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お年寄りには席を譲らない、優先席に座らせない健康的な老齢社会のために(1):バリアフリーも大間違い

2013.11.03(日)  川嶋 諭

 私は終末期医療の専門家ではありません。患者さんに穏やかな死を迎えてもらうために相談に乗っているのではないんです。患者さんが死と直面したときに出てくる後悔。ここに治療のヒントがあるからなのです。

死と直面することで治療法が見える

人が死ぬときに後悔する34のリスト』(川嶋朗・東京女子医大准教授著

 つまり、病気になる原因がそこにあるんです。暴飲暴食などは分かりやすいですよね。体に悪いとは知りながら続けてしまう。そして後悔する。あ~、やめておけばよかったと。あるいは、誰かを深く恨んでしまった。

 そうしたことが原因になって大病を発症してしまっているケースが実に多いのです。だったら、病気の原因を取り除いてあげれば治る可能性が出てくる。

 末期がんなどでほかの病院から見放されてしまった患者さんなどでも希望は持てるのでしょうか。

 はい。ほかの病院で余命3カ月と宣告された患者さんが、私のクリニックで治療を施したら、がんがみるみる小さくなって元気になったというケースは少なくありません。

 患者さんも死と向き合って、生きようと必死になる。そこに病気の原因を取り除く治療を施すと効果が大きいんですね。ほかの病院で「助からない」と言われた患者さんもどんどん回復していきます。

 日本では医者は神様のように思われているかもしりませんが、実は医者にできることは限られています。医学はどんどん進歩して新しい治療法、新薬が次々と開発されているけれども、それらは対処療法に過ぎません。一時的に病気を抑え込むのが精一杯なのです。

 これだけ医療が進歩してきても、根本的な原因が分かっている病気はほとんどありません。ですから、医者にかかっても根本治療はできないわけです。どんなに名医でも原因が分からないことは治せません。

 検査技術も著しく進歩しているので、「病院で検査を受ければ病気の原因はすぐ分かる」と考えている人が多いようですが、全くの誤解です。検査して分かるのは病気の症状を起こしている直接原因くらいで、その病気がどこから来ているのかはほとんど分かっていないのです。

 末期がんや医者がさじを投げた患者さんが、奇跡的に回復したという話は聞いたことがありますが、そういうことなんですね。たとえ末期がんでも根本的な治療ができれば回復する見込みがある。

答 患者さんが死と向き合ったとき、よく言うのが、「自…
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