名古屋グランパスは、首位の横浜Mに2−1で快勝。同点とされた直後の後半8分、MF藤本淳吾(29)が自身4カ月ぶりのゴールでチームに連勝をもたらした。横浜Mは胆のう炎を患ったMF中村俊輔(35)が今季初めて欠場したことも響いて7戦ぶりに黒星を喫した。
◆名古屋2−1横浜M
藤本が横浜Mの優勝ロードの前に立ちふさがった。同点に追いつかれた直後の後半8分、FW玉田、DF阿部と左サイドでパスがつながった時点で、ゴールへの軌跡がはっきり見えた。
「相手DFの背後にスペースがある。チャンスになると思った。あとはファーストタッチに集中した」。イメージ通りにエリア内で阿部からのパスを丁寧に止め、自慢の左足で流し込んだ。
「ウチは残留を決めている。優勝もない。(横浜Mとは違い)何もモチベーションがないけど、リーグを面白くしてやろうと思っていた。自分自身のためにも勝ちたかった」。意地で奪った今季3点目の決勝ゴールだ。
前日の9日には闘志を倍増させる出来事があった。母校の桐光学園が登場した全国高校サッカー選手権の神奈川県予選決勝。ベンチには8月に病気で亡くなった同校サッカー部の3年生・大西健太さんの背番号「19」のユニホームがつるされていた。
大西さんが6月から闘病生活を送っていたことを知り、父を通じて自らのユニホームなどをプレゼントしていたという。「何かできればと」。病に苦しむ後輩を陰ながら励ましていた。そして、母校は見事に3連覇。「後輩の頑張りに勇気づけられた」と言う。横浜Mを倒した一撃は、亡き大西さんにささげるゴールにもなった。
グランパスは8月以来の連勝。「メンバー的にはマリノスにもひけをとらないはず。あとは自分たちがどうサッカーをするか」と前向きに語る。屈辱にまみれたチームの逆襲が遅まきながら始まった。 (木村尚公)
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