ああどこだか分からない!ええい仕方ない、失礼します!

…うーん、私よりだいぶ熱いですか。やっぱり熱があるみたい…って、湧井さん?…わ、湧井さーん!?―湧井さんが急に高熱出して倒れましたー!だ、だれかー!





―おはようございます中島さん。今日はお早いですね、なにかあったんですか?

…あー、ついにばれてしまいましたか。そうです、勝手に机の周りとか弄ってしまってすみませんでした…。
ええとですね、他の方がその…いい加減整理してほしい、とよくおっしゃっていたじゃないですか。でも中島さん整理する様子がないようだったので…。

…ほっとけって、ちょっとそれはよくないですよ!そんなことしたら中島さんが他の方から疎んじられてしまいかねません!私はそういうの見たくないですから!
それとこの前書類がどっかいった―って困ってたでしょう?またああいうことになりますし。…あ、その書類でしたら私が社長のほうに提出しておきましたから、問題ないはずですよ。

…他にもなんかやってないかって……ごめんなさいやってました。中島さんの作った書類のファイル、内容はともかくとして誤字誤変換かなり多いのでそっちのチェックも…。
…ごめんねって、そんな。いいんですよ、私にはこんな雑用しかできませんから。中島さんは中島さんができることをやってるだけですし。
というか私にもお力になれることがあってありがたいくらいなんです。これからもそういうのは私がやりますから中島さんはデザインのほう頑張ってください。
私にはあんないろいろなアイデアとても思い浮かばないですし…。

え、えーと、しかしどうやったらああいうの考え付くんですか?
ふむふむ、ジャンルを問わず常に様々ないいものに触れると。…そういうわりにはあまり普段自分の服装とか気にしてませんよね?っていたいいたいごめんなさい!
た、ただ中島さん美人なんですからもっとこう気をつけたらいいのになーって…ご、ごめんなさいごめんなさい、本の角は勘弁してください洒落になりませんから!
この女殺しがってむしろ殺されそうなのはこっちいだだだだだだ!?




―治の住んでいるアパート

「…夢か。また微妙に懐かしい夢だったなあ」
僕の名前は滝川 治(たきがわおさむ)。詳しい説明は省く。
今日は金曜日だから普通なら仕事なんだけれど、昨日の一件から急きょパーティーということになってしまった。
いくら社員が5人しかいないからって、僕みたいなダメ社員一人の入社一周年のためにわざわざ社員全員でお祝いしてくれるなんてなあ。
…いいところに入れたという気持ちと、そんないい会社のお荷物になっているという気持ちが半々ですごく微妙な気分だ。
「とりあえずパーティーは夕方からって言ってたけど…具体的に何時なんだ?」


296 :ダメ社員のはーれむG:2012/06/22(金) 00:10:33.69 ID:LRNFbG8i
―Prrrr「お、メール」

件名:今日のパーティー
差出人:如月 麗美
パーティーの細かい日程などが決定しましたのでお知らせします。
開始時間…本日午後5時より(滝川はこの時間の30分以上前に来ないように)
場所…如月 麗美のマンション(住所は社内連絡網参照のこと)
持物…特に必要なものはなし、各自盛り上げるために持ってこれるものがあれば自由に持参
服装…指定なし、飲食が伴うためあまり汚れては困るスーツなどは推奨しない
会費…不要。費用は社の予算と社長のポケットマネーから出します
※備考…アルコールがはいることが予想されるため、公共の交通機関を利用するように。
    また、緊急の場合には社長宅に宿泊するスペースあり
「…なんかいくつか突込みどころがあるんだけど…」
まず僕に早く来るなって。早めに行っておかないと安心できないたちなのになあ。手伝いとかもできない、か。
そして場所、社長のマンションって。そりゃ僕一人で行くわけじゃないけどさ。女性の部屋とか上がったことないんだけども。
服装も…なんかあったっけ、着ていけるようなの。…あ、そういえば前に中島さんが一緒に遊びに出かけたとき選んでくれた割といい感じのがあったっけ。
持物と会費は、まあいいとしてだ。

「社長宅に宿泊って、これ僕以外の方だよなあ。…まあ、つぶれる気もないけど、酒はあまり飲まないようにしよう」
とりあえず、まずはバスの時刻とか調べないといけないかなあ。

―夕方、社長のマンション前
「…ええと、ここでいいんだよな?」
時間は4時45分、もうはいってもいい頃合いだろう。
「しかし…前に一度来たことあるとはいえ、これ本当にアパートなのか?超高級ホテルとか言われても納得するんだが」
ちなみに前に来た時は社長と二人で市場調査をした時だ。(…やったことはただの買い物だった。どういうデータをとるんだろう?)
「今日はその、疲れたでしょう?お茶くらい出すから、ぇと。…上がっていったら、どう、かしら?」とかいわれたけど流石に丁重にお断りした。
女性の独り身の住まいに上がりこめるほど度胸はない。(そう断ったら「あ…そう…よね。御免なさい…」とかすごくさみしそうだった。むしろこっちがチキンでごめんなさい)

