しーらかんすブログ

「創作処しーらかんす」の別館ブログです。
「仮面ライダー響鬼」の小説の独自設定集やコラムなどを載せています。
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仮面ライダー響鬼

【響鬼】独自設定2 ~音撃編(2)~

小説「響鬼外伝 中四国支部鬼譚」の背景となる独自設定です。
音撃の系統について書いた前回に続き、今回は、音撃武器の種類と歴史について。
「響鬼」TV本編、劇場版、そしてきだつよし氏の小説を可能な限り取り入れて書き綴ってみました。


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【音撃武器の分類】
 音撃武器は原則として実在の楽器をモチーフとしており、管弦打の三系統を基本とする分類が伝統的になされてきた。20世紀以降は、DMCに倣い、楽器分類学におけるザックス=ホルンボステル分類が適用されている。
 ザックス=ホルンボステル分類とは、発音原理に着目して楽器を以下の五種類に分ける分類法である。
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 ●体鳴楽器:弾性体で作られた本体が振動して音を出すもの。シンバル、トライアングル、シロフォン(木琴)やグロッケンシュピール(鉄琴)など。
 ●膜鳴楽器:開口に張った膜の振動によって音を出すもの。太鼓の類。
 ●弦鳴楽器:弦の振動によって音を出すもの。いわゆる弦楽器。ピアノもこれにあたる。
 ●気鳴楽器:空気を振動させて音を出すもの。発音源の振動で直接外の空気を震わせる「自由気鳴楽器」(オルガンやハーモニカなど)と、管内部の空気で共鳴させる「吹奏楽器」(いわゆる「管楽器」全般)に分かれる。
 ●電鳴楽器:電磁気力によって音を出すもの。電気楽器(エレキギターなど)と電子楽器(電子ピアノ、シンセサイザーなど)に分かれる。この「電鳴楽器」という区分は他の四つとは由来を異にしており、音撃武器の分類には用いられない。
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 発音原理が異なるとは、音撃の観点からいえば「清めの音」の発生原理が異なるということであり、音撃武器の研究開発においては重要な要素である。上記の分類法に従い、例えば太鼓の音撃武器は「膜鳴楽器(直接打奏太鼓)型音撃武器」と定義される。ただし、こうした呼称は開発局や各支部の技術者が専門的な文脈で用いるのみであり、現場の鬼達には「音撃鼓」や「音撃管」といったフランクな呼称の方がよほど通用しやすい。
 尚、楽器分類学における分類法と、「管楽器・弦楽器・打楽器・鍵盤楽器」といった実用上の分類法は一致しない部分も多く、それは音撃武器の呼称にもそのまま表れている。例えば「音撃鍵盤」と呼ばれる音撃武器の系統には、ピアノ型からグロッケンシュピール型までが含まれるが、上記の通り、ピアノは弦鳴楽器、グロッケンシュピールは体鳴楽器であり、同じ「鍵盤楽器」でも発音原理が全く異なるのである。


【体鳴楽器型音撃武器】
 いわゆる「打楽器」の内、太鼓の類を除いたものが当てはまると考えてよい。楽器の種類ごとに独自の形状をしたものが多く、体系的な研究開発が困難であることから現代の鬼達にはあまり用いられていない。気鳴楽器型における「音撃管」や弦鳴楽器型における「音撃弦」のような総称もなく、楽器の種類ごとに独自の呼称が設定されている。主なものを以下に挙げる。

●音撃震張(おんげきシンバル)――直接打奏体鳴楽器(相互打奏容器)型音撃武器
 シンバルを模した音撃武器。いわゆるクラッシュ・シンバル(二枚の円盤を両手に持って打ち合わせる形式のシンバル)の中央部に空洞と持ち手を設け、外周に刃を付けて魔化魍への近接攻撃を可能としている。二枚一組で運用される。戦闘時の持ち手とは別に、演奏時の持ち手用の帯が付いており、音撃の際にはそちらで保持する。
 これを用いた音撃は「音撃拍(おんげきひょう)」と呼ばれ、垂直の刃のような形状をなす音撃の波動を比較的近距離から魔化魍に浴びせるものである。
 伝説の「七人の戦鬼」の一人である煌鬼が用いたと伝えられており、現代では猛士総本部の白瀧鬼が音撃震張の使い手として知られる。

●音撃三角(おんげきトライアングル)――直接打奏体鳴楽器(単式単打奏棒)型音撃武器
 トライアングルを模した音撃武器。三本の金属棒をリングで繋いだ形状をしており、戦闘時には三節棍として使用する。音撃時には金属棒先端のカラビナをリングに固定してトライアングルの形をなし、鎖分銅を持って保持する。撥(トライアングルビーター)には、鬼石を備えた専用の撥を用いる場合と、変身音叉で代用する場合がある。後者の場合、変身音叉の素材に鬼石が用いられ、有効な「清めの音」の威力を確保している。
 これを用いた音撃は「音撃響(おんげききょう)」と呼ばれ、三角形の波紋をなす音撃の波動を連続して魔化魍に浴びせるものである。
 「七人の戦鬼」の一人である西鬼が用いたと伝えられており、戦前までは京都支部にその流れを汲む鬼が在籍していたが、現在では音撃三角を用いる現役の鬼はいない。

●シロフォン型/グロッケンシュピール型音撃鍵盤――直接打奏体鳴楽器(複式単打奏棒)型音撃武器
 広義の「音撃鍵盤」の内、シロフォン(木琴)やグロッケンシュピール(鉄琴)を模したもの。シロフォンやグロッケンシュピールの鍵盤を片手に収まるサイズに縮小したもので、平時は鬼の装備帯のバックルに着装される。鍵盤の片側に鏃が付いており、魔化魍の体に突き刺すことで、鍵盤全体が本物のシロフォン等と同じ大きさに巨大化。「音撃枹(おんげきふ)」と呼ばれる、先端に鬼石を備えた専用のマレットで打奏して「清めの音」を発する。
 これを用いた音撃は、ピアノ等の音撃鍵盤によるものと同じく「音撃律(おんげきりつ)」と呼称されるが、外見的には「音撃打」に、技の原理的には「音撃斬」に類似するものである。音撃の波動は鏃を通じて斬撃のように魔化魍の体を貫く。
 この類の音撃武器を用いる者は、中四国支部の綺咲鬼の他、関西支部や中部支部に数名が存在する。メインの武器として運用されることは稀で、音撃弦など他の種類の音撃武器を用いる鬼が副装備として携行することが多い。

●銅鑼型音撃鼓――直接打奏体鳴楽器(単打奏容器)型音撃武器
 広義の「音撃鼓」の内、銅鑼を模したもの。和太鼓(膜鳴楽器)型の音撃鼓と外見上は類似しているが、発音原理を異にする。金属の銅鑼を片手に収まるサイズに縮小したもので、平時は鬼の装備帯のバックルに着装される。これを本物の銅鑼のサイズに巨大化させて中空に固定、ないし魔化魍の体に直接貼り付け、「音撃金棒(おんげきかなぼう)」と呼ばれる特大の音撃棒で打奏して「清めの音」を浴びせる。
 これを用いた音撃は、音撃金棒を振りかぶる姿からの連想で「音撃殴(おんげきおう)」と呼称される。「七人の戦鬼」の一人である初代凍鬼が用いて以来、代々の凍鬼に限って受け継がれてきた音撃法であり、北海道支部総代である現・凍鬼もこのタイプを用いている。

