まこなこ11周年記念:今後のゲーム業界展望Part3 任天堂のWiiUとニンテンドー3DSの見通し
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すでに過去2回に渡りお伝えしている今後のゲーム業界展望の3回目は任天堂について取り上げる。
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過去は『まこなこ11周年記念:今後のゲーム業界展望Part1 前世代機のまとめ』『まこなこ11周年記念:今後のゲーム業界展望Part2 Xbox One vs. PS4の行方』の2回取り上げました。
今回はいよいよWiiUとニンテンドー3DSについてですね。
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前回も述べたが、今回も事前に述べておく。
ここで取り上げる話はゲーム機として、そしてハードメーカーとしての話となる。
ソフトメーカーや一個人の趣向などは基本的に含めていないのでこの点は事前にご了承を。
ハードメーカーとしてビジネスとして成り立たせていくことができるのかどうか、この点に重点を置いて取り上げる。
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まずはどういったところから見ていきましょうか。
やはりニンテンドー3DSからですか?
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ニンテンドー3DSに関しては過去にも何度か取り上げてる。
特にポイントとなるのは値下げ後の動向。その動向は2年後に花開くという話を2年前にし、今現在、それなりの成果が出ていると言えるだろう。
では、それが誰によってなされたものなのか、という点に注目したい。
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誰とは?
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これらのことは、結局は任天堂によってなされたことだ、ということだ。
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いまいち意味がわかりませんが・・・。
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日本に関していえば、「モンスターハンター4」の援護があったものの、やはり売れるきっかけとなったのは任天堂が発売した「とびだせ どうぶつの森」や「ポケットモンスターX・Y」による。
もちろん、ソフトメーカーもソフトを発売し、それが呼び水になっているものの、影響力という点では任天堂のソフトが大きい。
この状況は特に海外で顕著だ。
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海外はどうなっているのですか?
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もう任天堂の孤軍奮闘状態で、ほとんどのメーカーがまともにニンテンドー3DSにソフトを出してくれないという状況に陥っており。
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海外では「モンスターハンター4」のようなタイトルが無いということですね。
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11月10日時点の北米のamazon.comのニンテンドー3DSソフトランキングを見るとものすごいものが見えてくる。
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次のような順位です。タイトルは日本版のタイトルに変更しています。ランキングは『ゲームソフト世界人気ランキング』で世界のamazonのランキングが確認できます。
- ポケットモンスターX
- ポケットモンスターY
- ゼルダの伝説 神々のトライフォース2
- マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー
- ルイージマンション2
- とびだせ どうぶつの森
- スーパーマリオ3Dランド
- マリオカート7
- ニュースーパーマリオブラザーズ2
- ポケットモンスター ブラック2(ニンテンドーDS用ソフト)
- ゼルダの伝説 時のオカリナ3D
- ファイアーエムブレム 覚醒
- ドンキーコングリターンズ3D
- ペーパーマリオ スーパーシール
- レゴ:マーブル
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この15位に来てようやくソフトメーカーのソフトがランクインするくらい、孤軍奮闘しているわけだ。
ちなみに、日本で同じタイミングで確認したところ、10位内に5タイトルがソフトメーカーのソフトとなっていた。
如何に北米のニンテンドー3DS市場が特殊と言えるだろう。
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これは北米にとって良い状況ではないということですよね・・・。
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まったくもってその通り。
それくらい、厳しい状況に追い込まれている。
しかし、だ。
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しかし?
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この年末商戦に向け、ニンテンドー3DS本体が売れ出しているから恐ろしいのだよ。
「ポケットモンスターX・Y」の発売以降は順調に売れているようだ。
来期を目途にニンテンドー3DS全体で利益がプラスになるような状況になるだろう。
ここで過去に述べたある言葉を思い出してほしい。
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どのような言葉でしょうか?