「よし、この部屋でいいんだよな。…不安になってきた、一度社長に連絡取ってみよう」
社長の携帯にかけてみる。―数度のコールの後社長が出た。
『―何かしら滝川君、こっちの準備はできてるわよ?…道にでも迷ったのかしら?」
「あ、いえ。今お部屋のすぐ前にいまして―」
…お、ドアが開いて社長が出てきた――――――――ぁ……。

「いらっしゃい滝川君。…どうかしたの?」
「――――え?…あ、あああいえいえなんでもないんですなんでも!」」
如月社長はいつも見慣れたスーツ姿ではなく、すごく上等なものだと一目でわかる紫色のドレスを着ていた。
肩のあたりが大きく露出したデザインで、いつもの凛とした美しさとはまた違った艶やかさに満ちている。
「ただ、その。…社長が、すごくお美しかった、ので。ちょっと見とれて…す、すいません!
…うわああああたぶん今顔真っ赤だどうしよう社長の顔直視できねえええええ!

「っ………そ、そう、ありがとう。ほ、ほらみんな待っているのだから、早く行くわよ」
「は、はい!」
(―――っきゃー!きゃー!、お美しいですーって!見とれてたーって!ああ、ドレス新調しておいてよかったわぁ…!!)
な、なんか社長すごいご機嫌だ。よかった、気分を害さなかったみたいで。

―なんかすごい広い部屋
…これは本当に一人暮らしのマンションなんだろうか。なんか広さからして一階丸々社長一人で使ってるみたいなんだけど。
いくらかの部屋を経てたどり着いた、料理が並べられた馬鹿でかいテーブルが中央におかれたその部屋には、他の方々が待っていた。

「ハロー、オサム!今日ハ楽しんでイッテね!」
「あのさらさんそのかっこうはなにごとですか」
サラさんは…え?水着?…レオタード?というのだろうか、「これで街中歩いたら痴女確定」って感じのすさまじいぴちぴちな服だ。
というか胸とか尻とかやばい!こ、こぼれるこぼれる!!
「アハ、オサムのパーティーダカラ、スペシャルなお祝いのカッコウよ?」
「それはわかりましたからちかづいてこないでくださいおねがいします」
僕の理性がやばいですから。
(フフ…顔真っ赤デスネ。チェリーみたいでキュートデスよオサム…じゅるり)

297 :ダメ社員のはーれむH:2012/06/22(金) 00:12:45.05 ID:LRNFbG8i
「おさっ…えと、滝川君、おめでとうございますっ!」
「湧井さん。はい、ありがとうございます」
湧井さんはゴスロリメイドというやつか。見た目完全にロリッこな湧井さんには犯罪的なくらい似合っている。
この格好で「お帰りなさいご主人様っ」なんて言われたら…いけない方面に目覚めてしまうかもしれん。
「ど、どうですか?…に、似合って、ますか…?(ちょっと涙目で上目づかい)」
「ええそれはもう。ところでなでなでしていいですか」
「ふええええええぇぇ!?」
―おっといかんいかん、危うく暴走するところだった。
(あれ、なでなでしてくれないんですか…?あ、でも私としてはキスのほうがいいなあってなにえっちなことかんがえてるんですかぁ!?)


「おーっすおさむっちー。おめっとさんー」
「あ、どうもです」
中島さんは……ほう、チャイナドレスとな。結構スタイルがいい(各部位のサイズでは社長やサラさんには勝てないが)ので
かなり似合っている。
コスプレするからいろいろと着慣れてるってのもあるのかもしれないな。
「へっへー、どうよ?せくしーっしょ?こういうの好きだって知ってるんだもんね〜」
「よくわかりましたね…。はい、大好きですよ(まっすぐ目を見ながら)」
「――へ……?あ、あぅ、あ……?」
あれ、なんか固まっちゃったよ。
(い、いきなり「大好きですよ」とか反則だろーよー。…あーやばい、顔熱い…)

「さて、全員集まったことだし。さっそくパーティーを始めましょうか。
じゃあ滝川君、あなたから何か言うことがあったらどうぞ?」
え、僕ですか!?

「あ、はい…えーと、本日は私などのためにこのような会を開いていただきー」
「ええい長ったらしい堅苦しい!ひっこめー!」
中島さんひどいですね!?
引っ込めと言われたので社長に音頭を取ってもらうことにする…泣いてないですよ?
「ふふ、−まあ、今日は無礼講ということで…乾杯!」
「「「「かんぱーい!」」」」

で、乾杯したはいいものの。
「あの…私だけ飲み物がないんですが…」
新手のいじめ?