●音撃鈴(おんげきりん)――振奏体鳴楽器(容器状ラッセル)型音撃武器
 球形の鈴を模した音撃武器。神楽鈴のように、芯棒の周囲に多数の鈴を取り付けた形状をしている。極めて初期型の音撃武器であり、それゆえ戦闘に用いる形状をしていない。鈴の玉には鬼石が使われており、多数の鈴の音色が互いに共鳴することによって、非常に強力な音撃の波動を広範囲に拡散させることが可能。これを用いた音撃は「音撃奏」に含められる。
 江戸時代の吉野で佐鬼という女性の鬼が用いた記録が残っている。現代では、同様の構造を持つDMCのスレイベル型音撃武器(HS-112.13, Vessel rattles)を参考にした最新タイプが総本部で試験的に運用されている。


【膜鳴楽器型音撃武器】
 いわゆる「打楽器」の内、太鼓の類に属するもの。古くは砂時計型の小鼓(こつづみ)や大鼓(おおつづみ)型も用いられていたが、江戸時代以降、和太鼓型の音撃鼓が主流となった。
 現代の猛士で「膜鳴楽器型」といえばほぼ和太鼓型とイコールである。一方、DMCには当然ながら「和太鼓」は存在せず、ティンパニ型やコンガ型など多岐に亘る膜鳴楽器型が運用されている。

●和太鼓型音撃鼓――膜鳴楽器(直接打奏太鼓)型音撃武器
 広義の「音撃鼓」の内、和太鼓を模したもの。和太鼓を片手に収まるサイズの円盤状に縮小したもので、平時は鬼の装備帯のバックルに着装される。魔化魍の体に貼り付けることで太鼓のサイズに巨大化し、「音撃棒(おんげきぼう)」と呼ばれる、先端に鬼石を備えた専用のバチで打奏して「清めの音」を発する。これを用いた音撃は「音撃打」と総称される。
 戦国時代には既に「七人の戦鬼」の一人である初代響鬼が用いていたとされるが、魔化魍に直接接近する必要があるにも関わらず音撃武器自体が戦闘用の形状をしていない不便さのため、広く普及することはなかった。和太鼓の音撃が日の目を見るのは、江戸時代、吉野の響鬼(初代響鬼との関係は不明)が単身でこの音撃法を復興させてからのことである。響鬼の活躍が全国の鬼達に伝わったことで、伝統を破り彼に追随する者が多数現れ、和太鼓型音撃鼓は一躍、音撃武器の主流の一つに躍り出た。現代では、管楽器全般、弦楽器全般と並んで、和太鼓型のみで「太鼓の音撃」という一カテゴリーを築いている程である。

●鼓(つづみ)型音撃鼓――膜鳴楽器(砂時計形太鼓)型音撃武器
 小鼓や大鼓を模した音撃武器。平安時代の鬼達に用いられたと伝わる。和太鼓型音撃鼓との違いは、バチ(音撃棒)を用いずに直接手で打奏すること。調緒(しらべお)を操作することで、退治する魔化魍の種類に応じて「清めの音」の音色を自在に調整できたとされる。
 鬼石の利用すら確立されていなかった古の時代の音撃武器であり、吉野の総本山にいくつか収蔵されているのみで、現代の鬼には使われていない。

●音撃束鈴(おんげきタンバリン)――膜鳴楽器(片面無柄枠太鼓)型音撃武器
 タンバリンを模した音撃武器。中央部に持ち手を設け、外周に小さなシンバルを配置した、いわゆるモンキー・タンバリンの形状をしている。戦闘時にはガントレットとしての使用が可能。シンバルは鬼石で出来ており、小刻みに重なり合う音撃の波動を放つことができる。これを用いた音撃は「音撃奏」に含められる。
 音撃震張や音撃三角といった派手な音撃武器が好まれた戦国時代に、備前(現在の岡山)辺りの鬼が用いたと伝わっている。現在、ディスクアニマルの装甲化の技術を応用し、タンバリン型音撃ナックルの設計・開発が吉野で進められている。


【弦鳴楽器型音撃武器】
 いわゆる「弦楽器」の類。ネックのような横木のない「ツィター」、胴とネックからなる「リュート」、弦が響版に対して垂直になった「ハープ」の三種に分類される。音撃斬に用いられるものは剣戟武器の形状をしているが、それ以外にもボウガン型や、戦闘用の形状をしていないものもある。
 尚、猛士で用いられている弦鳴楽器型はツィターとリュートのみであり、ハープ型は存在しない(朱鬼の竪琴型音撃弦はハープではなくリュート)。DMCではダブルアクションペダルハープ型の音撃武器も試作されたというが、持ち運びが困難な割に威力が出ず、実用化されなかったようである。

●琴型音撃弦――単純弦鳴楽器(取付弦式完全筒形ツィター)型音撃武器
 日本の琴を模した音撃武器。「琴(こと)型」と銘打っているが、実際には「琴(きん)」ではなく「筝(そう)」の形状をしている(「こと」と呼ばれる楽器には琴(きん)と筝があり、前者は弦を押さえる個所で音程が決まるが、後者は琴柱(ことじ)という可動式の支柱で音程を調整する)。
 筝の先端に刃を付けた形状をしており、本体内部の空洞に片腕を収めて近接武器として使用する。弦の部分は「音撃連(おんげきれん)」という形で蛇腹状に折り畳まれ、平時は装備帯のバックルに着装されていて、音撃時には筝の本体に装着して弦を張る。本体の刃を魔化魍の体に突き刺し、弦を奏でることで「清めの音」を流し込む。
 これを用いた音撃は伝統的に「音撃遊(おんげきゆう)」と呼称されるが、技の原理としては「音撃斬」と同様である。ただし、ギターやチェロなどの音撃斬と比べると、音撃の波動が斬撃のように敵を貫くのではなく、刃を突き刺した部分を中心に全円状に波動が広がって魔化魍を包み込み撃破するという違いがある。
 古くから用いられてきた武器であるが、ギター型などに比べると取り回しの利便性では劣るため、次第に数を減らしてきている。現在では中四国支部の爪弾鬼が琴型音撃弦の使い手として知られる他、東北支部、北海道支部に使用者が存在する。

●ピアノ型音撃鍵盤――単純弦鳴楽器(共鳴箱式平板形ツィター)型音撃武器
 広義の「音撃鍵盤」の内、アップライトピアノを模したもの。音撃武器への採用が珍しい鍵盤楽器型の中でも特に異彩を放っており、その巨大さゆえに通常の携行は不可能で、実際は車両の後ろに備え付けるなどして運用される。鍵盤の一つ一つに鬼石が用いられており、極めて高い威力を持つ。音撃の際には、管楽器の鬼が用いるのと同様の「音撃鳴(おんげきめい)」を併用し、音撃鳴を魔化魍の体に貼り付けて展開することで「清めの音」を増幅・集束させる。
 これを用いた音撃は「音撃律」と呼称されるが、実質は音撃鳴の補助による音撃奏といったところである。
 DMCで運用されているピアノ型音撃武器(HS-314.122-4-8, Board zither with resonator box)の技術提供を受け、吉野の開発局で一台のみ試験的に製作された。ピアニスト出身の月代鬼が中四国支部でこれを運用し、総本部の予想を上回る成果を上げている。ただ、製作コストが多大になることや、これを用いる鬼には極めて特殊な戦術が要求されることから、現時点では量産の予定はない。

