■クラシック観客層の薄い韓国
海外オーケストラの来韓公演はほとんど民間の公演企画会社が担当しているが、観客層が薄いため、多額の費用(演奏料・航空券代・宿泊費)を負担して公演を誘致するのはなかなか難しい。今年、海外オーケストラ来韓公演を多く企画した「VINCERO(ビンチェロ)」は、ロリン・マゼール首席指揮者のミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の公演有料観客が1公演当たり約1000人、鄭明勲(チョン・ミョンフン)首席指揮者のフランス放送フィルハーモニー管弦楽団が同1300人にとどまり、1公演ごとに1億ウォン(約930万円)以上の赤字を出したといわれている。
オーケストラが韓国に来ても、札幌・大阪・愛知といった地方都市まで巡回して5-10公演のスケジュールを組む日本と違い、韓国はせいぜい2公演ほどだ。韓国のクラシック公演市場が日本の10-20%にしかならないのだ。そうなるとチケットの値段も上がる。物価を考えると、韓国公演のチケットは日本よりも高いという不満の声も出てくる。
ベルリン・フィル東京公演は3カ月前にほぼ完売したが、来週のソウル公演のチケットは2日間合わせて200枚も残っていた。ベルリン・フィル公演を主催する錦湖文化財団は「1カ月前にチケットが20%以上残っていて心配したが、公演日が近づくにつれてどの席もほぼ均等にチケットが売れてきている」と語った。
企業スポンサーなしには公演を企画できないのが韓国の現状だ。ベルリン・フィルの公演費用は20億ウォン(約1億8600万円)を上回るが、2日間の公演が完売してもチケット収入は10億ウォン(約9300万円)にすぎない。錦湖文化財団のパク・ソンヒ次長は「今回の公演はスポンサーが見つけられなかったので当文化財団が社会貢献の見地から損失覚悟で行っている」と語った。