「「「「―!!!!」」」」
ーその瞬間、部屋の中の空気が急に張りつめた気がした。

「あああああそうだったわねごめんなさいいいまつぐからまってね」
どうしたんですか社長、すっごい手が震えてますけど。
…ついでくださるのはありがたいですけどこぼれますよ?
(おお落ち着くのよ私、脳内でシミュレーションは何度もした!計算通り!計算通り!)

「…じゅる」
なんかサラさんが怖い。何かはわからないけど身の危険を感じる。
(…ンフ、フフフフフフフ…ヤットセックスできるんデスネ…)

「あうあうあうあうあうあうあうあうあうあうう…!!」
湧井さんがゆでだこみたいになってる。あれ横にしたほうがいいんじゃないか?
(そうでしたあああ!キスどころか、ほ、ほほ、ほんばん…!!ど、どどどどうしよぉおお!!)

「…ぅ」
中島さんもなんか元気なさそうにうつむいてるし。
(やっば…い、今になって緊張してきた!あいつの顔まともに見れないって…!)

皆さんどうしたんだろう…?まあいいや、飲み物も普通のジュースみたいだし。
まず最初は一気にっと。
ごくん、ごくん、ごくん。ぷはー。

334 :ダメ社員のはーれむI:2012/07/11(水) 00:32:07.73 ID:D3lAFDfO
前回までのあらすじ
パーティー会場で男のほうに媚薬を飲ませたよ!

社長サイド

「…で、あれからもう一時間たつのだけれど…!」
「まったく進展がないねえ…どーなってんの?」

さっきから何度かに分けて例の薬を飲ませたはずの彼は、普段とほとんど変わらない様子で
今は久美さんと会話している。
…いや、むしろ普段より明らかにそっけない。途中からは椅子に座ったままでテンションも低いように見えるし、明らかに私たちと目を合わせようとしない。
今も、目の前で緊張と不安とその他もろもろで顔を真っ赤にしている久美さんが
勇気を振り絞って「は…はい、あーん…!」なんてかわいらしいことをしても「…あ、すいません今これ食べてるんで」
とか言ってかわしているし。久美さんがもう泣きそうになっているのだけど。

サラも何度かアタック(いろんな意味で)を仕掛けているけど、見たところではすべてかわされて、
むしろいつも以上に回避がさえている気がする。
…サラ自身、女としての自分に自信がなくなってきたのかだんだん元気がなくなってきているようだけれど。
大丈夫、女の私から見てもあなたは素敵だから。
「んー、あたしもさっきから何度もチャイナから足とかちらつかせてんだけどさ、あからさまに目そらされるんだよねえ…」
「あなたさっきからおかしな動きをしていると思ったらそんなことを…」
道理で無駄にダイナミックな挙動が多いと思った。
「しかし、どうなってんだろね?…もしかして社長、偽物つかまされた?」
「なっ…そ、それはありえないわ!ちゃんとした伝手から仕入れたものだし、効果だってモルモットで確認済みよ!」
「モルモットて…」
だ、だって人間相手にやるわけにもいかないでしょう!?
しかし、本当に。
「何か…余裕がないようにも、見えるわね」
「へ?…よく見てるね、社長」
まあ、彼をスカウトしたのも私だし。…あの時…ふふ。―ってそうじゃない!
こうなったら…し、仕方ないわね。
「―私がちょっと様子を見てきます」

滝川サイド

突然ですが。

僕、滝川治は、ただいま20いくつかの人生の中で最大のピンチに立たされております。
え?どんなピンチかって?簡単に言うとですね。

―股間がヤバい。
どれくらいヤバいかってズボンのファスナーがミシミシいってるくらい。というか勃起が強すぎて痛いからさっきこっそりチャックあけた。完全に痴漢だなあ。
そして性欲がおかしい。今パーティー会場となっている社長のマンションの一室には僕以外女性しかいないのだが、
彼女たちを視界に収めるだけ、声を聴くだけで何も考えられなくなる。ちょっとでも気を抜くと立場とか考えずに押し倒してしまいたくなる。
さっきまで湧井さんと話していた時も、頭の中ではその小さな体を組み敷いていたし、
サラさんに抱きつかれたときには、サラさんの足が股間をかすっただけで危うく射精しそうになった。

そんな状態だけれど、せっかくのパーティーをこんなに早く終わらせてしまうのも申し訳ないし、
なにより僕以外全員女性な状況で「すいませーん股間が収まらないのでかえっていいですかー」とか言えるわけがない。確実にクビだ。
…それ以前に、椅子から立ち上がったらチャックあけてるのがばれる。そしてみられる。
ゆえに言い出すこともできず、今の僕ができるのはただただ耐えることだけなのである。
そのせいで表情とかいろいろ余裕がない。愛想悪い風に皆さんには見えるんだろうなあ…これ終わったら謝らないと、また怒られるかなあ…

そんな風に取り留めもないことを考えて気を紛らわせていると、
「―滝川君、どこか具合でも悪いのかしら?」

社長ですか。こんな場でも凛々しいですねえそのかおはえっちのときどうなるんでしょうかあははは
……ぐぁ、今すっごいやばかった。自分の足思いっきり抓って持ちこたえたけど。