●ヴァイオリン型音撃弦――複合弦鳴楽器(箱胴式頸柄リュート)型音撃武器
 ヴァイオリンを模した音撃武器。ヴァイオリンの側面が展開してボウガンの形状をなし、鬼石の鏃を持つ矢を放って魔化魍を攻撃する。糸巻きとスクロールの部分は「音撃錠(おんげきじょう)」として独立しており、装備帯のバックルに着装されている。音撃時には音撃錠を指板先端に取り付けて弦を張り、変身鬼弓(へんしんおにゆみ)で擦奏する。また、ピチカート奏法による音撃も可能。
 同じヴァイオリン属であるチェロ型やコントラバス型とは、楽器としての発音原理は同じであるが、音撃武器としては種類が異なる。チェロ型やコントラバス型が魔化魍への物理的接触を伴う「音撃斬」の方式を取るのに対し、ヴァイオリン型は、事前に打ち込んだ矢に「清めの音」を共鳴させ、遠距離から魔化魍を攻撃する「音撃奏」の方式を採用している。
 日本には明治期に初めて入り、ギター型と並ぶ洋式音撃弦の主流として多くの鬼に使われてきた。しかし、同じ飛び道具なら音撃管の方が効率が良いと考えられるようになり、「近接武器としての音撃弦と、飛び道具としての音撃管」という分担が定着した現在となっては、敢えてヴァイオリン型を用いる鬼はごく少数になっている。

●チェロ型/コントラバス型音撃弦――複合弦鳴楽器(箱胴式頸柄リュート)型音撃武器
 チェロやコントラバスを模した音撃武器。ヴァイオリンと同属の楽器で、音撃弦本体と音撃錠、変身鬼弓からなる構成は同じだが、武器としての運用法がヴァイオリン型とは異なる。チェロ型、コントラバス型ともに、エンドピンにあたる部分に鬼石の刃が装備されているが、戦闘時に武器として用いることはほとんどなく、大きさと頑丈さを活かして盾として運用される。音撃時にはエンドピンの刃を魔化魍の体に直接突き刺して「清めの音」を流し込むか、地面に刃を突き刺して遠距離から「清めの音」を伝える。音撃法としては「音撃斬」に分類される。
 盾という形態の特性上、鬼によって好き嫌いがはっきり分かれる音撃武器といえる。特にコントラバス型は、音撃の威力が高い反面、その巨大さゆえに取り回しが難しく、相当な熟練者でなければ運用できないとも言われる。近年では、当代一の音撃弦使いと目された斗鬼がコントラバス型を用いていたことで有名で、彼女の引退に伴って孫弟子の彩鬼がそれを受け継いでいる。

●ギター型音撃弦――複合弦鳴楽器(箱胴式頸柄リュート)型音撃武器
 ギターを模した音撃武器。「エレキギター型」とも呼ばれるが、あくまで形状がクラシックギターよりエレキギターに似ているというだけであり、電気的操作で音を出す訳ではない(従って「電鳴楽器」の区分にも入らない)。
 ネックを持ち手とし、ボディーの両側に刃を付けた剣戟武器として運用される。弦の中心部は「音撃震(おんげきしん)」として独立しており、平時は装備帯のバックルに携行される。音撃時には音撃弦本体の切っ先を魔化魍の体に直接突き立て、撥弦して「清めの音」を流し込む。この音撃は「音撃斬」に分類される。
 戦国時代には「七人の戦鬼」の一人である初代轟鬼が、後世のギター型の原形となる初代「烈雷」を用いていたとされる。初代烈雷は文献に記述が残るのみで現存しないが、明治に入り、西洋式の弦楽器が本格的に国内で用いられるようになって以降、戦闘時の攻撃力に優れたギター型は全国の鬼達に一気に普及した。ギターという楽器自体の大衆性も相俟って、現在、ギター型音撃弦は弦鳴楽器型の中で最もスタンダードな形式となっている。

●竪琴型音撃弦――複合弦鳴楽器(軛形柄リュート)型音撃武器
 ライアー(殻胴式リラ)ないしキタラ(箱胴式リラ)を模した音撃武器。片腕で抱えるサイズのいわゆる「水瓶型ハープ」の形状をしており、中空の共鳴箱から二本の腕が伸び、上端の横木と底面のブリッジの間に四本の弦が張られている。尚、「水瓶型“ハープ”」とは言うものの、実態はハープではなくリュートである。
 通常の戦闘には用いられず、専ら音撃にのみ使用される。これを用いた音撃は「音撃奏」に分類され、空気の共鳴のみを媒介として「清めの音」を直接魔化魍に浴びせる形式を取る。
 関東支部にかつて所属していた朱鬼が「鬼太樂」という名の竪琴型音撃弦を用いていたが、本人によれば明治時代以前から存在した個体らしく、出自や製作者は明らかになっていない。後に、朱鬼の鬼太樂を模して竪琴型音撃弦の試作型が作られ、斗鬼が試験的に運用していたが、術力の衰えた現代の鬼には向いていないと判断されお蔵入りになった。


【気鳴楽器型音撃武器】
 気鳴楽器は「自由気鳴楽器」と「吹奏楽器」に分かれ、後者がいわゆる「管楽器」全般に相当する。吹奏楽器の音撃管は、音撃弦と並んで最も広く用いられている音撃武器であり、長年に亘る研究開発の歴史を経て高度に体系化されている。多くは飛び道具としての形状を有し、魔化魍に鬼石を撃ち込んで「清めの音」を共鳴させる「音撃射」という音撃法を採用している。
 また、笙やハーモニカといった自由気鳴楽器型も僅かながら存在する。

●音撃笙(おんげきしょう)――自由気鳴楽器(自鳴的中断層気鳴楽器)型音撃武器
 笙を模した音撃武器。匏(ふくべ)の上に17本の竹管を円形に配置したもので、戦闘時には吹き矢として使用される。簧(した)と呼ばれるリードの部分に鬼石が仕込まれており、合竹(あいたけ)と呼ばれる和音を奏でて「清めの音」を発する。一般的な管楽器と異なり、吹いても吸っても同じ音を出すことができるので、息継ぎをすることなく音撃を放ち続けることが可能。
 江戸時代初期に出雲の初代蒼鬼が用いた音撃笙「烈閃」があまりにも有名。その調べは天から差し込む光の如く魔化魍を祓うと言われた。「烈閃」が四代に亘って受け継がれた後、五代目・六代目の蒼鬼は笙から離れたが、七代目蒼鬼の代では再び音撃笙が用いられた。現在、「烈閃」は双柳寺家に収蔵され、七代目が用いた「烈輝」は吉野の開発局に寄贈されている。双柳寺家への遠慮もあってか、その他の鬼が笙の音撃武器を用いたことはない。

●音撃口風琴(おんげきハーモニカ)――自由気鳴楽器(自鳴的中断層気鳴楽器)型音撃武器
 ハーモニカを模した音撃武器。ハーモニカのフリーリード部に鬼石を仕込み、「清めの音」を奏でるもの。大正時代に試作されたものが開発局に保存されているが、実際の戦果は記録されていない。