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生殺与奪権という言葉を。
過去に2度ほど、この言葉を取り上げている。
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一つは2年前の『なぜPSシリーズは失敗なのか』ですね。PS Vita発売後の話題です。
もう一つは半年前の『次世代ゲーム機出揃いから見た今後のゲーム業界Part3「WiiU」』です。こちらはE3 2013終了後に取り上げました。
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任天堂は極端な話、他社からソフトがほとんど出なくても自社のソフトだけでも市場を作っていける能力がある。その規模は多くのメーカーの協力を得たときと比べて劣るものの、それによって会社が倒れることはない。
大きな黒字にならないまでも、トントンか、やや赤字程度で済ますことが出来る。
それが出来るのが任天堂という会社だ。
生殺与奪権をソフトメーカーに委ねることなく、自らで生き死にを選べる。自己責任の中でビジネスを展開できることこそが、任天堂の最大の強みとも言える。
だからこそ、NINTENDO64でもニンテンドーゲームキューブでも生き残ることが出来、Wiiでの成功を収めるまで存続しつづけることが出来た。
今後、失敗するゲーム機も当然出る。なんでもかんでも成功するほど世の中は甘くなく、特にコンテンツ業界は一つのコンテンツによって大きく状況が変化するようなこともある。そうした中であっても、生き続け、チャンスを窺う。これこそがコンテンツ業界の生き抜くコツともいえる。
そのための資金も十分蓄えてあることも見逃せない。これが銀行に借金していたお金であれば、コンテンツ業界の理論ではなく金融業界の理論で行動を起こさざるを得ず、その結果、信頼が地に落ちるような行為を行ってしまうかもしれない。
そうした憂いがないのも任天堂が今までの経験から得てきたものだ。
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そうした点を踏まえてWiiUを見ていくわけですね。
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WiiUの現状は売れていないが、ソフトが出た後どうなるか。そちらの方が重要だ。
そのタイミングがいつかとなるが、これも以前述べたように2014年の年末商戦が一つの山場となる。
本来であれば2013年の年末商戦に「マリオカート8」が発売できていたならば、ここでの盛り返しもできたかもしれないが、実際は発売できずにいる。
となると、2014年年末が一つのめどとなるのではなかろうか。
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その点もE3 2013終了後の『次世代ゲーム機出揃いから見た今後のゲーム業界Part3「WiiU」』で述べていましたね。
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2014年の年末あたりまでの視野でWiiUについては見ていたので、直近のこまごまとした数字を見ても意味はない。
結局はソフト。そのソフトが揃うのが来年以降である以上、現状では語りようがない。
ちゃんと今の時点でもしっかりソフトを出せるような体制にすべきだった、という意見はあるだろう。
しかし、品質を考慮して時間をかけて作っているのだから、それはそれで任天堂という会社が採った一つの選択肢として認めるべきこと。
早く出したはいいものの、品質が悪く、結果としてWiiUそのものを見限り、任天堂に愛想をつかすような状況になるよりかははるかに良い。そうしたことで落ちていったソフトメーカーも多々あることからも、最終的には物の良し悪しが将来にわたって影響することは明白。
短期の利益を選んで将来に不安を残すか、今の利益は捨ててでも未来を創るか。
後者の方がどう考えても良いことは言うまでもない。
現時点で稼がなくても蓄えがあるからこそできる選択ではあるけどね。
この蓄えがある、という点も生殺与奪権を他に与えない一つの要素でもある。
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まとめますと、ニンテンドー3DSは今年の年末商戦の結果によって、WiiUに関しては2014年の年末商戦まで様子見ということで良いでしょうか。
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そんなところですな。
Xbox OneやPS4と比較したがる人もいるようだが、Xbox OneとPS4はいうなれば高い山を目指して歩いているようなもので、逆に任天堂は海底に向かって沈んでいるようなものだ。
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その表現はどうかと・・・。
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それだけ目指している先が違うということだよ。
高い山は高い山で良い見晴らしがあるかもしれないが、海底も深海の世界というまた別の魅力的な世界が広がっている。
そうした目指すものに大きな違いがあるにもかかわらず、他と比較するのもバカバカしいこと。
ちゃんと自社として利益が出ていれば、シェアはあまり気にする必要はない。
と、いうことで、ニンテンドー3DSやWiiUの単体の話よりかは、主に任天堂の考え的なものを取り上げてみた。