335 :ダメ社員のはーれむJ:2012/07/11(水) 00:32:59.92 ID:D3lAFDfO
取りあえずできるだけ目をそらしながら返事をする。

「あーいえ、とくには」
うわあ我ながら愛想悪いなあ、しかし本気でこれが限界だからなあ。

「そう?何か余裕がないように見えるのだけれど。体調が悪いのならそう言ってくれれば…」
「いえ結構です!」
「…やっぱり、どこか悪いのね」
あぁ。ばれた。やっぱり社長みたいな人には僕ごときの虚勢なんて丸わかりってことか。
もうこうなったらできることは一つ…正直に謝ろう。

「―すいませんでしたぁ!」
「はぁ?…え、貴方私に何か怒られるようなことしたのかしら?」
「それはその、いつも…」
しょっちゅう怒られてますが、今はそうではなくて。
「あぁ…うん、そうよね。…えっとね、その、ことなんだけど…いつも、ごめんなさいね」
「え、は?」
「いつも私はあなたにばかり厳しく当たって…早く仕事を身に着けてくれればあなた自身気が楽になるかと思ったの。―駄目ね、言い訳にしかならないわ。とにかく、ごめんなさい」
そう言って頭まで下げられてしまった。
「あ、ええと…?」
僕は正直あっけにとられてしまって、現在の自分の状態とかそういうのも忘れてぽかんとしてしまった。
「今日のパーティーだって突然のことだったものね…あなたには、逆に気を使わせてしまったかも」
「そ、そんなことは」
社長がうなだれて、本当に悲しそうにそんなことを言う。
違うんです、僕がいま元気がないのは―

「―ん、それより今はあなたの体ね。ほら立って」
ぇ、ちょ、まっ!
ぐいっ(半ば無理やり立たされる)
「さ、こっちにソファ、が―(滝川の股間を凝視)……ぁ、る…から…」
……うわーいばれたー!
というかテーブルの下にしてたから自分でも見えなかったけど本当にすっごい勃起してるな!?初めてだよこんなの。

「…滝川くん…ぐす、さっきはぁ、うっとおしくて、っく、ごめんね…?」
ちょ、湧井さん来ないで来ないで
「わ、私だめな先輩だけど、それでも―(股間を凝視)…がが、がん、がんば、…っきゃあああああああぁー!?」
そんな大声出しちゃらめええええええ!

「―ワットハップン!?ナンデスか―(股間を凝視)…Oh…」
「どーしたね、何事だねチミたち―(股間を凝視)…え?…ぇ、ひ、ひぇええええ!?


―ハイ終了!僕の人生終了!
これはあれだね!明日の朝の新聞にはすでに載るね!テレビにも出るね!

336 :ダメ社員のはーれむK:2012/07/11(水) 00:34:51.02 ID:D3lAFDfO
そういえばよく電車内での痴漢が問題になるよね!ということは今のこれもすごい問題になるんじゃないかな!
やったね!話題性ばっちりだよ!マスコミの皆さんも大喜びだ!

……さあてどう死のう。溺死ってつらいんだったよねえ…。練炭とかホームセンターで買えるのかなあ…?
僕が自殺方法について割と真剣に考え始めた…その時。

―ぎゅっ
社長が、急に、僕の男根を、握りしめた

「っひぁ!?」
「…本当に熱いのね…すごく、硬いし…」
さす、さす
社長は焦点の合わないうつろな瞳のまま、それを握りしめそっとさすり始めた。おそらく経験がないのだろう、おっかなびっくりといった感じであまり技巧は凝らされていなかったけれど
その時の僕は張りつめた風船のようなものだったし、何より女性に―しかも、自分の勤める会社の美人社長に―してもらっているという事実が、僕の脳を灼いて。

―限界は、すぐに来た。
「―ぁ、で、る…!」
どぶっ!どびゅ、びゅー…。
「あ…」
オナニーでは見たことがないほど大量に噴き出た精液は、社長の手を、ドレスを、顔をべっとり白く汚した。
社長は嫌がる様子も見せず、口を半開きにして、長い射精が終わるまでそれを受け止めていた。

しばらくして、射精が終わる。
射精が終わった後も、僕の男根は全く衰えず、先走りを垂らしていた。

そこでようやく、僕は自分のしたことにはっきり気づいた。
女性を、しかも自分の上司を、汚した。
「―あ、ぼ、僕は―ん、ぐぅ!?」
なんということを。
そこまでは、言わせてもらえなかった。

「―ん、ちゅぷ」
社長の唇で、口をふさがれたからだ。
そのまま、社長は僕の口の中に舌を差し込み、僕の舌をからめ取って、吸って、唾液を流し込んで、「蹂躙」し始めた。
「ん、じゅ、しゃちょ、んうぅ、まっ、んううぅぅぅぅ〜…」
「じゅる、ぐちゅ、ちゅ、はぁ、ちゅううううううううぅ〜…」


