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お年寄りには席を譲らない、優先席に座らせない健康的な老齢社会のために(1):バリアフリーも大間違い

2013.11.03(日)  川嶋 諭

 私の知り合いの経営者が、定年後は多くの人が地方に移住して農業をできるような仕組みを作りたいとまじめに考えています。農業は体力が必要ですから、自然と健康になり、医療費が削減できる。

 また良い作物を作ろうと思ったら頭もフル回転させなければならないから、ぼけの防止にもなる。ただし、そういう町には専門のお医者さんに来てもらって、予防医療を徹底してもらう。そんな夢を実現しようと考えています。

 それは良いアイデアだと思いますよ。病気は医者に治してもらうものでなく、自分で治すものです。医者はそれを助けるだけ。日本はどうもそこのところに大きな誤解があるようです。

 お医者さんに行けば、何か魔法の粉をかけてもらって、病気が治ってしまう。ちょっと大げさに言えばこんなイメージでしょうか。でも当たらずといえども遠からずですよ。再三言っているように、根本原因が分からなければ、どんなに名医だって病気を治すことはできません。

 できるのは対処療法だけ。それでは症状が一時的に緩和しても、病気は治らない。

 また、日本では西洋医学に対して必要以上の期待があるようですが、それも間違いです。私は30年間、腎臓内科医をやっていますが、この30年間という長い年月の間に腎臓病の治療方法はほとんど変わっていないのです。

 ステロイドホルモンや免疫抑制剤の投与が中心で、症状を緩和するだけです。

 また高血圧症だって、根本を取り除く治療は行われていない。薬で血圧をコントロールしているだけでしょう。これも対症療法です。

 こうした対症療法は確かに進歩しています。それによって延命もできる。でも間違わないでくださいね。根本的な解決は何もできていないのです。

 逆に、世界的にも優れた国民皆保険制度によって、誰もが進歩した治療が受けられることで、「病院に行けば何とかしてくれる」という気持ちが定着してしまっていることが問題なのです。

 その結果、延命治療延々と続けられ、寝たきりの患者さんがたくさん生まれてしまう。

問 日本は簡単に比較的高度な治療が受けられるから、そ…
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