【土屋亮】福岡・博多港と韓国・釜山を結ぶ高速船「ビートル」と「コビー」が、乗客減に苦しんでいる。昨夏の竹島問題で渡航が冷え込み、円安ウォン高も響いて日本人客が戻らない。福島の原発事故の影響も尾を引き、韓国人客の回復も鈍い。かつてない厳しい運航が続いている。
JR九州高速船はビートル、韓国・未来高速はコビーを2006年から日韓航路で共同運航している。両社で平日は1日に4往復が基本ダイヤだったが、客足が鈍った今は2〜3往復に減らすことがしばしば。1〜2月に、通常1万3千円の片道運賃を座席数限定で往復1千円に大幅に割り引くキャンペーンもしたが、期待ほどのテコ入れにはつながらなかった。
JR九州が日韓航路に乗り出したのは1991年。片道3時間弱のスピードが人気を集め、順調に客数を伸ばしてきた。新型肺炎SARS(サーズ)やリーマン・ショックなどの逆風が吹いたときでも、遅くとも半年で回復してきた。だが、今回はほぼ1年にわたって、乗客数の前年割れが続く。