「―ん、ぷぁ。…んふぅ♪」
「―んぁぅ。…あ、ぁ…」
数分後か、数十分後か、開放された僕は、完全に口の中を蹂躙されつくして、立つこともできないほどに蕩けさせられて横たわっていた。
いつの間にか広間から寝室らしい部屋に移動させられていたが、正直頭の中が真っ白で気づかなかったほどだ。
そんな僕を、社長は微笑みながら見下ろしてくる。

「…ふふ。なんだ、最初から我慢してたのね。まったく、貴方らしいというか。心配して損したわ」
「なんの…ことです、か?」
もう舌もうまく回らない。

「あら、やっぱり気づいてなかったのね。…ほら、皆!彼の準備はもうできているわよ?」
社長がそういったところで、初めて気づいた。


―みんな、いつの間にか部屋の中にいる。
―みんな、こちらを食い入るように見つめて、頬を赤らめている。

「アハ…♪その顔、とってもカワイイデスよ、オサム…♪」
「はっ…はぁっ…えっちなにおい…ここまで、してきますぅ…」
「…………(ぽけー)」

337 :ダメ社員のはーれむL:2012/07/11(水) 00:35:41.75 ID:D3lAFDfO

「ちょ、ちょっとみなさ、いいいつから…!?」
「最初から、よ。…もしかして気づいてなかったの?」
マジですか。急に恥ずかしくなってきたんですが。
「あら、顔がまた真っ赤よ?―ふふ、恥ずかしがらなくてもいいわ。だってみんな貴方とエッチしたいんだもの。もちろん、私も」
「は?ちょ、え、はぁ?」
「今日のこのパーティーはこのときのために…みんなの想いを、貴方に伝えるために催したなんだもの」
「え?えええ?ええ?」
「本当は、薬なんかには頼りたくなかったのだけれど、ね。…貴方がいつまでたっても気づいてくれないのも悪いんだからっ」
社長、この至近距離からの上目使いとそのセリフのコンボは反則かと。
…もう何が何だかわからないが…えーとつまり、ここまでの話を整理するとだ。
皆さんが僕を好きで?でも僕がその気持ちに気づかなかったから?パーティーという機会をつくって?一服盛って?
……えええええええええ!?

「―私はね。あの時、あなたに初めて会った時から、あなたに惹かれていたの」
完全にパニックになった僕を尻目に、皆さんが立て続けに言葉を重ねていく。
「私の家はとても厳しい家風でね。学生の時も、社会に出てからも競争ばかりだった私は、誰かにあんな風に親切にされたことも、本当に私のことを想って叱ってもらったこともなかったの。
ふふ、だからあの時の貴方の人助けからお叱りのコンビネーションで、コロッといっちゃったのよね。我ながら、惚れっぽいとは思うわ。
…でも、この気持ちは嘘なんかじゃない。―滝川 治さん。私はあなたを愛しまいました。どうか、私とお付き合いしてくださいな…?」

「―ワタシ、オサムのオカゲで日本ダイスきになれましタ。オサムがキテからたくさんイイトコロ見つけて、たくさん人と仲良くなれまシタ。
イまではゼンブ宝物デス。でも、アナタがいなかッタラ、今はもうステーツにモドッテたかも。
それで、ワタシこの国と同じ位、ウゥン、モットデス、モット、オサムのコトダイスきデス!アイ・ラブ・ユー、デス!
…だかラ、イツモワタシがスキンシップしてる時、我慢しなくてモよかったデスヨ…?」

「わ、わわ、私はその、えっと、…せ、先輩として、扱ってくれたし、子ども扱いしなかったし、いい人だなってその、最初は…。
そ、それで、お料理ほめてくれたり、お、およっ…およめ、さん、とか、その、す、すっごくうれしかったですし!
だ、だから、えと、お料理もほんとは練習なんかじゃなくて、貴方だけのためので。………だから、…ず、ずっと、ずっと前からだいすきでしたっ!
…えへ、言っちゃいましたぁ…。あ、ついでなんですけど、ほんとはその、『おさむくん♪』『くみちゃん♪』って、名前で呼び合いたいなあ、なんて…えへへ」

「…え、これあたしも言う流れ…?ぅうう、柄じゃないんですけどぉ…。む、ぅうう、うー…。
―あーもー!わかった分かった言えばいいんでしょいえば!あたしはあなたのことが大好きです!
いつも親切にバカに付き合った挙句尻拭いまでしてくれたから気が付いたらメロメロでした!できれば結婚を前提に付き合ってくれるとうれしいです!以上!
…うぐあぁあああああぁちょーはずぃい!!きえたい、消えてなくなりたいぃ!ちくしょぉおおもういっそ殺せよぅ、こーろーせーよぉおおお…!」

…なにこれ?え、なにこれ?
完全に思考が停止している僕に、何を勘違いしたのか
「…ああ、別に一人を選ばなくてもいいのよ。私の家の力をもってすれば四重婚くらい造作もないことだから」
いやそうでなく。―いや、いやいやいや。…日本国憲法ってなんなんですかね?

