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ザ・インタビューズ> kodachiukyouのインタビュー(143件) >TRPGデザイナーを目指す手段として、新人賞への応募以外で(実用的なレベルとして)有効な手段は何か考えられるでしょうか?
一番簡単なのは、あなたがアニメ化されるくらいのライトノベルやマンガの作家になって、担当編集さんあたりを通じて「これTRPGにしたいんだけどどうかなあ」という話をすることです。メールいただいてもかまいません。ご相談には乗ります。というより、是非よろしくお願いいたします。

次に、最近はハードルも下がっていますから、インディーズとしてご自分で出版なさってはいかがでしょうか。出版してしまえば、とにかくあなたはTRPGデザイナーです。いや、冗談ではなくこれはマジメな話として。とにかく単著を出してしまって、そこから営業をかけて仕事を続ける、というビジネスは有効ですよ。『サタスペ』は大変成功した例ですよね。最近だと『ネクロニカ』も支持を集めています。

あとは、まず最初から単著を出版することを狙わずに、ライターから始めるのはどうでしょう。Roll&Role誌では毎号、記事の募集をしていますよね。そこにまず記事を応募して、担当さんと知己を得て、三年計画くらいで出版できるレベルに持ち込むのはいかがでしょうか。

持ち込みという手もあります。GFで連載されていた「すがのたすくのSRSに挑戦!」のバックナンバーを集めれば、持ち込みのプロセスや手順がわかると思います。どこの出版社さんもよい企画を探しているものですから、きちんと持ち込めば、ちゃんと話は聞いてもらえますよ。


んでまあ。今からリアルトークをします。自分の仕事のことなので正月くらい真面目に話してもいいでしょう。
フォローとか慰めとかしないのでそのつもりで聞いてください。

あと、「これ以外の手段でプロになった人もいるよ!」というのはもちろん理解しております。
勝てば官軍です。僕もさんざん場外乱闘のプロレスみたいな技でデビューした人を知っていますが、場外乱闘すぎてコメントできません。できるやつだけ書きます。
また、「副業を持ってたまーにTRPGリリースする」という業態は想定していません。基本的に、ライター一本で食べるのを想定しています。

そのうえで。

いいですね?

まず、首都圏に住んでいることです。今住んでいなければ移住することです。
いや、マジで。
細かい打ち合わせが異様に多い業種ですし、主要出版社はすべて東京にあります。
もちろん、本当に実力があれば地球の裏からでも仕事はできますが、そんな才能がある人はとっくにデビューできているはずなのでこの記事に意味はないはずです。
ひとまず首都圏への交通手段と家を確保。これ大事。
ネットがあろうとなかろうと、飲み会営業打ち合わせ情報収集にコンベンション、東京にいないでフリーでTRPGライターやるのは至難の業です。(やっている人もいます)
あと、貯金/食べさせてくれる恋人/仕送りしてくれる親、のいずれかは確保しておいたほうがいいです。出版業は執筆半年、入金が出版の数ヶ月後、という仕事なので、初動軍資金は必要です。

そして、自分だけの武器を持つことです。これだけは誰にも負けない、というものを磨いて、精進して、ひたすら上を目指すことです。「ロシアのことなら誰にも負けない」「妄言を吐かせたら誰にも負けない」「オカルト知識なら誰にも負けない」「シューティングゲームの知識なら誰にも負けない」そういうライターは、強いです。この誰にも負けない、は尋常のレベルではなくて、専門の学者と戦えるレベル、日本一、世界一を目指してください。無理でもいいから目指すべきです。三百六十五日、そのことだけを考えて生きているべきです。
なぜなら、そういう人には必ず仕事が来るからです。ライターはたくさんいますが、三輪清宗に代わりはいません。そういうライターを目指すべきである、と私は思います。