●尺八型音撃管――刃型付吹奏楽器(無隙溝型開管単式縦吹きフルート)型音撃武器
 尺八を模した音撃武器。霊木に相当する聖地の竹を切り出して作り、歌口には鬼石が埋め込まれている。戦闘時には吹き矢として用いる。基本的な運指で西洋の12音階全てを演奏することが可能で、これによって多種多様な「清めの音」の調べを放つことが可能。
 尺八は、元来は虚無僧が用いる法具であり、仏門以外の者が吹くことは幕府の法度で禁じられていた。音撃武器としての利用は、江戸時代末期の十代目蒼鬼がさる普化宗(ふけしゅう)の高僧と共闘関係を結んだことに端を発する。十代目が音撃としての尺八の奏法を完成させ、引き続き十一代目蒼鬼も尺八型を用いた。
 現在用いられている他の音撃管と比べると、構造が比較的単純なので、現代の鬼でも少々手慣れた者なら呪術による縮小・召喚が可能。総本部の白瀧鬼以下、全国に数名の使用者がいる。

●竜笛型音撃管――刃型付吹奏楽器(無隙溝型開管単式横吹きフルート)型音撃武器
 竜笛を模した音撃武器。尺八型と同様に聖地の竹を切り出して作り、管の中に鬼石を仕込んで音量を高めている。戦闘時には吹き矢として用いる。低音から高音の間を縦横無尽に駆け抜けるその音色は、舞い立ち昇る龍の鳴き声に喩えられる。
 竜笛は古く平安時代から貴族や武将に愛され、音撃武器としても最も古い歴史を持つものの一つである。この竜笛型音撃管がシルクロードを通ってヨーロッパに伝わり、フルート型音撃武器(現代のコンサート・フルートとは異なる)の基礎になったとも言われている。
 江戸時代には吉野の威吹鬼が竜笛型を代々用いていた他、六代目蒼鬼が愛用したことでも知られる。しかし現在では、銃器としての利便性が高い西洋式の音撃管に押され、実戦で用いる者は居なくなっている。

●フルート型音撃管――刃型付吹奏楽器(無隙溝型開管単式横吹きフルート)型音撃武器
 西洋のコンサート・フルート(一般的な「フルート」)を模した音撃武器。金属製の管体の先端に刃を付け、吹き矢の他に近接武器としても使用できるようになっている。管体の頑丈さを活かし、敵の武器と鍔迫り合いを繰り広げることも可能。音撃の威力は、クラリネット以上・金管未満といったところ。
 古くは戦国時代、「七人の戦鬼」の一人である羽撃鬼が用いたとされ、当時は「音撃吹道(おんげきフルート)」と呼ばれていた。ただし、その時代に「フルート」といえば単に笛全般を指しており、今日におけるフルート型音撃管とは仕様を異にしていたと考えられる。
 現代のコンサート・フルートは、19世紀半ば、DMCドイツ支部の客員技師でもあったテオバルト・ベームにより、音響学の理論に基づいて大幅に改良され完成したものである。これを基にしたフルート型音撃武器は瞬く間にヨーロッパ全土に配備され、日本にも明治初期にもたらされた。国内に現存する最古のコンサート・フルート型音撃管は、東京支部の白銀鬼が用いたとされる「烈流」である(関東支部研究室に収蔵)。
 現在では、金管型の音撃管と比べると採用頻度は極めて低いが、見た目の優雅さから女性の鬼に好んで用いられる傾向がある。中四国支部に所属していた卦矢鬼(先代冥鬼の妻)がフルート型音撃管の名手として知られた他、北海道支部の白雪鬼や吹雪鬼もフルート型を用いている。

●篳篥型音撃管――有舌吹奏楽器(円筒管単式オーボエ)型音撃武器
 篳篥(ひちりき)を模した音撃武器。漆塗りの竹で作られ、内部に鬼石が仕込まれている。戦闘時には吹き矢として用いる。リードにあたる葦舌(した)は「音撃舌(おんげきぜつ)」と呼ばれ、平時は装備帯のバックルに着装されており、音撃時には音撃管上部に結合させて「清めの音」を奏でる。
 雅楽では、笙、竜笛、篳篥を併せて「三管」と呼ばれ、笙は天から差し込む光、竜笛は天地の間を泳ぐ龍の声、篳篥は地に在る人の声をそれぞれ表すとされる。篳篥型音撃管は平安時代から広く用いられ、その音色によって死にゆく者を生き返らせたり、盗賊を改心させたという逸話が残っている。
 江戸時代以降は、五代目と九代目の蒼鬼が用いたことで知られる。現在の鬼には用いられていない。

●ファゴット(バスーン)型音撃管――有舌吹奏楽器(円錐管単式オーボエ)型音撃武器
 ファゴットを模した音撃武器。全長135cm程の長大な管体を有し、戦闘時には強力な火砲として用いる。「音撃木片(おんげきもくへん)」と呼ばれるダブルリードが装備帯のリードケースに収められており、音撃時にはこれを取り付けて吹奏する。銃弾となる鬼石の口径も他の音撃管より遥かに大きく、「清めの音」の共鳴の威力もそれに比例して高い。
 DMCで一部の音撃戦士に運用されているファゴット型音撃管が九州支部に払い下げられ、現在は好鬼が用いている。通常戦闘と音撃のいずれにおいても多大な成果を上げているが、管体の巨大さゆえに取り回しは難しく、また大口径の鬼石の安定供給にも難があるため、国内での量産化は今のところ計画されていない。
 尚、「ファゴット」とはイタリア語での名称であり、英語では「バスーン」と呼ばれる。

●クラリネット型音撃管――有舌吹奏楽器(円筒管型単式クラリネット)型音撃武器
 クラリネットを模した音撃武器。グラナディラによる木製の管体で長銃の形状をなし、主に片手で保持して射撃を行う。音撃時にはシングルリードの音撃木片を取り付けて吹奏する。
 低音から高音まで幅広く対応できる音色の豊かさが売りだが、金管の音撃管のように「清めの音」の波動が一気に魔化魍の体内に駆け巡るのではなく、じわじわと全身を浸食していくような響き方をする。そのため、安定した音色を一定以上の時間に亘って持続させなければ魔化魍の撃破に繋げることができず、鬼自身に高い術力が求められる音撃武器であるといえる。
 中四国支部から北海道支部に移籍した粉雪鬼の他、関西支部の埜鬼、九州支部の雄鬼と好鬼がクラリネット型音撃管の使い手として知られていたが、九州の二人は上述の難点を憂い、クラリネット型を手放して別の音撃管に持ち替えている。
 粉雪鬼の弟子の耀鬼に支給された音撃管は、クラリネット型の弱点を補うために、速射性能の強化や散弾銃への切り替え機能、また鬼石の錬成度の強化など、様々なチューンナップが施されたものである。