「まあそういうことは後日でいいとして、―貴方、そろそろ限界でしょう?」
「え?―ぁ」

338 :ダメ社員のはーれむM:2012/07/11(水) 00:36:22.08 ID:D3lAFDfO
言われてから思い出したが、そういえば僕の股間はすごいことになっていたんだった。
ただでさえ一回出した後もギンギンだったのが社長のねっとりとしたキスのせいでさらに充血してヤバい色になっている。

「皆、…悪いけど、今日は」
「OK。わかってるヨー」「話し合いで、そう決まりましたし…」「おおぉお…ころせぇぇえ…ぁえ?あーうん、そだね」
何の話ですか。というか約一名悶えすぎ。

すると、いきなり社長が
「じゃ、さっそくだけれど…」
その身にまとっていたドレスを、するり、と脱ぎ捨てた。
続いてブラとパンツもさっさと脱いで、ドレスとまとめて部屋の隅に放り投げてしまう。

「は?う、あ、ちょ、なにを」
社長の裸体は、しみひとつないとってもきれいなもので。体のラインも、女性の理想の体現として、そこらの芸術家に見習わせたいくらいだった。
でも、芸術品としてはちょっと落第かもしれない。こんなもの美術館に飾ったら、エロ過ぎて男性が落ち着いて芸術作品を鑑賞できなくなってしまう。
アソコもすでにびしょびしょで、髪と同じ黒い毛が濡れててらてらと光を反射している。

「さ、さすがにちょっと恥ずかしいから、そんなに見ないで…っ」
「……あ…あ、すいません…」
「でも、よかったわ。私の体なんかでも興奮してくれるか、心配だったのだけれど」
そういうと社長は、半身を起こした形だった僕の上にそのまま覆いかぶさってきた。

「え…と」
―さすがにここまで来ると、僕もいろいろと覚悟を決める。
「―いいんですか、社長も、皆さんも。僕みたいな男で」
それに対し、社長は
「今更ね…?いいも何も、私も皆も貴方だから好きになったのよ?―そんなことより、『社長』なんて呼び方、ちょっとひどいと思うのだけど・・・」
なるほど。

「―うん、分かったよ、『麗美』」
名前を呼んだとたん。
「―っ…!!―うれしい、大好きっ!」
彼女が、一気に抱き着いてきた。
ずぶぶぶ…ぶつっ!
僕のペニスは一気に彼女のナカに飲み込まれ―途中、何か抵抗を突き破った。

「う、あああああっ!」
「っぐ…かっ…は、はいっ、たぁ…」
や、やば、きもちよすぎて、もうー!

―どくん、どくん、どくん…
「ぁ…でて、る…♪ふふ…我慢できなかったの、ね…」
「あ、あの、ご、ごめん…!」
ヤバい、と思った。とうぜん避妊などしていないし、何より、さっきの抵抗感と、
今彼女の股間からつたう精液の白に混じった赤いものは。

僕はあわててペニスを抜こうとしたが、それより早く彼女が強く足をからめてきたために逃げられなくなった。
「ふふ、いいの、よ。はじめてを貴方にあげられたの、だもの。家からの見合い、を断り続けて、きたかいがあった、わ…っ」
涙目になって。痛いだろうに、そんなことを必死に笑顔を作りながら言われてしまったら。
「…痛いのが、引くまで待ちます。無理しないでください」
「あ、また敬語…」
おっと…しかしこれは癖みたいなものだからなあ。
「す、すいません…」
「もう…。仕方ないわねえ…皆、適当に彼をいじめてあげて」

―は?

「マッテましたァ!フフフ、ヘヴンにツレテってあげまショウ…!」
ちょっと待ったサラさんなんであなた僕の顔の上でしゃがんで

339 :ダメ社員のはーれむN:2012/07/11(水) 00:37:25.84 ID:D3lAFDfO
「―む、っっぐぅううう!?―ふむー!ふむぅうー!」
サラさんのむっちりとした大きなおしりが、僕の顔を押しつぶした。
視界は肌色一色になり、淫靡なにおい嗅覚を支配する。そして、僕の口のあたりには
「アン♪―イェス、イエエエスゥ♪モット、モットなめてクダサイ♪」
サラさんの、おまんこがあるわけで。
「むっ、むぐぅ、―んぐ、こきゅっ…!」
「ハァアアァァアアンっ♪」
こんこんとわきだしてくる愛液が、いくらなめてもわきだしてくる。というか、い、いきが…!

