ガッツはどこへ向かうのか――。巨人・小笠原道大内野手(40)の去就が混迷を極めている。同じベテランの谷佳知外野手(40)は一足先に退団が決定したが、小笠原に関する動きはなく、戦力外通告期間は終了した。来季戦力として計算されているのかといえば、そうでもない。斜陽の功労者を巡る複雑な現状と、球団が抱える苦悩に迫った。
日本シリーズ終了後、マスコミ各紙はこぞって小笠原と谷の両ベテランが来季チーム構想から外れたと報じた。だが、球団は谷に戦力外通告したことは認めたものの、小笠原に関しては通告の事実を否定。いまだに去就に関しては明言を避けている。
小笠原本人は5日にジャイアンツ球場に姿を見せた際に「今はゆっくり休むとしか言えない」と話し、少なくとも一、二軍の始動日となっている10日までは休養に努める考えを示した。
同じ“構想外”でありながら、小笠原と谷に対する球団の対応が異なるのはなぜなのか。素朴な疑問に球団内でも様々な臆測が飛び交っており、なかには「FA入団時に特別な契約を結んでいるのでは」と“密約説”を唱える者もいる。だが、関係者への取材を進めると臆測とは違った複雑な実情が浮かび上がってきた。
「確かにファンも疑問に思っているでしょう。でも小笠原が悪いわけではないことだけは、はっきり言っておきたい」。事情を知る関係者が重い口を開いた。まず谷の退団経緯に関しては、概ね報道の通りという。「2000安打を目指して出場機会を求める彼の思いに残念ながら巨人は応えられない。小笠原同様に功労者と考えていますが、自由契約にしてくれた方が移籍先を見つけやすいという本人の希望もあったようです。『谷には道がある』と期待して、断腸の思いで決断したのです」
一方の小笠原についてはどうなっているのか。「小笠原はリーグ3連覇の大功労者。球団としては本人の現役続行への思いを尊重したい。ただしチーム構想から外れている実情は否めません。とはいえ、今季も故障がちで日本シリーズの40人枠にも入れなかった彼が移籍先を探すのは、正直言って谷よりも厳しいでしょう。そうした状況で放り出すようなことはしたくないのです」(同)
ではこの先、小笠原にはどんな道が残されているのか。「どの球団も編成作業はまず投手優先。小笠原のような代打要員を探すのは最後です。他球団の状況を見つつ、年末から来年7月の期限まで、長い目でトレードを模索していくことになると思います」という。
小笠原の今季年俸は推定7000万円。球団は1億円以下の選手への減俸制限25%を大きく超える額を提示しており、本人も了承しているという。最後に同関係者は「巨人では厳しいかもしれない。でも環境次第で、彼は復活できると信じています」と話した。
谷と小笠原。形こそ違えど、チームを3連覇に導いてくれた男たちに対する感謝の思いは同じ。巨人は彼らにふさわしい“花道”が見つかることを願っている。(金額は推定)
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