●サクソフォーン型音撃管――有舌吹奏楽器(円錐管型単式クラリネット)型音撃武器
 サクソフォーン(サックス)を模した音撃武器。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの四種類が製作されている。ソプラノ以外の三種は、ベル部分が二股に展開してボウガン型となる仕組みが共通しており、鬼石の鏃を持つ矢を放つ。ソプラノはクラリネット型と同様の長銃として運用される。いずれも音撃時にはシングルリードの音撃木片を取り付けて吹奏する。
 管体は真鍮を主とした金属製。木管楽器の運動性能の高さ、金管楽器のダイナミックレンジの広さを兼ね備えており、洗練された運指、発音の容易さは他の吹奏楽器に類を見ない。音撃の威力はバリトンが最大だが、取り回しの難易も考慮し、鬼達は自分の好みに合った種類のものを選択している。
 サクソフォーンは1840年代にベルギーのアドルフ・サックスによって発明され、ベーム式フルートと並ぶ最新鋭の音撃武器としてDMCで広く使用された。日本では、明治初期、十二代目蒼鬼によって西欧から持ち込まれたことで非常に有名。以後、現在の十七代目に至るまで代々の蒼鬼がサクソフォーン型を用いている他、九州支部の雄鬼など、全国に十名程度の使用者がいる。

●音撃螺(おんげきら)――唇簧吹奏楽器(上端歌口式法螺貝形トランペット)型音撃武器
 法螺貝を模した音撃武器。実物のホラガイを利用し、口金を石膏で固定して加工したもの。鬼道の黎明期であった平安時代、修験道の立螺作法(りゅうらさほう)との混淆によって鬼達に用いられるようになった。様々な音階の音色を組み合わせて獅子の咆哮の如き「清めの音」を発し、魔化魍降伏の力を発揮したと伝説に伝わっている。
 はっきりとした記録に残っている音撃螺は、江戸時代、吉野の里の指導者の一人であった鬼堂という鬼が用いたものが唯一。内部に鬼石を配置し、極めて威力の高い音撃を発することが可能だったとされる。明治の頃までには完全に廃れ、後世の鬼には受け継がれていない。

●トロンボーン型音撃管――唇簧吹奏楽器(スライド式半音階トランペット)型音撃武器
 トロンボーンを模した音撃武器。トロンボーンからベルを取り除いた形状の、ロングバレルの銃器で、長い射程距離を持つ。音撃時にはバックルに着装された音撃鳴を合体・展開させてベルの形をなし、マウスピースを唇で振動させて「清めの音」を発する。
 西洋では古くから用いられていたタイプの音撃武器であり、日本には明治期にもたらされた。日本で金管の音撃管と言えばトランペット型の方がポピュラーだが、DMCではトロンボーン型の方が遥かに多く用いられている。これは、トロンボーンという楽器が、そのハーモニーの美しさなどから「神の楽器」と称され、古くから宗教音楽の場で重宝されていたことと無関係ではないと思われる。教会直属のエクソシストやヴァンパイア・ハンターに由来を持つDMCの音撃戦士にとって、神聖な性格を帯びるトロンボーン型音撃管が退魔の武器として好まれるのは必然であったと言えよう。

●ホルン型音撃管――唇簧吹奏楽器(変音弁付き半音階トランペット)型音撃武器
 ホルンを模した音撃武器。ホルンからベルを取り除いた形状の輪剣で、中央部に持ち手があり、外周には鬼石を研磨した刃が付いている。他の金管型と同様、音撃鳴を合体・展開させてベルの形状をなす。
 飛び道具としての性質を持たない音撃管は極めて珍しい。当然、鬼石の撃ち込みというプロセスを事前に経ることが出来ないので、これを用いる鬼は「音撃奏」の高い技量を持つことが前提となる。鬼石用の銃器を音撃武器とは別に携行するという手段もあるが、そこまでしてホルン型を使用する必然性は薄い。
 DMCでもあまり用いられていない種類の音撃武器であるが、日本では大正時代、山陰支部の初代幸鬼がさる外国の軍人から託されてホルン型音撃管「輝穂」を手にしている。それ以降、鬼の力で太平洋戦争を生き延びた二代目幸鬼以下、現在の四代目幸鬼に至るまで「輝穂」が受け継がれている。

●トランペット型音撃管――唇簧吹奏楽器(変音弁付き半音階トランペット)型音撃武器
 トランペットを模した音撃管。トランペットからベルを取り除いた形状のハンドガンで、トロンボーン型と比べると小型で取り回しに優れる。音撃法は他の金管と同様。
 トランペットの起源は、紀元前7世紀のアッシリアや旧約聖書、ギリシア、古代ローマまで遡ることができる。中世ヨーロッパで初めて音撃技術が体系化された際、前述の通り神聖視されていたトロンボーンと並び、金管楽器の代表格として用いられたのがトランペット型音撃管であった。これは戦国時代の日本にも伝わり、一説によれば、「七人の戦鬼」に名を連ねる初代威吹鬼が国内で最初に用いたとされる。
 国内におけるトランペット型音撃管の本格的な隆盛は明治以降であり、双柳寺家が主導するサックス型の普及と競うようにして、吉野の和泉家が主体となってトランペット型の全国配備が進められた。取り回しの利便性や安定した音撃の威力が現場の鬼達の支持を集め、現在では他の音撃管を大きく押さえて国内トップの普及率を誇っている。

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……以上、音撃武器の設定でした。
楽器オタクが気の赴くままに書いてると凄いボリュームに(笑)

これらはあくまで私が勝手に作った設定であり、「響鬼」の公式設定ではありませんのでご注意下さい。

【響鬼】独自設定2 ~音撃編(1)~

前回の猛士編に続き、小説「響鬼外伝 中四国支部鬼譚」の背景となる独自設定です。
今回は音撃の系統について。音撃武器についても一緒に載せる予定でしたが、長くなったので次回に回します。


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【音撃の歴史】

 音を用いて魔を祓う――その術の体系は鬼道の発生よりもさらに古いと言われる。神代の昔から、清浄なる音色には魔物を祓う力があるとされてきた。そうした術は、神事や陰陽道と複雑に混ざり合いながら体系化され、平安の頃には鬼道と習合されるに至った。山に籠り、自然の気を受けて己の体を鬼となす鬼道の術は、自然の気の調和を音色に変えて魔を祓う「清めの音」と相性が良かったのである。
 初期の鬼達は、神事に用いられるような楽器そのもので魔化魍を退治していたとされるが、平安末期までには、「鬼石」と呼ばれる特殊な鉱物を用いて効果的に「清めの音」を発する楽器――後の「音撃武器」の様式が生まれる。同時に、鬼道の術式の発展に連れて、鬼の力と「清めの音」を直接に結び付ける数々のすべが編み出され、「音撃」は鬼の専売特許となっていった。
 戦国時代の頃には、太鼓に管に弦といった複数の音撃武器の系統が確立されていたのに加えて、派手好きな当時の鬼達によって、喇叭(らっぱ)や吹道(フルート)、震張(シンバル)など、異国から伝わった様々な楽器が音撃武器として用いられていたと記録されている。
 江戸時代に移り、猛士の中枢が吉野の隠れ里に身を隠してからは、華美装飾を極めるよりも、鬼を一つの「生き方」と見て伝統を重視する鬼道のあり方が厳密になっていく。そうした中では、鎖国という時勢も相俟り、和の管楽・弦楽以外の音撃が「邪道」とされ白眼視されたこともあった。しかし、吉野を遠く離れた各地の鬼達は変わらず派手な音撃武器を使い続けていたし、吉野の中でも、ある鬼が太鼓の音撃を復興させたことに始まり、再び様々な音撃が許容される素地が徐々に固まっていった。
 明治に入り、猛士の組織が再編されると、文明開化の影響を受けて西洋流の楽器が広く日本の鬼達に普及するようになる。九州の「隼人」を併合したことによる大陸側の音撃技術の流入や、ヨーロッパの対モンスター組織である「DMC」からの技術提供により、猛士の音撃技術は飛躍的な進化を果たした。この頃には、鬼達自身の術力は古の頃と比べると大幅に失われてしまっていたが、西洋の進んだ技術は、それを補って余りある力を鬼達に与えたのである。
 昭和の再改編後は、より近代的な設備を持つ開発局が吉野に常設され、各支部の技術者達と連携して音撃武器の体系化が進められた。現在の音撃武器は、主に管弦打の三系統に分かれ、楽器の種類ごとにある程度決まった形状・機能が確立されており、システマチックに製作・支給が行える体制が整っている。