「…すごい…んふー…。たきがわくん、えっち…んふぅぅうー…もぅ、もううぅぅう…!」
ちょっとこの声って多分湧井さんだと思うんですけどなんかやけに息荒くないですかね
「(ぷっつん)」
え、なに今のやたら生々しい音
「―えへぇ♪おさむくんのえっちなにおいだぁ♪」
―ぺろぺろ、ぺちゃぺちゃ。
「ん、んんんん!?」
な、なんだ!?わ、わき腹とかわきの下とか、こ、これまさか舐められてる!?
「ん、れろれろれろれろ〜♪んすぅ、くんくんくん…♪ぇへへへへへへえぇ…♪やっぱりじかはすごぃですぅ、
のーみそとろけちゃう…♪いっつもくんくんしてるおきがえなんかくらべものにならないですぅ…♪おいひぃ、おいひぃい…♪」
おいちょっと待った湧井さんあんた何やってんだ。
確かに最近徹夜明けとかに脱いでおいた上着がなくなってたり、翌日洗濯されておいてあったり、
汗かいて仕事場に行ったときの湧井さんの反応がなんかおかしかったりということはあったけどさあ!


「…くふ、くふふふふふふ…っ」
あーこれは中島さんなのはわかるけど、今度はなにされて…
「そーだよね…あんただけはずい思いしないで済むなんて不公平だもんねえええ…?」
…えーと…中島さんのものらしい指の感触が……おしり、に。
「―っ!?む゛ぅう!む゛むむぅうううう!!」
ちょっと待ったちょっと待った!!シャレにならないから!やめてやめてたのむ
「くふふふふ…安心しなよ…自分で鍛えたアナル開発技術…戻れないレベルまで調教したげるからさあ…」
ちょ、まー
―ずぶり、ぐりぐりぃ…っ
「―む゛ぅぐぅう゛ぅうううううー!!」
「おっほぉ…♪なんだかんだ暴れておいて腸内きゅうきゅう締めてくるじゃん♪あんたやっぱ素質あるよぉ…♪」
―ずぶ、ぐりゅりゅっ
「む゛ぅ、う゛ぅ、うんううううぅ…♪」
「―あっれぇ〜?ま・さ・か…もぉきもちよくなっちゃってんのぉ…?…やべぇ、あんた、素敵すぎだってぇ…♪」
あ゛ー、なんかもう、だめ、かもしれ、ない


そして僕は、
サラさんのおしりに顔面を押しつぶされ、
湧井さんに全身を唾液まみれにされ、
中島さんにアナルを指でほじくられながら、

「―――――――っ!!!!!」
―どびゅうぅぅぅううううー!
麗美さんの中にすさまじい量の射精を行った。

「っふぁあああああ!?き、きてる、せーえききて、イク、イクイクイクぅうううー、っ♪」
「――――、―――――、」


340 :ダメ社員のはーれむO:2012/07/11(水) 00:38:06.60 ID:D3lAFDfO
「WOW…オサム、ビクンビクンしてマスね…♪ァ、息かかッテ、アン♪」
「からだじゅーからえっちなあせでてますよ〜?いけないこですね〜おさむくんはぁ〜…べろぉ…」
「ぉお…アナルもきゅん、きゅんっ、ってなってる…♪…やばいわ、これあたしのほうが癖になりそ♪」
「―――、」
あ、ぃしき、が、とん、じゃ、ぅ、ぁ、ぁ、ぁ

「もっとぉ!もっとだしてぇ!あかちゃんはらませてぼてばらしゃちょーにしてえぇ!」
「フフ、ナラ、モットぐりぐりすりツケテあげまスネ♪ンハ、ンッ…♪」
「ほーら、れろれろれろれろれろ〜♪おっぱいも、ちゅぱちゅぱちゅぱぁあ…♪」
「こ、ここ、こここの具合ならもーちょい奥までいけんじゃね?ふひひ……よっ…(ごりゅっ)…あ、やば、ちょっと深すぎたかも…」
ぁ、ぁ、―――ぁ♪



「…はふぅぅぅぅうううう…♪い、いっぱい、だしたわね…♪」
「…ン?急に息かからナクナりましたネ…?」
「ぺちゃぺちゃぺちゃ♪んちゅちゅちゅちゅ〜♪」
「…え、サラたんちょいまち。…一度、どいてみてくれる?」
「OH、いいデスよ?」

―ぎゃあああああああこいつ息してねええええ!?
―えええええええ!?きゅ、救急車!いえ、家の専属医療スタッフに連絡をー!
―マウストゥマウス!マウストゥマウスしマスヨ!
―れろぉぉぉおおっ♪べろぉおおおお♪
―久美、貴女もいつまでやってるのー!?いい加減正気に戻りなさーい!


