巨人・原辰徳監督(55)が新たに2年契約を結んだことを明らかにした。合わせて来季のコーチ人事も発表され、組閣そのものは“プチリニューアル”だったが、チーム内で注目を集めているのが打撃コーチに橋上秀樹戦略コーチ(48)が加わり、異例の3人体制になった点だ。データ野球を打撃部門に集中させることを主な目的としたものだが、実は重大な“裏の狙い”が込められた人事だった。
打撃部門には橋上コーチが加わったほか、江藤コーチと清水二軍打撃コーチが入れ替わった。今回のコーチ人事に関して原沢GMは「責任分野の担当分野を明確にするということ。(橋上コーチは)主に相手投手をどう打ち崩していくかということをやっていたわけで、これは打撃部門に属するだろうということ」と説明。言うなれば適材適所というワケだが、チーム内には「橋上さんは勝負の年になる。それくらい重要な役割になった」との見方もある。
これまでは戦略コーチとしてゲーム全般のデータ分析を求められていたが、打撃部門専任となったことでデータ分析を打撃に特化できることになった。それだけでもチームにとってはメリットだが、別の面でも期待されていることがある。主砲・阿部慎之助捕手(34)へのコーチングだ。
橋上コーチと阿部は安田学園高の先輩後輩で、固い信頼関係を築いている。昨季、阿部が初めて打率、打点の2冠を獲得したのも同コーチの指示と「絶対にタイトルが取れる」と言い続けてくれたおかげと話していたほどだ。しかし、これまでの立場では、あからさまな打撃指導は越権行為となりかねなかった。それ以前に「今の阿部に打撃指導ができるのは監督くらい。正直、モノをいえるコーチはいない」(チーム関係者)という歯がゆい状況があったのも事実だ。
正式に打撃コーチ就任となれば、大手を振って阿部に細やかな打撃指導もできる。来季は清水コーチが主に左打者担当となるが、阿部に関しては橋上コーチが“専属”となることも十分考えられる。日本シリーズでは楽天バッテリーに22打数2安打と封じられ、精神的にも追い込まれたが、今後はそういう負担も軽減されることにもなりそうだ。
原監督も阿部の心身への負担を懸念してはいるが、やはり「慎之助のチーム」といわざるをえないのが現実。来季、橋上打撃コーチにかかる責任は、より大きなものとなりそうだ。
一宮競輪開場63周年記念(GⅢ・毛織王冠争奪戦)は29日、決勝が行われ、関東3番手にいた長塚智広が、猛然と迫ってきた浅井康太に伸び勝って優勝を手にした。