【柔道】暴力“謹慎明け”天理大・丸山城が初Ｖ！

男子６６キロ級決勝で宮崎廉（下）を破り優勝した丸山城志郎

　◆柔道　講道館杯全日本体重別選手権第１日（９日、千葉ポートアリーナ）　５日に部活動を部分再開した天理大の丸山城志郎（２０）が、男子６６キロ級で初優勝。天理大は今年９月に部内暴力問題が発覚し、約２か月間、活動停止していた。畳での練習は２週間程度しか行っていなかったが、結果を出した。父はバルセロナ五輪男子６５キロ級で７位だった顕志さん（４８）。父の果たせなかった五輪メダルへ第一歩を踏み出した。

　鮮やかだった。宮崎廉（２１）＝桐蔭横浜大＝との決勝戦。２分４１秒に大外刈りで豪快な一本勝ち。「今日、勝ちたいという気持ちはボクが一番強かったと思う」。金メダルを首にかけ、丸山城は声を震わせた。

　昨年の全日本ジュニア覇者。今年９月の同大会で２連覇と世界ジュニア出場権獲得を期していたが、直前に天理大柔道部の暴力問題が発覚して出場自粛。部活動も無期限活動停止となり、丸山城は福岡の実家で１０日ほど過ごした。父・顕志さんは当時を振り返り「涙を流して落ち込んでいた」と明かした。

　活動停止期間は暴力問題の講習会や、ボランティア活動、天理市内の清掃活動を行った。毎晩のように寮では部員が集まってミーティング。「暴力をなくして、みんなで一致団結していこう」と話し合ったという。

　２週間前に柔道着に袖を通し、全体練習は５日に再開したばかり。８１キロ級の優勝候補だった兄・剛毅（２１）＝天理大＝は５位に終わり、兄弟での優勝はならなかったが、「誰かが優勝してほしかった。よくやってくれた」と天理大の正木嘉美新監督（５１）は笑みを浮かべた。「不安は大きかったけど、気持ちが勝てた」。２０歳のホープは胸を張った。