あとは前にも繰り返しましたがコネクションです。1にも2にもコネクションと人付き合いです。
コネ以外で仕事は取れない、と思ってください。ここでいうコネとは、「パパが会社の社長だからコネで入社できたんだ」という話ではありません。「A先生から紹介してもらったB社の編集のCさんのところに営業をかけて企画を通す」という意味でのコネです。「企画が動きそうなのでこないだのパーティでお会いした絵師のDさんに発注できないか話をしてみよう」という意味合いでのコネです。
これはプロになる以前からずっと続くものですから、自分の人間関係をシビアに見つめて、どのようなコネクションを結べば自分がプロになれるか、誰と知り合えばプロになれるか考えるべきことなのです。
そして、コネクションを維持するにはあなたにプロとしてのスペックが要求されるのですから、自然、技量も磨かねばならないのです。

アンテナも大事です。今はやっているコンシューマゲームは? 政治の動向は? エロゲーはどういうのが求められているのか? 他のTRPGはどういうシステムなのか? ファッションの流行は? とにかく幅広いことに好奇心を持つようにしてください。「そんなのTRPGに関係ないから興味ないよ」「そんなの邪道だよ」という言葉は、ライターを堕落させます。

TRPGデザイナーになって、本をめでたく出せても終わりではありません。そこからが始まりです。サポートを続け、それからも本を出し続け、家族を養うためにはずっと食べていかなくてはなりません。そのために食べ続けるためのビジョン、スキルは有しておくべきです。

最後に大事なのは気構えです。
プロになる、と決めた段階(なってから、ではありません)から、あなたはもうアマチュアとして話すことはできなくなります。アマチュアの気楽さはなくなります。それは、理解してください。買う側ではなく、売る側になるのです。

いろいろ言いましたが、僕も仕事がなくなればプロではなくなる身なのですから、えらそうなことを言えるようなものではありません。がんばってください。

●追伸(1/4)
 冷静に考えれば、「パパが出版社の社長だから企画を通してTRPG出版できたよ!」はそれはそれでアリですね。すいません。

●追伸2(1/5)
 先輩からのアドバイスで役にたったものをふたつ。

「社交辞令にはすべてマジレスせよ」
 原稿を見てあげよう、と言われたら見せに行き、遊びに来なさい、と言われたら遊びに行き、また飲みでも、と言われたら飲みに誘う、という考え方です。本当にありがたいアドバイスでした。

「プロをお前が見ているように、お前もプロに見られていると思え」
 あなたの日記、twitter、掲示板への書き込みは、同業者が見ていると思って書くべきです。少なくとも気を使いましょう。そしてもちろん、あなたの(未来の)お客さんも見ています。プロとして襟を正しましょう。

●FAQ(02/02)
Q:つまり、コネが大事で実力は二の次、ということですか?
A:プロの編集者や作家とコネを結ぶときに実力が問題にされない、と思っているなら、あなたは何か致命的な勘違いをしています。

Q:才能さえあれば地方に住んでいたりコネがなくてもどうにかなりませんか?
A:はい、なります。僕は、そういう優れた才能がない凡人なのでこういう苦労をしているよ、という話です。他山の石としてください。ただし、世の中には才能があってさらに世渡りも出来る、という人はいて、そういう人はより上手くやっているのが現実です。
 それを理解した上で、自分の進むべき道を定めてください。

Q:狭くても深いアンテナではダメですか?
A:職種によりますが、フリーのTRPGデザイナーの場合、「広くて深い」を目指さないと危険である、と思います。TRPGは他の娯楽に比べても、軍事歴史エロ恋愛地理科学SFファンタジー、ありとあらゆる分野に横断的に言及する機会が多いからです。僕はいつも、アンテナが狭くて苦労しています。

Q:あなたはここに書いてあることができているのですか?
A:判断はおまかせします。

Q:プロの●●先生はこのアドバイスに当てはまらないように見えるのですが。
A:その人は、僕より立派なものが見えていて、より成功しているのです。

2011-12-22 17:27:01



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