2020東京五輪 本紙イチ押しヒーロー&ヒロイン
なでしこジャパンにとって自国開催となる2020年東京五輪は金メダルが求められる大会。有望なヤングなでしこが次々と頭角を現しているが、最大の注目株はジェフ千葉レディースのDF上野紗稀(18)だ。
9月26日のナイジェリア戦で代表メンバーに初招集された上野は、いきなり先発出場。DFながらゴール前に顔を出す、持ち味の積極的なプレーでファンを沸かせた。
サッカーとの出合いは4歳の時。幼稚園にあった男子のサッカークラブに入れてもらえず、小学校入学まで本格的な活動を待ったという筋金入りのサッカー少女だ。その後、みるみるうちに上達。小6で浦和レッズレディースユースのセレクションを受けるころは怖いものなし。合格したのも「当然」と疑わなかった。
だが、入団後に待っていたのは地獄だった。高3の選手たちと同じグループで行う練習についていけなかった。「テング」になっていたことを監督に見抜かれ「そこから2年間くらい、干されました。試合に使ってもらえない理由さえ話してくれない。完全に放置されてました」。
努力を怠り、周りの選手からどんどん離される悪循環。「これではいけない」と気づいた中2の時から帰宅後に一人で走り込みを始めた。「つらい毎日だったけど、おかげでメンタルが鍛えられました」。中3で左サイドバックのポジションが空き、試合に出場できたことが飛躍の始まりだった。
尊敬する選手は同じポジションの日本代表DF長友佑都(27=インテル)だ。上野は「長友さんが世界で勝てるのは、徹底した体幹トレーニングのおかげ。だから私も体幹トレを続けている。今の私の走りは全然ダメだけど、長友さんのように走り続けられる選手になりたい」。
東京五輪は25歳で迎える。選手として充実期に入っているが、金メダルへの気負いはない。「7年後の自分なんて想像もつかないし、私には未来設計なんてものもないんです。1年前に自分が代表に入るなんて思わなかったのに、この前は代表のピッチに立って宮間(あや)さんと一緒にプレーしていたんですから、未来に何が起こるか分からない。将来のことを考えるよりまず明日。一日一日の積み重ねを大事にしたいと思います」
当面の目標は2年後のカナダW杯と3年後のリオデジャネイロ五輪。その後の東京五輪で“なでしこの疾風”になるため、着実に地力をつけていくつもりだ。
☆うえの・さき 1994年11月20日生まれ。千葉・松戸市出身。小学1年で地元の「ラビットキッカーズ」でサッカーを始め、中1で浦和レッズレディースユースに入団。今季からジェフ千葉レディースに加入。U―19日本女子代表として「U―19アジア女子選手権」(中国)にも出場。9月になでしこジャパンに初選出された。154センチ、54キロ。特技はけん玉。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。