計量をパスしたWBCバンタム級王者の山中慎介(左)と挑戦者のアルベルト・ゲバラ=東京都内のホテルで
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WBC世界バンタム級タイトルマッチの前日計量が9日、東京都内のホテルであり、5度目の防衛戦に臨む王者の山中慎介(31)=帝拳=はリミットいっぱいの53.5キロで、挑戦者で同級8位のアルベルト・ゲバラ(23)=メキシコ=は53.3キロでともに1回でパスした。挑戦者の映像をチェックしたという山中は「自分の方が強いと確認できた」と、王座防衛に自信をのぞかせた。
驚異の回復力だ。筋量が増えたことにより、前回までより1キロ余分な減量を強いられたという山中。だが計量にパスした後、特製スープを飲み干し、血の気が戻ると「もう、元気になりました! アハハ。仕上がりは万全です」と、満面の笑みを浮かべて言い放った。
計量にパスした直後、カメラマンの要求に応えるように、挑戦者のゲバラと数秒間、至近距離でにらみ合うシーンも。「にらみ合っているとき? 特に何も考えてません。早く、スープが飲みたいと思っていただけ」と報道陣を笑わせた。さらに「(初防衛戦で判定で下した大物ボクサー)ダルチニアンの方が圧倒的に怖かった。あれ以上の怖い顔ないですからね。ゲバラは優しい顔? でも、その優しい顔にだまされないようにしないと…ね」とニヤリだ。
計量前のこの日朝、自宅でゲバラの過去の試合映像をチェックして、最終シミュレーションも完了し、勝利を確信。「朝、たまたま時間があったので、ゲバラの試合映像をじっくり見てきた。怖さはなかった。やっぱり、自分の方が強い、ということが確認できた。腹も弱そう。序盤は足を使うだろうから、徐々に腹を攻めながら、どう、仕留めるか。自分の感覚を信じて、臨機応変に攻めていく。最後は強烈な神の左? そうですね。決められますよ」とキッパリ。
初防衛戦以来、自分と同じサウスポーとの戦いが4戦連続続いた山中だが、今回は5戦ぶりのオーソドックス(右構え)が相手。オーソドックス相手だと、角度的に山中の左がストレートに入りやすく、威力は増大する。勝敗ではなく、戦慄(せんりつ)のゴッドレフトがいつさく裂するのかが、見どころとなりそうだ。(竹下陽二)
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