数日後、僕は行きつけの按摩(ここに越してきたとき見つけた。パソコン作業は肩がこるのだ)に来ていた。
理由はもちろん、先日のパーティからくる疲労の回復である。
…あの後、意識を失った僕はなんか麗美さんのご実家が持つ救急医療チームによって治療を施されたらしい。
翌日の昼には普通に五体満足になってはいたが、全身の倦怠感はとれなかったので結局ここにきている。
ちなみにあの四人にはやりすぎたことを謝られた。
…まあ、別に生死の境をさまよったわけでなし、気持ちよかったし謝られることでもないと思うが。

あと、ちゃんと僕のほうからも「好きだ」って言っておいた。
―麗美さんが社員旅行でハネムーン行こうとかほざき始めたのはさすがに止めたが。

「お、滝川さんこってますねー。お仕事大変なんですか?」
ちなみにこの按摩してくれている人は斉藤さん(下の名前は知らない)。女性。
このお店では見習いだそうだけどなかなかどうして気持ちいいので、いつもお世話になっている。
「ええ…んっ、まあ仕事といえばそうなんですけどね…っく、そこぉ…」
しかし、どうして毎回僕の担当がこの人なんだろう。ほかの人の手が空いててもいつもこの人だし。
あと、なんで別にいかがわしい店でもないのにこの人露出高いんだろう(前聞いたら「こ、これはあれですよ、汗かきますから!」だそうだが)
ほかの店員さんは普通に露出低めのかっこうなのに。

「…へ、へぇ、大変なんですね!じゃあ今日は特に念入りにやっておきますね!」
「お願いします。―っくぅ…!あ゛ー…きくぅぅううう〜…」
「そ、そですか…(こ、声が…だだ、駄目だよボク!滝川さんは疲れてるんだから!…あ、でも今日お帰りになった後また布団とか回収して…♪)
そういえば、このお店って静かだなあ。この前までリラックスできるような音楽が流れてたのに、機械の故障かな?

341 :ダメ社員のはーれむP:2012/07/11(水) 00:38:54.26 ID:D3lAFDfO
静かすぎてカーテンの外から「滝川さんの喘ぎ声…うっ、ふぅ…」とか「絶対誘ってるわよあれ、後で声かけてみるわ」とか聞こえる気が。
まあ空耳だろうけど。―空耳だよね?

「そういえば、ここって女性の方が多く来られるんですねえ」
「ぇ?―あ、はい、そうですね。エステなんかもしてますし、学校帰りの高校生や大学生、買い物帰りの主婦の方なんかが主なお客様です」
「お値段も安いですしねえ。…もしかして、私浮いてますかね…」
「い、いえいえいえいえいえそんなこと全くないですよはい!」
「あ、そうですか…?」
大学生はともかく、高校生も来るのかー。今の社会は若いうちから疲れがたまるんだなあ。
というか学校近いのかここ。いわれてみるとここに来るまでに何度も学生らしい女の子とすれ違ったなあ。
…そのうち何人かがこっちみてひそひそ話してたのは悲しかったが。どーせ「何あの男wwwさえねーwww」とか
「服のセンスなさすぎwwwキモッwww」とか言ってたんだろうからなあ。
…いいもん、こないだついに独り身から脱却したし。

「(よし、今日こそ―!)あ、あの、滝川さんて、か、彼女とかいるんですか!?」―ガタガタガタガタッ
おお、なんとタイムリーな質問。      
―カーテンの外で人が一斉に立ち上がるような音が聞こえた気がするがまあ置いといて。

「―えーとその、ですね。じ、実は…」
「じ、実は!?」(いないわよね!?いないわよね!?)(いたら寝取る)(私は愛人でもいいなあ)
―いやまて、麗美さんはああいってたけど、世間体の問題もあるし…このことはしばらくは伏せておいたほうがいいだろう。

「―や、あはは、お恥ずかしながらまだ独り身でして…そういった経験もなかなか…」
「そ、そうなんですかぁ!」(よっしゃああああ!)(全然恥ずかしくないですよ!むしろそんなぴゅあな貴方も大好きです!)(ここは私がオンナを教えてあげようかしらぐふふ)
そんなに嬉しそうにしなくたって…
…しかしなんだろう、さっきから身に覚えのないプレッシャーを感じる。

「だ、だったら、あの、今週末にでもボクと―」
「―あ、時間終わりましたね。どうもありがとうございました」
「へぁ?…あ、た、ただいまご希望の方に格安で延長サービスをしてましてですね!」
「や、大勢お待ちの方がいるでしょう」
「あ、ああ、ああああ…ありがとう、ござい、ましたぁ…うううう…」
さて、疲れもだいぶすっきりしたことだしささっと着替えて帰ろう。

―はっ!?しまった、また今日も話しかけられなかった!
―ちぃ!なんでいつもすっきりして一息ついてるところに帰っちゃうのかしら!
―ぐぐぐ、次こそは絶対に話しかけてやるんだからぁー!
―ふええ…デートがぁ…そ、それはそれとして、滝川さんのお布団回収…よし、今日はこれにくるまって寝よ♪

(ぞくり)…なんか、またプレッシャーが…?




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