まちじゅう図書館:条例施行 北海道・恵庭の取り組み 市民に広がる読書活動
2013年11月07日
今年4月に北海道内初の読書条例を施行した恵庭市。10月からは市内の飲食店などが店内に置いた本を自由に読んでもらう「まちじゅう図書館」が始まった。読書活動は市民にも広がり、読み聞かせサークルなどボランティアも盛んだ。国内だけでなく海外からも視察が訪れ、読書を生かしたまちづくりに注目が集まっている。【小川祐希】
◇24店舗が共同で
ログハウスを改造した恵庭市上山口のカフェ「おうちカフェMayMe’s(メイミーズ)」。カントリー調の音楽が流れる店内の本棚には「鏡の国のアリス」などの児童文学書や絵本、園芸雑誌など三浦真実店長(43)が選んだ約250冊が並ぶ。
恵庭市は10月から市内の飲食店や銀行、病院など24店舗と共同で「まちじゅう図書館」を始めた。各店が好きな本を置き、市は地図を作製して参加店舗を紹介する。メイミーズでは参加に合わせて蔵書を150冊増やしたといい、三浦店長は「好きな本を共通の話題にしてお客さんと話が弾む」と取り組みを歓迎する。参加店舗は今後も増える見込みだ。
◇「読書が好き」
読書によるまちづくりが盛んな恵庭市だが、市立図書館ができたのは1992年と当時の道内32市で最後だった。開館後も小中学生の利用が増えず、若者の活字離れに図書館職員の間には危機感があった。
そこで2000年、全国に先駆けて新生児に絵本2冊を贈る「ブックスタート」を始めた。06年までには道内で初めて、市内全13小中学校の図書室に司書を常駐させた。さらに市立図書館と学校図書館の蔵書データベースを統合し、児童・生徒たちはどの図書館・室からも本を取り寄せられるようにした。
これらの取り組みが奏功し、市立図書館の児童書の年間貸し出し冊数は13万冊(99年度)から20万2000冊(12年度)に増加。昨年度の文部科学省の全国学力・学習状況調査では、「読書が好き」と答えた小学生の割合が全国平均の47・7%を約10ポイント上回った。
◇男性ボランティア
取り組みは市民にも広がっている。市立図書館で読み聞かせや本の修理などを行うボランティア団体は開館当初の4団体から23団体に増え、約340人が参加する。