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2013年-11月-03日

地方紙は「反対」「慎重姿勢」が圧倒〜秘密保護法案国会提出に対する新聞各紙社説

 外交安全保障テロなどの情報を指定し、公務員が漏えいした場合の罰則を強化する内容の特定秘密保護法案が10月25日、安倍晋三内閣閣議決定され、衆議院に提出されました。間もなく審議が始まる見通しです。曲折を経て法案には知る権利や報道・取材の自由への配慮が明記されましたが、実効性が担保されたものとは到底言えず、「何が秘密か、それ自体が秘密」という悪法ぶりに、日弁連マスメディア労組などが反対姿勢を強めています。

 日がたってしまいましたが、10月25日の法案の国会提出を挟んで、全国の新聞各紙の社説がこの法案をどんな風に論評したか、少し調べたことを備忘を兼ねて記しておきます。調べたのは紙面ではなく各紙のサイト。社説をサイトでは公開していない新聞社もありますので、新聞全紙の網羅的な調査ではありません。ここで紹介した社説以外にも、その後も関連の社説を掲載している新聞も少なくありません。あくまでも私の目に留まった個別の事例の報告です。10月26日の時点で計33紙。全国紙5紙とブロック紙・地方紙28紙です。

 全国紙では朝日新聞毎日新聞が明確に反対を表明。産経新聞は条件付きながら法の成立を求めており、基本的に法案に賛成です。読売新聞日経新聞は直接の賛否は明言していませんが、日経新聞は法案の危険性の指摘に重点を置いており、あえて言えば慎重姿勢と私は読み取りました。読売新聞は法整備自体は必要として残る課題を指摘する内容で、基本的には賛成に近いと判断しています。

 全国紙では必ずしも反対、慎重姿勢で足並みがそろっているわけではありませんが、地方紙・ブロック紙に目を向けてみると、網羅的な調査ではないとは言え、反対ないしは反対寄りの慎重姿勢が圧倒していると言っていいと思います。「反対」の2文字はなくても、反対の意思を明確に表明している例には「採決はいったん見送るべき」(中国新聞)「取り下げを強く求めたい」(愛媛新聞)などがあります。

 以下に、各紙の社説の見出しを書き留めておきます。賛否をめぐる分類は私の独断です。


※10月25日前後の新聞各紙の社説見出し。紙面ではなくネット上の各紙サイトでチェック

【全国紙】5紙

▽反対

朝日新聞「特定秘密保護―この法案に反対する」=10月26日

毎日新聞「秘密保護法案 国会は危険な本質見よ」=10月26日

▽法案の危険性を指摘し慎重な扱いや見直しを要求

日経新聞「秘密保護法案はさらに見直しが必要だ」=10月20日

▽法整備は必要として残る課題を指摘

読売新聞「秘密保護法案 国会はどう機密を共有するか」=10月24日

▽賛成

産経新聞「秘密保護法案 報道の自由踏まえ成立を」=10月22日


【ブロック紙・地方紙】28紙

▽「反対」明言、もしくは何らかの表現で「事実上の反対」を明言:11紙

北海道新聞民主主義を危うくする 特定秘密保護法案」=10月25日

信濃毎日新聞「秘密法国会へ 議会政治が危うくなる」=10月26日

京都新聞「秘密保護法案  懸念はぬぐえていない」=10月24日

神戸新聞「秘密保護法案/情報統制への懸念は残る」=10月25日

中国新聞「特定秘密保護法案 保障されぬ「知る権利」」=10月26日

愛媛新聞「秘密保護法案国会提出 「知る権利」侵す懸念消えない」=10月27日

徳島新聞「秘密保護法案提出 民主主義を危うくするな」=10月26日

高知新聞「【秘密保護法案】国会提出は見送るべきだ」=10月23日

西日本新聞「秘密保護法案を閣議決定 国民の懸念踏まえ審議尽くせ」=10月26日

沖縄タイムス「[秘密保護法修正案]「危うさ」は解消されぬ」=10月2

琉球新報「秘密保護法案 廃案にすべき「悪法」だ 暗黒社会を招きかねない」=10月26日


▽反対に近い、ないし、危険性を指摘し慎重な扱いや見直しを要請:15紙

東奥日報「修正でも変わらぬ危険性/秘密保護法案提出へ」=10月21日

デーリー東北「特定秘密保護法案 基準や範囲 多くの疑問」=10月26日

秋田魁新報:「特定秘密保護法案 「知る権利」堅持が前提」=10月19日

岩手日報:「秘密保護法案提出 国会の良識が問われる」=10月26日

福島民報「【秘密保護法案】真実究明に大きな懸念」=10月14日

茨城新聞「特定秘密と情報公開 検証の仕組みを整えよ」=10月26日

神奈川新聞特定秘密保護法 行政恣意に懸念残る」=10月26日

新潟日報「秘密保護法案 修正でも懸念は消えない」=10月19日

中日新聞東京新聞「「戦前を取り戻す」のか 特定秘密保護法案」=10月23日

岐阜新聞「特定秘密と情報公開 チェックの仕組み整えよ」=10月26日

福井新聞「特定秘密保護法案 拭えない「知る権利」侵害」=10月26日

山陽新聞「秘密保護法案 民主主義の根幹が揺らぐ」=10月26日

宮崎日日新聞「秘密保護法案 「知る権利」の危機をはらむ」=10月23日

熊本日日新聞「特定秘密保護法案 「知る権利」侵害になお懸念」=10月20日

南日本新聞「[秘密保護法案] 検証の仕組みが必要だ」=10月27日


▽法整備は必要として残る課題を指摘:2紙

福島民友「秘密保護法修正案/外部チェック働く仕組みを」=10月22日

北國新聞「秘密保護法案提出 国会との関係も重要論点」=10月26日

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