【音撃の種別】
 音撃の基本原理は、音撃武器を奏でて発生させた「清めの音」を鬼石で増幅し、魔化魍に浴びせて倒すというものである。平安時代に鬼石の利用・加工が確立されて以来、技術の進歩や時流の変化に合わせ、実に多種多様な音撃の系統が生み出されてきた。中には現代に受け継がれず廃れてしまったものも少なくないが、一方で、現在用いられている音撃法の基礎は、ほぼ戦国時代までには完成していたと言われる。
 音撃の種別は、用いられる音撃武器の種類や、「清めの音」の発生原理に従って以下の数種類に分けられ、個別の技名に冠されている。

●音撃打(おんげきだ)
 魔化魍の体表に膜鳴楽器型音撃武器(音撃鼓)を直接貼り付け、バチ状音撃武器(音撃棒)で打奏することにより「清めの音」を発する音撃法。バチの先端には鬼石が取り付けられており、音撃鼓が「清めの音」の発生装置、バチがその増幅装置として機能する。魔化魍への物理的破壊を伴わず、純粋に音撃を打ち込むことから「音撃打」と呼ばれる。
 魔化魍に直接接近するリスクもさることながら、打ち込みのリズムや力強さなど、鬼自身の技量が音撃の威力にダイレクトに繋がる音撃法でもある。そのため玄人好みの音撃とされ、いわゆる「太鼓の鬼」達は、管や弦の鬼と比べても、太鼓の修行に単なる技術習得以上の意味を求める独自の精神性を有している場合が多い。
 音撃打の技名には「~連打」や「~乱打」など、「打」の一字が入ることが多い。また、同じ鬼が同じ音撃武器を用いても、鼓の叩き方によって技名を変えている場合が多く、「~の型」という形で技名の呼称を行うのが一般的である。

●音撃射(おんげきしゃ)
 銃やボウガンといった飛び道具で鬼石を魔化魍に撃ち込んでおき、気鳴楽器型音撃武器(音撃管)を吹奏することで、「清めの音」を魔化魍の体内の鬼石に共鳴させる音撃法。技の概念が射撃に似ていることから「音撃射」と呼ばれる。多くの場合は音撃管自体が飛び道具としての機能を兼ね備えているが、音撃管とは別に鬼石用の銃器を使用する鬼もいる。
 吹き矢や弓矢で鬼石を魔化魍に撃ち込む形は古くから存在したが、主に明治以降、近代的な銃の形状を備える音撃武器が日本に持ち込まれたことで、この音撃法は一気に全国の鬼達を席巻した。相当な遠距離から音撃を浴びせられる上、外殻の防御力を無視して魔化魍の体を内部から破壊できるこの技は、現在では音撃管の鬼の基本的な音撃法として広く採用されている。
 しかし、反面、鬼自身の演奏技量で音撃の威力が左右されたり、まず鬼石を撃ち込めなければ音撃に繋げることができないという難点もある。実際、外殻の硬い魔化魍や敏捷性の高い魔化魍に対応するため、射撃性能や威力を高めた音撃管の開発は常に猛士開発局の課題となっている。
 音撃射の技名には伝統的に「風」の一字が入ることが多く、さらに「~一閃」「~一気」など「一」の字が技名後半によく使われる。

●音撃斬(おんげきざん)
 弦鳴楽器型音撃武器(音撃弦)を撥弦(はつげん)ないし擦奏(さっそう)することで「清めの音」を発する音撃法。剣戟武器の形状をなす音撃弦を直接魔化魍に突き刺して奏でる場合と、地面などに音撃弦を突き立てて遠距離から「清めの音」を送り込む場合がある。
 「音撃奏」に分類される技との違いは、魔化魍や地面への物理的接触を伴うこと。斬撃の要領で魔化魍の体を外部から破壊することから「音撃斬」と呼ばれる。古の鬼達は高い術力で音撃奏を使いこなしていたため、魔化魍に直接接近することを必須とする音撃斬が用いられることは少なかったが、時代が下るにつれて剣戟武器としての音撃弦の需要が高まり、次第に弦の音撃のメインは音撃奏から音撃斬へと移っていった。

●音撃奏(おんげきそう)
 気鳴楽器型音撃武器(音撃管)や弦鳴楽器型音撃武器(音撃弦)を奏で、「清めの音」の波動を空気に共鳴させて直接魔化魍に浴びせる音撃法。ただし、「音撃奏」という技名の定義は現代では曖昧になっており、単に音撃射の上位技という意味で「音撃奏」の技名が冠されることも多い。
 本来の音撃奏は、音撃打であれば太鼓の貼り付け、音撃射であれば鬼石の撃ち込み、音撃斬であれば音撃弦の突き立てといった、物理的な接触のプロセスを一切必要としないという点で他の音撃法と異なる。音撃武器から発せられる「清めの音」は、周囲の空気のみを媒介とし、純粋に波動として魔化魍に伝わる。鬼自身の術力が特に要求される音撃法であり、現在では音撃射の上位技としてのニュアンス以外で「音撃奏」の技名を称する者は極めて稀である。
 一方、音撃射の上位技としての音撃奏は、必ずしも上記の定義に当てはまるものとは限らず、通常の音撃射と同様に飛び道具による鬼石の撃ち込みを伴う場合がむしろ多い。しかし、鬼石への共鳴による内部破壊のみを技の構成要素とする音撃射とは異なり、音撃奏の場合は空気の共鳴を通じた外部からの破壊も併せて発動しており、音撃射とは比べ物にならない威力を有している。音撃奏の体得は、管の鬼がベテランと見なされるための必要条件の一つとなっている。
 音撃奏の技名は、その者の音撃射の技名をクラスアップさせたイメージで付けられることが多い。特に、「~一閃」の技名が「~一陣」に改められることは一種の様式美として定着している。

