福島復興:「全員帰還」を転換 与党提案

毎日新聞 2013年11月11日 13時12分(最終更新 11月11日 16時49分)

 自民、公明両党の東日本大震災復興加速化本部は11日、東京電力福島第1原発事故の被災者対策に関連し、高線量で長期間帰還が困難な地域の住民への移住支援や、放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設の建設・管理への国費投入を柱とする「福島復興加速化案」を安倍晋三首相に提言した。民主党前政権時代から続く「住民の全員帰還」や、東電が賠償、廃炉や除染費用を賄う「汚染者負担の原則」を転換する内容。政府は提言を基に具体策作りを急ぐが、帰還・移住計画策定や国費投入拡大には住民や国民の反発も予想される。

 福島復興加速化案は、それぞれ本部長をつとめる自民党の大島理森前副総裁と公明党の井上義久幹事長が官邸で安倍首相に提言。安倍首相は「政府としても廃炉、汚染水処理、中間貯蔵の問題、賠償など、国がしっかり前へ出る考え方で、与党とともに取り組んでいきたい」と述べ、加速化案の具体化を急ぐ考えを示した。

 福島県内11市町村は、線量に応じて「帰還困難区域」(年50ミリシーベルト超)▽「居住制限区域」(年20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)▽「避難指示解除準備区域」(年20ミリシーベルト以下)に分けられている。加速化案はこのうち双葉町や浪江町などが含まれる「帰還困難区域」など被災者に対し、長期にわたり帰還できない現実を踏まえ、賠償拡充を通じ他の地域での住宅確保などを容易にすることで移住を支援する考えを打ち出した。一部の被災者から「新たな場所で生活を始めたい」との要望が出ているためだ。

 一方、「避難指示解除準備区域」など線量が比較的低い地域は優先して除染作業を実施。医療機関や商業施設の整備なども急ぎ、住民の早期帰還を促す。除染をしても線量はなかなか下がらず、早期帰還の対象となる区域でも空間線量は平常時に一般の人が浴びても差し支えないとされる「追加被ばく線量限度(年1ミリシーベルト以下)」を上回ることが予想される。この点に関し、加速化案は「1ミリシーベルトは長期目標」と明記。事故からの復旧期には、「国際放射線防護委員会(ICRP)」が年1〜20ミリシーベルトを「許容範囲」としていることを根拠に、住民個人の実際の線量データを基にきめ細かい被ばく低減策を講じることで早期帰還につなげる道筋を示した。

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