韓国人留学生が世話になった老夫婦を殺害

2008/05/29 13:00

 


大分の別府大学に在学していた

 大分県山香町で一月、建設会社会長吉野諭さん=当時(七十三)=夫妻が自宅で殺傷された事件で、大分県警捜査本部は七日未明、強盗殺人と同未遂の疑いで、韓国慶尚南道出身の留学生金●秀容疑者(二十六)=大分県別府市=を逮捕した。

 また、大阪市のホテルで昨年十二月に女性を刺殺したとして強盗殺人容疑で大阪府警に逮捕された中国福建省出身の少年(十九)と、同容疑で指名手配された中国遼寧省出身の朴哲容疑者(二十一)、それに中国吉林省出身の男二人=いずれも(二十三)=の逮捕状を取り、少年を除く三人を指名手配した。

 五人は別府大(別府市)の留学生か元留学生。うち一人は吉野さんの会社でアルバイトをし、別の一人は日本留学の際、吉野さんが身元保証人になっていた。

 調べでは、五人は吉野さん宅から金を盗もうと共謀。一月十八日午前二時半ごろ、吉野さん宅に侵入し、妻恵美子さん(七十二)の腹部を刃物で刺してけがをさせ、止めようとした諭さんを包丁で刺殺、金容疑者の乗用車で逃亡した疑い。

 五人は深い面識はなく、捜査本部は、事件数日前に犯行を計画した時に、初めて全員が顔をそろえた可能性が高いとみている。五人のうち、別の強盗殺人容疑で大阪府警に逮捕された中国人少年(十九)の供述や、犯行前日に金容疑者の車によく似た不審車が付近で目撃されていたことなどから、捜査本部は五人を割り出した。金容疑者は「金を取ろうと押し入った」などと容疑を認め、少年は府警の調べに「朴容疑者は中国に帰ったらしい」と供述しているという。

 「裏切られた思いだ」。大分県山香町の夫婦殺傷事件で中国人留学生らの逮捕を知った関係者に衝撃が広がった。被害者の吉野諭さんは中国との交流に尽くした「日中の懸け橋」として知られ、逮捕者には吉野さんが身元保証人となった留学生もいた。親族らは言葉を失った。

 吉野さんは、戦前から中国吉林省に滞在し、敗戦の混乱の中で、現地の人々に救いの手を差し伸べられた経験から、十年以上にわたって中国との交流に尽力。

 容疑者らが在籍した別府大(大分県別府市)の中国人留学生らの身元保証人を引き受けたり、経営する建設会社のアルバイトに雇ったりするなど、留学生からは「日本のお父さん」と慕われていた。

 平成十一年には同省吉林市に知人らと援助した日本語学校を開校し、名誉校長に就任したほか、同市の経済顧問も務めていた。自宅に中国人留学生らを招くことも多かったという。留学生が容疑者という最悪の結末に、親族の男性(五十三)は「身を粉にして、自分の子供以上に留学生の面倒を見てきたのに。故人はさぞかし無念だろう」と言葉を詰まらせていた。

●は王+文

平成十四年二月七日

恩にアダ、夫婦殺傷は韓国人留学生

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