●その他の音撃種別
 上述の四つの他にも、音撃武器の種類や音撃の形式に応じて様々な呼称が存在している。
 鍵盤楽器(実際には共鳴箱式弦鳴楽器型であるピアノや、単打奏体鳴楽器型であるグロッケンシュピールなど)の音撃に冠される「音撃律(おんげきりつ)」や、和式の弦楽器(琴など)の音撃に伝統的に用いられてきた「音撃遊(おんげきゆう)」が代表的。これらの技名は恣意的なもので、ピアノによる音撃律は実質的には音撃奏と同種の音撃法と言えるし、グロッケンシュピールの音撃律は、外見上は音撃打、技の原理としては音撃斬に類似するものである。音撃遊は、音撃武器の物理的接触を伴うなら音撃斬、そうでなければ音撃奏に属する技である。あくまで伝統的に別の名を冠しているに過ぎない。
 その他、体鳴楽器型音撃武器の場合は楽器の種類に応じて独自の技名を冠することがあり、シンバルを用いた「音撃拍(おんげきひょう)」やトライアングルを用いた「音撃響(おんげききょう)」、銅鑼と巨大な金棒型音撃棒を用いた「音撃殴(おんげきおう)」などが存在する。これらも、物理的接触を伴わずに「清めの音」を魔化魍に浴びせるという点で音撃奏と変わらない技であり、あくまで恣意的な呼称となっている。
 また、明治の頃に日本に持ち込まれたマイクロフォン型音撃武器「Spada di Voce(スパーダ・ディ・ヴォーチェ、和名は音撃増幅剣)」は、「音撃波(おんげきは)」なる特殊な音撃に用いられたと言われている。技の原理としては音撃奏に属するものと思われるが、使用者の声を音撃の波動に変換するという発想は、楽器の演奏による通常の音撃とは様相を異にしている。
 近年、猛士開発局の小暮耕之助によって、この音撃増幅剣を文献から再現した「装甲声刃(アームドセイバー)」が製作された。小暮はこの新型武器による音撃に「音撃刃(おんげきは)」の呼称を与えている。


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「響鬼」独自設定、音撃種別編でした。
次回は音撃武器について書いていきます。

【響鬼】独自設定1 ~猛士・各支部編~

「仮面ライダー響鬼特写写真集」や、「フィギュア王」の「響鬼mono図鑑」に掲載された詳細設定の数々に触発されて、
こちらにも、小説「響鬼外伝 中四国支部鬼譚」の背景となる各種設定を載せていくことにしました。
サイトにも設定集がありますが、こちらでは、作品の表には出てこない「裏設定」を記述するイメージです。

第一回は猛士とその各支部について書いてみました。
「特写写真集」掲載の公式設定や、きだつよし氏の「小説 仮面ライダー響鬼」で描かれた設定をベースとしていますが、ほとんどは私が勝手に考えた独自設定ですのでご了承下さい。


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【猛士】
 鬼を擁する組織の起源は平安時代にまで遡るとされるが、「猛士」の名が歴史に初めて登場するのは戦国時代末期とも言われる。朝廷直属の陰陽師に端を発する鬼道の術者達は、魔化魍を追って各地に散らばる中で独自の人的ネットワークを築き、修験道や仏門とも融合しながら各地でそれぞれの流派を築いていった。
 その後、徳川幕府の全国統治に伴い、その支配下に入ることを良しとしない朝廷側の鬼達は吉野の隠れ里に身を隠し、猛士の組織を再編。以後、幕府側とは持ちつ持たれつの関係を保ちつつ、各地に散らばった鬼の流派と連携を取り合って、裏の世界から人知れず世の平和を守り続けてきた。
 幕末の動乱を経て、猛士の組織は再びの大改編を迫られ、吉野の総本部と帝都の東京支部を双璧とする集権体制が確立。文明開化の煽りを受けて近代化を進め、全国に二十一の支部を持つ一大組織へと変貌しながらも、あくまでその存在は「知る人ぞ知る裏の組織」として一般には秘匿されていた。
 第二次大戦後の昭和21年、組織の再編に伴って各地域の支部の合併が行われ、現在と同じ八大支部体制が完成。吉野の総本部以下、北海道、東北、関東、中部、関西、中四国、九州、沖縄の八大支部を全国に展開することになった。その後、1980年代に事務局長の立花勢地郎の発案で、NPO団体「TAKESHI」という表の顔を持つようになり、現在に至っている。

【総本部】
 名実共に猛士の中心となる場所。江戸時代には鬼の一門の隠れ里として機能し、近代以降は猛士の中枢部として方針決定や各支部の統括を執り行っている。
 総本部は「TAKESHI」のロゴを掲げた高層ビルとして聳え、各支部の人事や鬼の任免を統括する事務局、魔化魍の資料や出現予測システムの管理を行う情報局、音撃武器や各種装備の開発を行う開発局、専門の医師が常駐する医療局などを擁する。
 総本部の近く、吉野山の山中には「総本山」と呼ばれる修行の場があり、高齢の元鬼達が後進の育成に努めている。これとは別に、「総本部付き」と呼ばれる現役の鬼が十数名常駐しており、京都洛中の百鬼夜行への対処や、各支部への増援、魔化魍側の動向の調査などを行っている。総本部付きの鬼は全国でもトップクラスの実力者達で、特に呪術の技に長けた者が多く、失われつつある呪術の体系を後世に伝承する役割も兼ねている。
 吉野には鬼道の宗家である和泉家があり、「威吹鬼」と「導鬼」の名を代々受け継いでいる。「導鬼」の名を持つ鬼は「総本部付き」の鬼達のリーダーとして活躍し、引退後は猛士の総本部長を務めるのがしきたり。現在は、先代導鬼かつ先々代威吹鬼の和泉一文字が総本部長を務め、彼の長男で先代威吹鬼の和泉一流が「導鬼」として活躍している。一流の末弟の伊織は「威吹鬼」の名を早くから譲られ、修行の意味を兼ねて関東支部に所属している。

【北海道支部】
 八大支部の中で最も広範な地域をカバーし、それ故に最も多くの人員を擁する支部。
 戦後の改編で、道北支部、道東支部、道央支部、道南支部が合併して「北海道支部」となったが、その後もこの四地域のブロック分けは残り、支部の人員は原則としていずれかのブロックに所属して活動している。支部の本拠地は、道央ブロックの活動拠点を兼ねて札幌に置かれ、道北ブロックは旭川、道東ブロックは釧路、道南ブロックは函館に活動拠点を持つ。
 現在所属する鬼は支部全体で25名程度。他支部の倍の人数だが、これでも広大な道内全域をカバーするには少なすぎる程であり、鬼達は人手不足に悩みながら日々魔化魍退治に奮戦している。
 道内には自然が多く残されていることから、本土よりも強力で体躯の大きい魔化魍が数多く出現し、それに対処するために鬼達も総じて高い技量を誇っている。また、冬場の戦いに長けた鬼が特に求められ、関東支部の吹雪鬼や中四国支部の粉雪鬼など、全国の支部から冷気の術を極めた鬼が北海道支部に転属して活躍することも多い。
 北海道支部では代々、「凍鬼」の名を受け継ぐ鬼が総代として支部長の役割を兼ねる伝統がある。現役の鬼が支部長を兼務するのは北海道支部が唯一。

【東北支部】
 古くから恐山信仰を中心とする独自の呪術体系を有し、以南の各支部とあまり技術交流を持たずに独自の発展を遂げてきた支部。
 戦後の改編で、北奥羽支部が南奥羽支部を吸収する形で合併し「東北支部」となった。本拠地は青森に置かれ、霊的結界で守られた恐山が鬼達の鍛えの場となっている。
 現在所属する鬼は14名程度。秋田には、吉野の和泉や出雲の双柳寺と並ぶ鬼の名門・天美家があり、代々の当主が「暁鬼」の名で活躍してきた。しかし、十年ほど前、当主夫妻が魔化魍との戦いで命を落とすという事件があり、一人娘のあきらは吉野の和泉家に保護された。天美家は分家筋が継ぐ見込みであるが、天美本家の娘が吉野の管理下に入れられたことは、吉野による東北支部への支配力を強めるための政治的措置であったとも言われる。

