ルポ・福島:鎌倉岳の空間放射線量 山頂直下「測定不能」から7マイクロシーベルトに
2013年11月04日
阿武隈のやまなみにそそり立つ花こう岩の麗峰、鎌倉岳(標高967メートル)。福島県田村市の都路、常葉、船引の3地区を分ける国境の山は福島第1原発の西30キロにあるが、より原発に近い都路東部の山々よりも空間放射線量がはるかに高い。事故後、線量はどれほど落ちたのか。先月31日、2年ぶりの計測に同行した。【藤原章生】
常葉地区から国道288号を浜通り、都路方面へ走ると、天を突くような岩峰が現れる。鎌倉岳は古くから山岳信仰の対象で、1985年発行の「都路村史」にこうある。9世紀初頭、嵯峨天皇の時代、長い干ばつから東国を救うため「大徳峰宇という老婆が薬師尊像を背負って現れ」、村人と鎌倉岳で雨乞いし、恵みの雨をもたらした。そんな伝承からか、戦国時代には相馬、岩城、三春領による領有をめぐる「山争い」の中心の峰でもあった。
今回ともに歩いたのは、11年10月から延べ約150の県内の山で放射線量を調べてきた山岳会、福島登高会の和泉功さん(64)。和泉さんが前回登ったのは11年11月30日。その直後に登った郡山勤労者山岳会の結果を合わせると、標高740メートルの登山道で線量が毎時5マイクロシーベルトを超え、頂上直下では上限10マイクロシーベルトの線量計が「測定不能」となった。
測定は、前回と同じ堀場製作所製のPA−1100を使い、同じ場所で地上1メートルの線量を5回調べ平均を出す同じ方法をとった。
朝9時過ぎ、国道を北にそれ、標高540メートルの萩平から歩き出した。市の除染が済んだ駐車場の線量は0.3マイクロシーベルトだが、登山口に向かう林道に入ると1を超えた。事故前まで県外のツアー客が訪れた登山道は腐葉土や倒木で覆われ、入山者はほとんどいない。
南東斜面に入ると線量は急上昇し、前回5マイクロシーベルト超だった標高740メートルのヒノキ林で4マイクロシーベルト。過去2年の減少率は2割ほどだ。標高890メートルでは、0.4マイクロシーベルトと約半分に下がっていた。和泉さんが「ここはかなり落ちている」と声を上げた。