【関東支部】
 明治以降、吉野と双璧を為す猛士の中心として機能してきた支部。これには、日本の首都であるがゆえの実務的要請もさることながら、東京(江戸)が高度に呪術結界の張り巡らされた風水都市であったことも関係している。
 戦後の改編で、東京支部を中核として、北関東支部、南関東支部が合併し「関東支部」となった。本拠地は東京都葛飾区に置かれている。現行の組織体制では、かつての東京支部が有していた他支部への指揮権限は付されていないが、猛士事務局長と関東支部長を同一の人物が兼任していることもあり、今なお吉野と並ぶ猛士の中心的支部としての役割は失われていない。
 所属する鬼は11名程度。都市化に伴って鬼の成り手は特に減っており、関西支部の響鬼や吉野の威吹鬼など、有力な鬼を移籍させることで人手不足を防いでいる一面がある。

【中部支部】
 日本海側から太平洋側まで多様な気候風土の地域をカバーし、様々な魔化魍への対処法を確立させている支部。
 戦後の改編で、東海支部、北陸支部、信州支部が対等に合併して「中部支部」となった。合併後の本拠地は名古屋に置かれているが、新潟、長野にもそれぞれ活動拠点がある。北海道支部のような正式なブロック分けではないものの、中部支部の鬼は基本的に東海エリア、北陸エリア、長野エリアのいずれかを専属的に担当することになっている。
 現在所属する鬼は15名程度。関東と関西の二大有力支部に挟まれていながらも、中部支部の鬼は他支部との人的交流を望まない傾向があり、中部で独立した鬼は生涯を中部で終える場合が多い。これには、日本の中心と言われる東海地方の県民性も関係していると言われる。

【関西支部】
 戦前までは総本部とほぼイコールの存在であり、戦後の改編によって新たに生じた支部。
 改編前は兵庫支部と京都支部のみが独立して存在し、奈良、大阪、滋賀、和歌山の地域は総本部直轄となっていた(三重県は東海支部の管轄)。戦後の改編では、総本部は直轄地域を持たず、兵庫支部・京都支部を取り込んで新設された「関西支部」が関西全域を担当することになる。この経緯のため、現在でも関西支部と総本部の結び付きは強く、関西支部の本拠地も総本部と同じ吉野に置かれている。他に神戸にも活動拠点を持つ。
 現在所属する鬼は18名程度。鬼の修行の本場である吉野に位置するため、自然と関西支部で独立する鬼の人数は多くなり、人員の不足する各支部に鬼を転属させてバランス調整を図ることもしばしばである。関東の響鬼や威吹鬼、中四国の綺咲鬼などがこれにあたる。

【中四国支部】
 古代から出雲大社を中心とした霊的地盤の上に成り立ち、多くの鬼を輩出してきた支部。
 戦後の改編で、山陰支部、山陽支部、四国支部が合併して「中四国支部」となった。本拠地は出雲に置かれている。本来ならば中国支部と四国支部は独立して置かれるべきであるが、四国の人員不足を埋めるために中国側から救援を送る必要があることや、瀬戸内海の魔化魍の管轄問題などが戦前から問われており、これらを鑑みて中四国全域を一つの支部が管轄することになった。こうした出自のため、北海道支部や中部支部に見られる担当エリアの分割はなされておらず、全ての鬼が中四国九県の全域を担当としている。
 現在所属する鬼は12名程度。音楽に重点を置いている支部としても有名で、他支部と比べても音撃武器の演奏技量に特に秀でた鬼が多数所属している。また、出雲の双柳寺家は吉野の和泉や秋田の天美と並ぶ鬼の名門として知られ、「蒼鬼」の名が代々継承されている。
 旧暦十月、出雲大社の霊力が高まることによって一時的に魔化魍の活動が抑制される時期があり、逆にその時期には全国各地域で魔化魍の出現が増大することから、中四国支部の鬼達が各支部へサポートに出向く慣わしになっている。これは一般に「八百万の神々が全国から出雲大社に集まってくる」という言い伝えと関連付けて語られるが、「神」なるものの存在を猛士が積極的に肯定していると言うよりは、魔化魍の出現頻度の変化という実際の現象が先にあり、それを説明するための言い伝えが後から作られたのだと考えられよう。

【九州支部】
 大陸側からの魔化魍や音撃技術の流入もあり、古くから独自の気風を保ってきた支部。特に幕末までは、九州には「隼人」という別の組織が存在し、猛士とは相互不可侵の関係にあった。明治期の猛士再編に伴って隼人は猛士に吸収されたが、この際には組織間で骨肉の争いが繰り広げられ、協議が成立するまでに多くの鬼の血が流されたとも伝わる。
 戦後の再編で北九州支部、熊本支部、南九州支部が対等に合併して「九州支部」となった。本拠地は熊本に置かれるが、鹿児島にも活動拠点を残しており、鬼の一部は南九州エリアを専属的に担当している。
 現在所属する鬼は12名程度。他支部の例に漏れず人手不足は否めないが、九州支部には薩摩男児の気風も相俟って屈強な鬼が集まっており、本州より強力とも言われる魔化魍との戦いに誇りを持って挑んでいる。「隼人」の時代から、九州で最強とされる鬼は「タケル」の称号を受け継ぐ慣わしがあり、現在は伝説の「七人の戦鬼」の末裔とも言われる羽撃鬼が「タケル」の称号を有している。

【沖縄支部】
 本土とは異なる生態の魔化魍に対処するため、独自の術法を確立させている支部。
 明治政府による琉球藩設置までは猛士の管轄下にはなく、中国の「龍(ロン)」に似た「シーサー」という音撃戦士が琉球を守っていたと伝えられるが、詳しい資料は残されていない。明治中期までには本土から配属された鬼達が「琉球支部」を形成し、現地で弟子を育成して鬼道を根付かせていった。
 戦後の再編で、琉球支部は名称を変更して「沖縄支部」となり、米軍の占領下でも活動を続けた。米軍側も魔化魍と猛士の存在は当然に認識しており、アメリカ本国から「狼男(ウルフ)」や「魔女(ウィッチ)」といった音撃戦士を駐留させて魔化魍退治に当たらせることも検討されたというが、結局は現地の怪物はそれに慣れた現地の戦士に任せるべきと判断されたらしい。
 現在所属する鬼は9名程度。沖縄の魔化魍は「マジムン」とも呼ばれ、本土には出現しない種類のものがほとんどであり、沖縄支部の鬼達はそうした特殊な魔化魍に対処する術を継承してきている。当然ながら海の戦いに長けた者が多く、九州支部に救援を送ることもある。


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以上、「中四国支部鬼譚」の世界における猛士の全容でした。
これらは私が勝手に考えたもので、「響鬼」の公式設定ではありませんので、重ね重ねご注意下さい。

次回は音撃武器と音撃の体系について書きたいと思います。
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